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黙諾の花嫁
十話 這いずる嫌悪
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その晩ラウラは泥のように眠った。溜まった疲労は温泉に浸かったぐらいで癒せるものではない。
精神的にも肉体的にも酷使され、休息が必要だった。
まだ意識があった時、眠りに落ちる前のラウラは押し寄せて来る睡魔に抗おうとしていた。
結局ささやかな抵抗に終わったがラウラは眠る事を拒絶していた。
虫神。
その存在を警戒するあまりラウラは一睡もしない覚悟だった。
寝込みを襲われない保証は無い。無警戒においそれと眠りにつくなどラウラには考えられなかった。
しかし張り詰めた緊張も、積もる疲労感には抗えず結局、いつもよりも遥かに早く眠りについた。
都会とは違う夜の静けさもラウラの熟睡を手伝ったのかもしれない。
締め切った扉と窓。堅牢な造りの上二重に設けられている。
虫神が入れる隙間などどこにもない。
旅館「洞々亭」は宿泊客に安心を提供する為、こと戸締りには厳重すぎるほど気を使っている。
しかし例外は存在する。
その虫はどんな小さな隙間だろうが入り込み、どんな場所にでも現れる。
それは家屋に住み着き、人の目の届かぬところで悠々と繁殖する。
或いは人前に現れてはその畏怖すべき姿で人々を嘲る。不快害虫として名高い人類のトラウマ。
その虫の名前は蜚蠊。
カサッ………カサカサッ。
何処からどう入ったなど知る由もない。そいつはラウラの眠る寝室へと現れた。
全長は一メートルを越す。赤茶色の体色。
巨大な蜚蠊は音すら立てず、ラウラの布団へと入り込んだ。
不快極まりない顎の動きで袴とパンティをずらすと蜚蠊はラウラの股に頭を突っ込んだ。
そしてピンク色の肉が覗く割れ目をチロチロと舐め始めた。
「ん……」
ふやけてしまうのかと思うほど念入りに濡らす。
「……あっん」
ピリピリした快感がラウラに走る。眠ったままのラウラから淫らな声が漏れた。自分の身に何が起きているのか知るよしもない。
蜚蠊に感じさせられたと知ればラウラはどんな表情を浮かべるだろうか。それはきっと筆舌に尽くし難いものになるだろう。
ぴちゃぴちゃ。
ぴちゃぴちゃ。
いやらしい水音。蜚蠊ではない。蜚蠊の舌はストローに近い液体を啜るための器官だ。濡れているのはラウラだった。
蜚蠊は攻めを止めない。
ざらつく舌がラウラの秘所を吸いぐちゃぐちゃに混ぜ合わせる。
膣口を守る肉びらは赤々と充血し徐々に開いていく。これは生理現象だ。
十分に膣口が開くと蜚蠊の性交は次の段階へと移る。
ラウラの恥部を舐めながら顎の隙間から白い液体を分泌し始めた。
それは粘度に優れ、糊のような性質を持っていた。
蜚蠊は自分で分泌した糊を器用に扱い、ラウラの恥部へ塗り始めた。
そして肉びらを大きく開いたまま糊で固定した。
突っ張った肉びらに釣られて膣口がひくひくと動く。まるでそこへ入る棒を誘うかのようだった。
愛液はとめどなく漏れ出し、甘い雌の匂いがぷんぷんと立ち込める。
準備は全て終わった。
カサカサ……。
蜚蠊はラウラと抱き合うように覆い被さった。
太腿に熱いものが押しつけられる。
蜚蠊の尾からはピンク色の肉棒が迫り出していた。人のものとよく似た形状をしていたが皮は無く剥き出しだ。
ゆっくり、ゆっくりと蜚蠊はペニスをラウラの膣へ差し込んだ。
にちゃ……にちゃ……。
蜚蠊のペニスは肉壁に馴染むのを待ちながら徐々に奥へと進んでいく。
それは何分もの時間をかけて行われた。
やがて一番奥、子宮口へとペニスがたどり着いた。
それはぶつかると言うより吸い付くと言った方が正しかった。きゅっとペニスを包み込み飲み込んでいく。
「はぁはぁ」
時間をかけて愛されたラウラの全身はすっかりと火照っていた。
