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騎士と婚約者と恥ずかしい話の暴露。
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気を失ったアロンさんをヤンが支えて、焦げた石の床の上にそっと横たえた。自分の上着をさっと脱いで、床に敷く早技は爽やかな騎士様だ。
「ビンちゃん。そのお兄さんの耳飾り、一番下の大きいのに魔力をちょっとだけ通してくれる? 両方の耳だよ」
もう一度上階に行っていた昇降機が降りて来て、サーヤさんが腰高の柵から身を乗り出すようにしてミヤビンに指示を出した。
「はぁい」
ミヤビンは軽く返事をしているけど、俺はそれどころじゃない。
「サーヤさん、後ろに下がってぇッ! 身を乗り出しちゃダメですよッ‼︎」
うわあぁぁぁッ、心臓が痛いぃぃっ! まだ昇降機、動いてるぅぅッ‼︎
「まだ若いつもりだったのに、悔しいな。阻害装置の音があんまり聞こえないよ。うわぁ、お前は聞こえてるの?」
やがて停止した昇降機の柵を自分で開けて、サーヤさんは愛おしげにお腹をさすりながら降りて来た。まるで女神の降臨のようだけど、俺の心臓が破裂しそうだ。
「お腹の子が音を嫌がってるのか、蹴っ飛ばしが凄いよ」
言いながらアロンさんの側に膝をついて、ミヤビンの手を耳飾りに触れさせた。
「サーヤ兄ちゃん、これ、嫌な音がする。すっごくうるさい」
「だからえいってして、音を止めちゃおう」
「えーっい!じゃなくて、えいっでいいの?」
「ビンちゃんの魔力は大きすぎるから、軽くでいいんだよ」
「はぁい」
俺にはさっぱりわからない。魔術は音と感性で磨くものだから、わかるもの同士ではアレで充分通じるらしい。
「えいっ」
ミヤビンの気楽な掛け声とほぼ同時に『パキン』と乾いた音がして、品のない原色真っ赤なペンキが塗りたくられたような耳飾りが割れた。アロンさんの喉から「ひゅっ」と変な声が漏れる。
「音が止みました」
「良かったぁ。超うるさかったもんね」
ちびっ子ふたりが表情をやわらげた。そんなにうるさかったんだ。
「顔色が悪いね。いつから集中阻害の装身具を着けられてたんだろう。これがある間は、睡眠もまともに取れないからね」
「そうなの?」
「起きていても寝ていても、耳もとでずっと精神に干渉する微弱な音が流されているんだ。動力は本人の魔力だから半永久的だね」
それって四六時中モスキート音を聴き続けてるってこと? 地味にエグい⋯⋯。俺だったら気が狂う。藪睨みの目つきになるのは仕方ないね。
ジャンが縛って床に転がした魔術士のおっさんを引き起こして、胸ぐらを掴んだ。
「俺の兄貴になにしてやがる」
唸るようにおっさんをどやしつけているけど、猿轡が邪魔でうーうー唸るだけで視線はうろうろと彷徨っている。騎士の称号持ちで大公家の私兵団に籍を置くジャンだけど、完全に傭兵モードだ。
「あぁ? なんとか言えよ!」
無理だから! 気持ちはわかるけど、猿轡で会話が出来たらそれは謎の特技だから!
