神の末裔は褥に微睡む。

織緒こん

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寿ぎ。✳︎✳︎✳︎

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emergency‼︎

R18です。十八歳未満の方、えちえち苦手な方はご自衛ください。侍従さんと一緒に見守りたいお姉様方は、背後にご注意の上お楽しみください。

 ⁂ ⁂ ⁂ ⁂ ⁂

 ちょこんとベッドに腰掛けて、ジェムを待つ。待つって、なんだ。期待してるのか、俺⁈

 恥ずかしすぎて、脳内ひとりツッコミが止まらない。

 シュリは軽食を終えた俺を寝室に誘導すると、着ていた服を全部脱がせて柔らかなガウンを着せた。高い位置で括っていた髪も下ろしてブラッシングされた。

「おめでとうございます」

 そう言って出ていったシュリの背中に縋りたくなった。入れ違い入ってきたジェムのとんでもない色気にやられてそれどころじゃなくなったけれど。

 湯上がりのジェムなんて何度も見たはずなのに。

 外務卿も裸足で逃げ出すんじゃないかと思う、色を含んだ眼差しが俺を射る。

「嫌ならこのまま、出ていくよ」

 そんな熱い声で、そんなこと言うんじゃねぇよ。男は度胸だ。おにーさんの大人の色気で陥落させてやる! ジェムの熱を鎮めるのは、俺の特権だ!

 なんだ、やっぱり俺、嫉妬してたんじゃないか。ジェムのこと、他の誰にも譲りたくない。好き好き言われてその気になって、ドツボに嵌ってる。

 なにも言葉が出てこなくて、座ったまま両手を広げた。

 来いよ、俺の旦那様。

 って思ったら。

 あれ?

 なんでジェムを見上げてるんだ?

 柔らかな敷布を背中に感じる。ジェムに向かって広げていた両手は、手首をそれぞれ優しく掴まれて耳の横に押し付けられている。俺の腰を跨ぐ太腿は、跨がれた腰くらいぶっとい。

 電光石火⁉︎

 魔獣を退治する身体能力を、こんなところで発揮しなくてもいいじゃないか!

「誘われたと、思ってもいいのか?」

「⋯⋯ちゃんと誘えてる?」

「とても効果的に」

 男臭く笑った顔が降りてくる。眼を閉じると唇が重なった。さっきみたいにしたくて口を開いて、熱い舌を誘う。俺がリードして、ジェムを翻弄したい⋯⋯。

 なんて思った俺は馬鹿だった。

 口の中、喉の入り口まで舐られて、上顎の凹凸も歯列もなぞられる。溢れたお互いの唾液を飲み込まされて、誘い出された舌を甘噛みされた。

 ありえない。

 まだ、チュウしかしてないんだぞ⁈

 もう腰が抜けて、ぐでんぐでんなんだけど!

 ようやく離れた唇は、飲み込みきれずに流れた唾液を辿って首筋を舐る。

「待って、嘘、あん⋯⋯俺、神の甘露ネクタル飲んでないよな?」

 首を舐められて、耳の上っかわの軟骨を齧られる。それだけでゾクゾクと背中になにかが這い上がってきて、腰が揺れ⋯⋯なかった。ジェムの太腿に挟まれてびくともしてない。

 この身体が感じやすいのか? いや、だったらクズのときはどうだって話だろ。

 ジェムの唇はまた首に戻って、喉の突起を探すように舐めまわされた。神子返りのせいか喉仏は女性並みだ。そう言えばジェムの喉仏、色っぽいよな。

「なぁ手、離して⋯⋯んっ、ぎゅっとしたい」

 離してと言った途端、ジェムの手に力が入ったけど、ぎゅっとしたいと言ったらすぐに自由になった。

「可愛いことを言う」

 余裕ある口調で言われて悔しくなって、ジェムの首に手を回して強引に引き寄せると、おでこにちゅっとキスしてやった。そして俺は失敗を悟る。

 俺の手が自由になったってことは、ジェムの手も自由になったんだ。

「んあ⋯⋯んッ」

 脇腹から胸までなぞり上げられて変な声が出た! 咄嗟にジェムの首に回していた手を解いて口を押さえる。やばい、これも失敗だ。

 ジェムは俺の拘束から逃れると、身を起こして俺の腰から退いた。間髪入れずに膝を割りひらかれて、晒された後ろの孔がクチュリと粘つく音を立てた。まただ、神の甘露ネクタルを飲んだときみたいに、奥から蜜が降りてきている。前もうずうずしてきて、怖いもの見たさで視線を向けると、もはや肩に引っかかっているだけのガウンの隙間から、ささやかなアソコが一生懸命に天を仰いでいた。