自然と呼吸が荒くなる。
酸素を取り込もうとした開いた口に蜚蠊が顎を重ねた。
ラウラの性器をそうしたように長い舌を使って優しく揉み解す。
その心地よさに浮いたラウラの舌を蜚蠊は絡めとる。
ラウラは目覚めない。
長い愛部の間に蜚蠊はラウラを知った。目を覚さないギリギリは既に見極めている。
蜚蠊が腰を動かし始めた。挿入時と同じゆっくりとした動き。
その動きはまるで寝息と同期しているかのようだった。
ラウラの呼吸に合わせ、体の浮き沈みに合わせ、蜚蠊はペニスをストロークする。
蜚蠊が対位を変えた。ラウラは仰向けのまま半身になった。足を持ち上げて性器をより深く結合させた。
ラウラの尻肉に蜚蠊の硬い身体が食い込んだ。虫とラウラの身体が複雑に絡み合う。
長い蜚蠊のペニスが膣の中で弧を描くように動き子宮口を撫で回す。
ラウラと蜚蠊の動きが一体化する。性交の快楽は呼吸を一つ二つと重ねるたびに大きくなっていった。
「んっ」
ラウラの身体がぶるりと震えた。
それはけして激しいものではなかった。叫び声を上げ脳を揺らすような快楽ではなく静かで深い、沈み込むような絶頂だった。
カサッ。
同時に蜚蠊も震えていた。羽の入った甲皮をばたつかせ、触覚がぐるぐると動く。
蜚蠊もラウラの絶頂に合わせたのだ。
そして射精。ラウラの膣は静液を逃さぬようにより一層強く蜚蠊のペニスを締め上げた。
ごくっ……ごくっ……。
「あぁ……」
長い余韻がラウラを包み込んだ。
ちょろちょろ。
尿道が緩み小便が漏れた。シーツを濡らした。
「んぅ……え?」
股の間へ広がる不快感にラウラはようやく目を覚ました。
生暖かい感触が肌に張り付いている。
「なに……えっお漏らし?」
目を開けた時、そこに蜚蠊の姿は居ない。
その虫の姿を見る事は誰にも出来ない。
故にその虫神は闇走と呼ばれる。
夜が深けると現れ、朝日と共に消える。
只、そこへ居た証拠のみを残して。
「……なにこれ」
股の間から垂れる液体を手で拭う。指先に伝わるどろりとした感触。
震える指先に絡まっていたのは白濁の液だった。
精神的にも肉体的にも酷使され、休息が必要だった。
まだ意識があった時、眠りに落ちる前のラウラは押し寄せて来る睡魔に抗おうとしていた。
結局ささやかな抵抗に終わったがラウラは眠る事を拒絶していた。
虫神。
その存在を警戒するあまりラウラは一睡もしない覚悟だった。
寝込みを襲われない保証は無い。無警戒においそれと眠りにつくなどラウラには考えられなかった。
しかし張り詰めた緊張も、積もる疲労感には抗えず結局、いつもよりも遥かに早く眠りについた。
都会とは違う夜の静けさもラウラの熟睡を手伝ったのかもしれない。
締め切った扉と窓。堅牢な造りの上二重に設けられている。
虫神が入れる隙間などどこにもない。
旅館「洞々亭」は宿泊客に安心を提供する為、こと戸締りには厳重すぎるほど気を使っている。
しかし例外は存在する。
その虫はどんな小さな隙間だろうが入り込み、どんな場所にでも現れる。
それは家屋に住み着き、人の目の届かぬところで悠々と繁殖する。
或いは人前に現れてはその畏怖すべき姿で人々を嘲る。不快害虫として名高い人類のトラウマ。
その虫の名前は蜚蠊。
カサッ………カサカサッ。
何処からどう入ったなど知る由もない。そいつはラウラの眠る寝室へと現れた。
全長は一メートルを越す。赤茶色の体色。
巨大な蜚蠊は音すら立てず、ラウラの布団へと入り込んだ。
不快極まりない顎の動きで袴とパンティをずらすと蜚蠊はラウラの股に頭を突っ込んだ。
そしてピンク色の肉が覗く割れ目をチロチロと舐め始めた。
「ん……」
ふやけてしまうのかと思うほど念入りに濡らす。
「……あっん」
ピリピリした快感がラウラに走る。眠ったままのラウラから淫らな声が漏れた。自分の身に何が起きているのか知るよしもない。