巻き舌で脅すように言っていると、アロンさんの傍らで心配げな表情をしていたヤンが立ち上がって、ジャンと魔術士のほうへ歩いて行った。本当に自然な動きで、俺はなんとなく目で追ってしまった。そうしたらヤンは、腰に下げていた剣を鞘ごとおっさんの鳩尾に突き込んだ。
「がふぅっ」
「妊婦とお子様方に感謝しろ。人の婚約者、ズタボロにしやがって」
⋯⋯アロンさん、ジャンのお兄さんだけどヤンの婚約者なんだ。そしてヤン、アロンさんを寝かせるために上着を敷いた紳士的な騎士様はどこへ行った? サーヤさんとちびっ子たちがいなかったら、鞘から抜いてたんだろうか。このおっさん、身内と婚約者の前でやらかしちゃったわけだ。ご愁傷様と言う他ない。
魔術士は白目を剥いて失神した。ジャンが冷たい目で見下ろしている。俺も兄さんに酷いことされたら、おんなじような表情になる自信ある。
「阻害装置は壊したから、このまま安眠できると思うよ。治癒士としては他の封印環は充分な休息と食事の後を推奨するよ」
「では魔術士殿のためにご用意した部屋にお連れしましょう」
「私が連れて参ります」
「⋯⋯」
サーヤさんはアロンさんの首や手首に触れてなにかを確認しながら言った。アロンさんは旅の汚れや戦闘の汚れもひどいけど、顔色の悪さが特別目を引く。キノさんが申し出たのをヤンが間髪入れずに遮って、ジャンが微妙な表情をした。
「⋯⋯もう、本性出てるから、取り繕っても無駄じゃないか?」
「なんの話だ?」
あれ? ユルくて本気出したら凄い傭兵モードでもなく、爽やかな騎士様でもないぞ? 私とか言ってるけど、獰猛な獣みたいだ。
「ヤンは昔からアロンのことになると人が変わるんです。普段は爽やかな好青年なんですけれどね」
シュウさんがそっと耳打ちしてくれた。ヤンのアロンさんへの愛が深いことは理解した。ヤンは愛おしげに細心の注意を払ってアロンさんを抱き上げると「泉の間でしたよね」とキノさんに確認した。場所はすでに把握済みなんだね。
ふたりが去るとミヤビンは差し当たって用がない。アロンさんが落ち着いてから、活躍の場があるんだろうけど。
「コニー様とビン様はお部屋に戻りましょう」
フィーさんが促すと、コニー君はさっとミヤビンに手を差し出した。コニー君からミヤビン好き好きオーラが溢れているようだ。コニー君がミヤビンをエスコートして、フィーさんとリリーさんが付き添って部屋に帰って行った。出来ればお腹の大きいサーヤさんも部屋で休憩して欲しいんだけどなぁ。
「キノ殿、騎士塔の拘置所に運んでよろしいですか」
ジャンが魔術士をぞんざいに担ぎ上げた。そのタイミングで破壊された扉から、旅装の騎士が顔を覗かせた。
「あぁ、良かった。捕らえましたね」
「捕らえましたね、じゃありません。城砦の正面玄関が見るも無惨です」
騎士に向かって、キノさんが困ったように返した。
「大公殿下とギィ王子がご不在の折に、酷いことです」
「ひとり取り逃がした私どもの落ち度です。ですが、追手はコレで全部です。コレともうひとり、塔の連中を出し抜いて追って来たそうなので」
聞けばアロンさんを誘拐⋯⋯いや、奪還して来た騎士さんが言うには、逃げ出したアロンさんを連れ戻す手柄を自分たちのものにしようとして、他の追手を惑乱してふたりで追って来たんだそうだ。それでアロンさんを護衛していた騎士たちと戦闘に入った際、ジャンに担がれている方の魔術士がもうひとりを出し抜いて、と言うか騎士の相手を押し付けて手柄を独り占めしようとしたらしい。
「酷いものですよ。味方諸共魔炎弾を叩き込まれました」
やたら詳しいと思ったら、置いてけぼりを食った魔術士が延々と恨み言を垂れ流してくれたので、尋問するまでもなく全てが明るみになったとか。
「あれだけ魔力の封印環で枷をつけられた上、集中阻害の装置まで施された相手にここまで逃げられているんですから、大した魔術士じゃないですよ」
塔への連絡手段も欲のために絶っているようで、魔術士ふたり組は完全に孤立しているんだって。
「⋯⋯宰相一派と言い、魔術士の塔と言い、この国の人はどうなっているんですか」
思わず口から出た言葉だけど、言っちゃいけなかったかもしれない。ここにいるのは俺以外はこの国の人ばかりだから。
「面目次第もございません。我々も王家の皆様方をお助けして、ルン様とビン様が住みやすい国にするための努力は惜しみません」
キノさんが頭を下げた。
「ごめんなさい。全部が全部って言ってるんじゃないんだ」
「いいえ。そう仰られても仕方がございません」
シュウさんまで物憂げに眉を寄せた。こんなに良くしてくれるみんなに、悪いこと言っちゃったな。そんなんじゃなくて、いろんな勢力が王家の邪魔してるんだなぁって思っただけなんだけど。それをあたふたと謝りながら説明すると、今度はサーヤさんが俺をぎゅっと抱きしめて言った。うわ、お腹が俺の鳩尾より上だ。華奢に見えてるけど、背も高いし俺の背中にまわる腕も男の人だ。
「ルンちゃんは優しいね。こんな危ない国に召喚しやがって、って怒鳴り散らしてもいいんだよ」
「もうそれ、ギィにやったから」
ある程度は満足した。
「アレは怒鳴ってたのではなく、慟哭ではございませんか」
ジャンが切なげに言った。なんで知ってるんだ?