 不思議だ。

 ゲス乳兄弟は俺を慣らすとき、多量の香油を注ぎ込んだ。俺がちっとも濡れなかったからだ。当然アソコはピクリともしなかったし、神子返りのせいかクズ王もそれを指摘しなかった。いつも四つ這いだったから気づいてないだけかもしれないがな。

 それなのにジェムに組み敷かれて、キスされて、ちょっと身体を撫でられただけで、びっくりするほど蜜が溢れてくる。気持ちが伴うとこんなに違うのか。

「怖かったら言って」

 優しく言われて、コクコクと顎をひいた。口を開いたらえっちな声しか出ない気がして、ただ頷いた。

 膝を押し開いていた手が内腿をつたって中心に辿り着いた。アソコを袋ごと掌で覆われて、後孔に指が一本挿入はいってきた。少しの異物感の後、胎内でぐるりと指を回されて、脳天までビーンッと衝撃が走り抜けた。胎の中がうねる。

「あっ、待って、嘘だぁ。そんなとこ、感じるわけ⋯⋯あぁん、な⋯⋯っい!」

「感じていい。私が感じさせてるんだ。上手だ。可愛いよ」

「あ、あ、あ、⋯⋯あああぁッ!」

 胎内でコリっと音が響いた瞬間、目の前が真っ白になった。パチパチと光が弾けて、息が苦しい。薄い腹の上が濡れている。

 顳顬に唇が落ちる。はっはっと短い呼吸を繰り返す俺の腹をジェムの大きな手のひらが撫でて、ぬめりを広げた。

「俺、前で⋯⋯イったの⋯⋯?」

「はじめて? おめでとうって言っていい?」

「馬鹿⋯⋯恥ずかしいこと言うな」

 宥めるように顔中にキスされて、うっとりする。このまま気怠い悦びに身を任せていると、眠りに引き込まれそうだ。

 もちろんそんなこと許される筈もなく、指は二本に増え、三本に増え⋯⋯ジェムの大きな手は指も太くて、この間の俺の熱を鎮めるためにだけ動いていたのと違って、柔らかく解きほぐしている。その間、俺の口からはずっと甘ったるい声が漏れていて、恥ずかしさに涙が滲む。

「なぁ、俺、変じゃね? は⋯⋯ぁん、こ、こんな、ぐにゃぐにゃ⋯⋯なるわけ、な、いッあぁ」

 熱くて死にそうだ。熱をやり過ごそうと必死になって身体をくねらせると、余計に熱が溜まる。

「ジェムぅ⋯⋯」

 なんだよ、この甘えたくった声。アリスレアだからいいものの、おっさんの痴態なんて気持ち悪いだけだろうに。

「問うのは最後だ。本当の夫婦になりたい。許してくれるか?」

 耳の中に直接吹き込むように、熱い声で懇願された。訳もわからず涙が溢れてくる。

「俺も、なりたい。来⋯⋯」

 だから最後まで言わせろよ、なんて思ったのは翌朝の話だ。

 蜜口にあてがわれた熱杭は蜜を纏ってメリメリと侵入して来た。

 ちょっと待て! 見てないが、このサイズ感はおかしい! 他の男と比べるのは失礼極まりないが、クズのはつるんっと挿入はいって来たぞ⁉︎ はじめてのときのは別だけどな!

「あ⋯⋯ッ、やっ、おっきすぎだ⋯⋯ッ! ああぁあぁぁッ」

 押して引いてを緩やかに繰り返し、胎の中をみっしりと満たされたときには、もう数えるのも嫌になるくらい大きく小さく胎内なかでイくのを繰り返した後だった。

「上手だ、アリス。全部挿入はいったよ」

 俺の胸に額から汗を垂らしながら、ジェムが言った。喜びで胎の奥がキュウっとなった。馴染むまでしばらくそのままでいてくれたから、その間に呼吸を整える。

 よし、覚悟は決めた。

「まだ、挿入はいっただけ⋯⋯だろ? いいよ、来て」

「愛してる、私のアリスレア」

 愛の言葉を合図にして、抽送が始まった。くちゅくちゅと水を含んだ音が寝室を満たし、耳からも愛された。胎内は抜けるギリギリまでゆっくり引かれるとねっとりと絡みつくのがわかる。そして押し入られると喜んで迎え入れるんだ。

「俺も、好き⋯⋯好きな⋯⋯んだッ、んんッ⋯⋯ぁぁん」

 一際激しく突き上げられて、最奥に留まられる。その場に居座ったジェムの熱杭は、ぶるりと震えて情熱を吐き出した。それを塗り込めるようにかき回されて、俺はまたイった。

「これで、ジェムは、ほんとうの旦那様だ」

 嬉しくなって笑みが堪えきれなかったような気がする。俺の記憶はそこで途切れた。

ーーおめでとう。そしてありがとう。

 遠くで誰かの声がした。
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