蜚蠊に感じさせられたと知ればラウラはどんな表情を浮かべるだろうか。それはきっと筆舌に尽くし難いものになるだろう。
ぴちゃぴちゃ。
ぴちゃぴちゃ。
いやらしい水音。蜚蠊ではない。蜚蠊の舌はストローに近い液体を啜るための器官だ。濡れているのはラウラだった。
蜚蠊は攻めを止めない。
ざらつく舌がラウラの秘所を吸いぐちゃぐちゃに混ぜ合わせる。
膣口を守る肉びらは赤々と充血し徐々に開いていく。これは生理現象だ。
十分に膣口が開くと蜚蠊の性交は次の段階へと移る。
ラウラの恥部を舐めながら顎の隙間から白い液体を分泌し始めた。
それは粘度に優れ、糊のような性質を持っていた。
蜚蠊は自分で分泌した糊を器用に扱い、ラウラの恥部へ塗り始めた。
そして肉びらを大きく開いたまま糊で固定した。
突っ張った肉びらに釣られて膣口がひくひくと動く。まるでそこへ入る棒を誘うかのようだった。
愛液はとめどなく漏れ出し、甘い雌の匂いがぷんぷんと立ち込める。
準備は全て終わった。
カサカサ……。
蜚蠊はラウラと抱き合うように覆い被さった。
太腿に熱いものが押しつけられる。
蜚蠊の尾からはピンク色の肉棒が迫り出していた。人のものとよく似た形状をしていたが皮は無く剥き出しだ。
ゆっくり、ゆっくりと蜚蠊はペニスをラウラの膣へ差し込んだ。
にちゃ……にちゃ……。
蜚蠊のペニスは肉壁に馴染むのを待ちながら徐々に奥へと進んでいく。
それは何分もの時間をかけて行われた。
やがて一番奥、子宮口へとペニスがたどり着いた。
それはぶつかると言うより吸い付くと言った方が正しかった。きゅっとペニスを包み込み飲み込んでいく。
「はぁはぁ」
時間をかけて愛されたラウラの全身はすっかりと火照っていた。
自然と呼吸が荒くなる。
酸素を取り込もうとした開いた口に蜚蠊が顎を重ねた。
ラウラの性器をそうしたように長い舌を使って優しく揉み解す。
その心地よさに浮いたラウラの舌を蜚蠊は絡めとる。
ラウラは目覚めない。
長い愛部の間に蜚蠊はラウラを知った。目を覚さないギリギリは既に見極めている。
蜚蠊が腰を動かし始めた。挿入時と同じゆっくりとした動き。
その動きはまるで寝息と同期しているかのようだった。
ラウラの呼吸に合わせ、体の浮き沈みに合わせ、蜚蠊はペニスをストロークする。
蜚蠊が対位を変えた。ラウラは仰向けのまま半身になった。足を持ち上げて性器をより深く結合させた。
ラウラの尻肉に蜚蠊の硬い身体が食い込んだ。虫とラウラの身体が複雑に絡み合う。
長い蜚蠊のペニスが膣の中で弧を描くように動き子宮口を撫で回す。
ラウラと蜚蠊の動きが一体化する。性交の快楽は呼吸を一つ二つと重ねるたびに大きくなっていった。
「んっ」
ラウラの身体がぶるりと震えた。
それはけして激しいものではなかった。叫び声を上げ脳を揺らすような快楽ではなく静かで深い、沈み込むような絶頂だった。
カサッ。
同時に蜚蠊も震えていた。羽の入った甲皮をばたつかせ、触覚がぐるぐると動く。
蜚蠊もラウラの絶頂に合わせたのだ。
そして射精。ラウラの膣は静液を逃さぬようにより一層強く蜚蠊のペニスを締め上げた。
ごくっ……ごくっ……。
「あぁ……」
長い余韻がラウラを包み込んだ。
ちょろちょろ。
尿道が緩み小便が漏れた。シーツを濡らした。
「んぅ……え?」
股の間へ広がる不快感にラウラはようやく目を覚ました。
生暖かい感触が肌に張り付いている。
「なに……えっお漏らし?」
目を開けた時、そこに蜚蠊の姿は居ない。
その虫の姿を見る事は誰にも出来ない。
故にその虫神は闇走と呼ばれる。
夜が深けると現れ、朝日と共に消える。
只、そこへ居た証拠のみを残して。
「……なにこれ」
股の間から垂れる液体を手で拭う。指先に伝わるどろりとした感触。
震える指先に絡まっていたのは白濁の液だった。
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