「そのように疑問に思われなくても⋯⋯。実は借宿の副団長の部屋のとなりは、私とヤンの部屋でした」
「⋯⋯え?」
それって、それって。
「はい、ルンちゃんの⋯⋯ルン様の切ない泣き声は、我らの胸を打ちましたよ」
ぎゃーッ!
マジか! マジですか⁈
「は⋯⋯恥ずかしくて死ねる」
「ふふふ。それならギィには、早く帰って来て貰わなくちゃね」
俺をハグぎゅーしたまま、サーヤさんが笑った。
「ビンちゃん。そのお兄さんの耳飾り、一番下の大きいのに魔力をちょっとだけ通してくれる? 両方の耳だよ」
もう一度上階に行っていた昇降機が降りて来て、サーヤさんが腰高の柵から身を乗り出すようにしてミヤビンに指示を出した。
「はぁい」
ミヤビンは軽く返事をしているけど、俺はそれどころじゃない。
「サーヤさん、後ろに下がってぇッ! 身を乗り出しちゃダメですよッ‼︎」
うわあぁぁぁッ、心臓が痛いぃぃっ! まだ昇降機、動いてるぅぅッ‼︎
「まだ若いつもりだったのに、悔しいな。阻害装置の音があんまり聞こえないよ。うわぁ、お前は聞こえてるの?」
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「サーヤ兄ちゃん、これ、嫌な音がする。すっごくうるさい」
「だからえいってして、音を止めちゃおう」
「えーっい!じゃなくて、えいっでいいの?」
「ビンちゃんの魔力は大きすぎるから、軽くでいいんだよ」
「はぁい」
俺にはさっぱりわからない。魔術は音と感性で磨くものだから、わかるもの同士ではアレで充分通じるらしい。
「えいっ」
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「音が止みました」
「良かったぁ。超うるさかったもんね」
ちびっ子ふたりが表情をやわらげた。そんなにうるさかったんだ。
「顔色が悪いね。いつから集中阻害の装身具を着けられてたんだろう。これがある間は、睡眠もまともに取れないからね」
「そうなの?」
「起きていても寝ていても、耳もとでずっと精神に干渉する微弱な音が流されているんだ。動力は本人の魔力だから半永久的だね」
それって四六時中モスキート音を聴き続けてるってこと? 地味にエグい⋯⋯。俺だったら気が狂う。藪睨みの目つきになるのは仕方ないね。
ジャンが縛って床に転がした魔術士のおっさんを引き起こして、胸ぐらを掴んだ。
「俺の兄貴になにしてやがる」
唸るようにおっさんをどやしつけているけど、猿轡が邪魔でうーうー唸るだけで視線はうろうろと彷徨っている。騎士の称号持ちで大公家の私兵団に籍を置くジャンだけど、完全に傭兵モードだ。
「あぁ? なんとか言えよ!」
無理だから! 気持ちはわかるけど、猿轡で会話が出来たらそれは謎の特技だから!
巻き舌で脅すように言っていると、アロンさんの傍らで心配げな表情をしていたヤンが立ち上がって、ジャンと魔術士のほうへ歩いて行った。本当に自然な動きで、俺はなんとなく目で追ってしまった。そうしたらヤンは、腰に下げていた剣を鞘ごとおっさんの鳩尾に突き込んだ。
「がふぅっ」
「妊婦とお子様方に感謝しろ。人の婚約者、ズタボロにしやがって」
⋯⋯アロンさん、ジャンのお兄さんだけどヤンの婚約者なんだ。そしてヤン、アロンさんを寝かせるために上着を敷いた紳士的な騎士様はどこへ行った? サーヤさんとちびっ子たちがいなかったら、鞘から抜いてたんだろうか。このおっさん、身内と婚約者の前でやらかしちゃったわけだ。ご愁傷様と言う他ない。
魔術士は白目を剥いて失神した。ジャンが冷たい目で見下ろしている。俺も兄さんに酷いことされたら、おんなじような表情になる自信ある。
「阻害装置は壊したから、このまま安眠できると思うよ。治癒士としては他の封印環は充分な休息と食事の後を推奨するよ」
「では魔術士殿のためにご用意した部屋にお連れしましょう」
「私が連れて参ります」
「⋯⋯」
サーヤさんはアロンさんの首や手首に触れてなにかを確認しながら言った。アロンさんは旅の汚れや戦闘の汚れもひどいけど、顔色の悪さが特別目を引く。キノさんが申し出たのをヤンが間髪入れずに遮って、ジャンが微妙な表情をした。
「⋯⋯もう、本性出てるから、取り繕っても無駄じゃないか?」
「なんの話だ?」
あれ? ユルくて本気出したら凄い傭兵モードでもなく、爽やかな騎士様でもないぞ? 私とか言ってるけど、獰猛な獣みたいだ。
「ヤンは昔からアロンのことになると人が変わるんです。普段は爽やかな好青年なんですけれどね」
シュウさんがそっと耳打ちしてくれた。ヤンのアロンさんへの愛が深いことは理解した。ヤンは愛おしげに細心の注意を払ってアロンさんを抱き上げると「泉の間でしたよね」とキノさんに確認した。場所はすでに把握済みなんだね。
ふたりが去るとミヤビンは差し当たって用がない。アロンさんが落ち着いてから、活躍の場があるんだろうけど。
「コニー様とビン様はお部屋に戻りましょう」
フィーさんが促すと、コニー君はさっとミヤビンに手を差し出した。コニー君からミヤビン好き好きオーラが溢れているようだ。コニー君がミヤビンをエスコートして、フィーさんとリリーさんが付き添って部屋に帰って行った。出来ればお腹の大きいサーヤさんも部屋で休憩して欲しいんだけどなぁ。
「キノ殿、騎士塔の拘置所に運んでよろしいですか」
ジャンが魔術士をぞんざいに担ぎ上げた。そのタイミングで破壊された扉から、旅装の騎士が顔を覗かせた。
「あぁ、良かった。捕らえましたね」
「捕らえましたね、じゃありません。城砦の正面玄関が見るも無惨です」
騎士に向かって、キノさんが困ったように返した。
「大公殿下とギィ王子がご不在の折に、酷いことです」
「ひとり取り逃がした私どもの落ち度です。ですが、追手はコレで全部です。コレともうひとり、塔の連中を出し抜いて追って来たそうなので」
聞けばアロンさんを誘拐⋯⋯いや、奪還して来た騎士さんが言うには、逃げ出したアロンさんを連れ戻す手柄を自分たちのものにしようとして、他の追手を惑乱してふたりで追って来たんだそうだ。それでアロンさんを護衛していた騎士たちと戦闘に入った際、ジャンに担がれている方の魔術士がもうひとりを出し抜いて、と言うか騎士の相手を押し付けて手柄を独り占めしようとしたらしい。
「酷いものですよ。味方諸共魔炎弾を叩き込まれました」
やたら詳しいと思ったら、置いてけぼりを食った魔術士が延々と恨み言を垂れ流してくれたので、尋問するまでもなく全てが明るみになったとか。
「あれだけ魔力の封印環で枷をつけられた上、集中阻害の装置まで施された相手にここまで逃げられているんですから、大した魔術士じゃないですよ」
塔への連絡手段も欲のために絶っているようで、魔術士ふたり組は完全に孤立しているんだって。
「⋯⋯宰相一派と言い、魔術士の塔と言い、この国の人はどうなっているんですか」
思わず口から出た言葉だけど、言っちゃいけなかったかもしれない。ここにいるのは俺以外はこの国の人ばかりだから。
「面目次第もございません。我々も王家の皆様方をお助けして、ルン様とビン様が住みやすい国にするための努力は惜しみません」
キノさんが頭を下げた。
「ごめんなさい。全部が全部って言ってるんじゃないんだ」
「いいえ。そう仰られても仕方がございません」
シュウさんまで物憂げに眉を寄せた。こんなに良くしてくれるみんなに、悪いこと言っちゃったな。そんなんじゃなくて、いろんな勢力が王家の邪魔してるんだなぁって思っただけなんだけど。それをあたふたと謝りながら説明すると、今度はサーヤさんが俺をぎゅっと抱きしめて言った。うわ、お腹が俺の鳩尾より上だ。華奢に見えてるけど、背も高いし俺の背中にまわる腕も男の人だ。
「ルンちゃんは優しいね。こんな危ない国に召喚しやがって、って怒鳴り散らしてもいいんだよ」
「もうそれ、ギィにやったから」
ある程度は満足した。
「アレは怒鳴ってたのではなく、慟哭ではございませんか」
ジャンが切なげに言った。なんで知ってるんだ?
「そのように疑問に思われなくても⋯⋯。実は借宿の副団長の部屋のとなりは、私とヤンの部屋でした」
「⋯⋯え?」
それって、それって。
「はい、ルンちゃんの⋯⋯ルン様の切ない泣き声は、我らの胸を打ちましたよ」
ぎゃーッ!
マジか! マジですか⁈
「は⋯⋯恥ずかしくて死ねる」
「ふふふ。それならギィには、早く帰って来て貰わなくちゃね」
俺をハグぎゅーしたまま、サーヤさんが笑った。
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