異常姦見聞録

黄金稚魚

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件の怪

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 一度で全てを話し切るのは難しい。
 俺の人生につきまとうは形を変えて何度も現れているからだ。

 順を追って話すならまずはこの話をしなければならないだろう。
 それは幼き日の体験。忘れるはずもない俺の人生を変えた日。

 当時俺は小学五年生、夏祭りの日だった。




 俺が幼い頃住んでいた村はドが着くほどの田舎だ。どのくらい田舎かと言うとコンビニの一つもなければ、買い物ができる町まで車で一時間かかる。あと数年もすれば合併され、名前も消えしまうだろう、そんな場所だ。


 それなのに夏の祭りだけはやけに力が入っていた。祭りが近くなると大人も子供も急に活気づく。
 祭りの当日、普段は何も無い田舎道に色とりどりの屋台が並ぶ。フランクフルトにわたあめ、型抜きに射的に……見せ物小屋。
 
 その日俺は友達と一緒に屋台を回っていた。
 夢中になっていたのは福引だ。景品には流行りのゲームやカードが並んでいた。近くに買える店がない事もあって俺たちは祈りながら福引器を回した。

 一回五百円。子供にとっては高額だ。当然食べ物も買いたいから、何度も挑戦するわけにはいかない。一回勝負だ。

 じゃらじゃらと音を鳴らして福引器が回る。
 カランと落ちた玉は斑模様の見た事無い色だった。

 なんだ? ハズレか?

 そう思った時、屋台のおじさんの大声が響いた。

「大当たり」

 カランカランと鐘がならされる。俺は目を丸くして驚いていた。
 くじ引きといえば金が当たりだと思っていたからだ。まさに不意打ちだった。


「坊主が当たりを引いた」

 おじさんのその声は祭りの騒ぎの中を駆け巡った。

「こりゃめでたい」
「めでたい、めでたい」
「めでたいなぁ」

 口々に言う大人たち。拍手が巻き起こりそうな勢いだった。

 戸惑う俺におじさんは肩を叩いた。なんでも景品はらしく友達とはそこで一旦別れることになった。

 おじさんは「景品はこっちだ」と俺を連れて人気の無い小屋に向かった。
 
 屋台がある道から離れると途端に静かになり心細さを覚えた。それでもおじさんを疑ったり、恐いと思う事は無かった。
 
 なんせおじさんは近所に住んでいてよく知っている人だったし、一緒に住んでいるお姉さん(おじさんの娘)はよく果物や野菜のお裾分けをしてくれる。

 小屋にはそのお姉さんが居た。

「湊君が当たったんだ。凄いね」

 お姉さんはそう言ってしゃがむと俺の頭を撫でた。小学五年生にもなって撫でられるのは照れがあったが、それ以上に今は小屋の存在が気になっていた。

 大当たりの景品は何なのだろうか。ゲームやレアカード以上となると当時小学生の俺では創造が着かなかった。

 小屋入ると独特の獣臭さを感じた。牛の臭いだ。

「ねぇ、景品って……」

 おじさんが小屋に明かりをつけた。
 藁が引かれた小屋の中には、一頭の牛が寝そべっていた。

 まさか当たりって牛?
 昔話とかで聞く鬼を倒したご褒美に米俵が牛を領地様から貰えるシーンが頭に浮かんだ。流石にそれは素直に喜べないぞと、俺はおじさんの顔を見上げた。
 そしてぞっとした。


 おじさんはにんまりと口を歪めていた。笑っているのでは無い。口元はただつり上がり、目はへこんだボールみたいだった。それはとてもでは無いが人間らしい表情とは思えなかった。

「この牛と交尾するんじゃ」

「え?」

 おじさんは肩を掴んで俺を牛の前まで歩かせた。

「交尾って? え? どういう事?」

 おじさんは答えなかった。俺は牛の方を目にやった。薄暗い小屋で見るその姿は生き物の生々しい部分が積み合わさっていた。生物的グロテクスな嫌悪感。
 この時、俺ははっきりと恐怖を感じたが、遅すぎた。

 逃げよう。そう思った時、ふわりと柔らかいものが背中にあたった。お姉さんが後ろから抱きついてきたのだ。


「それじゃ、ズボン下げるね」

 お姉さんが俺の腰に手を回す。ガチャガチャと音を立ててベルトが外された。

「え? え? 待って」

 力なく抵抗する俺をお姉さんは離してくれない。

「緊張してるの? ふふっ可愛い」

 お姉さんの目はギラギラしていた。いつも優しいお姉さんとは別人のようだった。いや、表面上は普段と同じなのに中身がまるで違う。

 ひんやりとした何かがおれのちんこをぎゅっと包み込んだ。

「うわっ」

 俺は驚き思わず声を上げてしまった。お姉さんの手が俺のちんこを握っていた。後ろから抱きついたまま、お姉さんは優しい手つきでちんこを上下に擦る。

「わっ……ちょっと……やめ……」

 今まで自分でした事は何度もあったが、されるのは当然初めてだった。こんな状況じゃなければ直ぐにでも達してしまっていただろう。お姉さんは手慣れた手つきで弄くり回し、俺はその度に気の抜けた声をだした。
 しかし、気持ちよさより恐怖が上回っていた。俺のちんこはまだ萎えたままだった。

「はよ立たせんか」

「分ってるよ」


 お姉さんが離れた。今がチャンスと頭では分っていたが、足は動かなかった。お姉さんは回り込んで地面に座った。

「あぁっっ?!」

 手とは違う温かい感覚。お姉さんが俺のチンコを口でくわえ込んだのだ。
 口内でチロチロと動く舌が俺のチンコを絡め取った。さっきまでとは比べ物にならない刺激だ。感じた事の無い快感に下半身が支配され、俺は勃起した。

 お姉さんの攻めはそれだけでは終わらなかった。

「あ……あぁ……すごっ……あっ」

 ゾクゾクと背筋に悪寒が走る。下半身を込み上がって来る快感。射精の欲求が高まっていく。

「おい!」

 突然おじさんが怒鳴った。

「お前のじゃないぞ」

 お姉さんの動きが突然止まった。勿体つけるようなゆっくりとした動作でお姉さんが口を離す。離れていくその頭。口元からは涎が糸になって伝っていた。

「もう十分だ。いつまでやってる」
「分かってるって」
「やりすぎるな……初吐を出したらどうするつもりじゃ」

 おじさん達の話は耳に入ってこない。

「はぁはぁはぁ」

 絶頂寸前で止められた俺は限界だった。我慢出来ない。気が付くと俺は無意識に手をちんこに伸ばしていた。

「ダメよ」

 お姉さんは立ち上がって俺の手を掴み上げた。

「ほらこっちよ」

 そのまま引っ張られて俺は五十センチぐらいの踏み台に立たされた。
 その先には牛が尻を向けていた。

「ひぃ……」

 その姿に俺は立ちすくみ恐怖した。
 お姉さんの手コキとフェラを経験しておじさんの言っていたが嘘や冗談では無いことを頭で理解してしまっていた。
 これから何をされるのかイメージしてしまったのだ。

「もうちょい足らんな」

 おじさんが牛の尻を叩いて俺の腰に合う高さに牛を屈ませた。

「ほらもう準備できてるぞ」
「こっちもいいよ」

 お姉さんはまた後ろに立っていた。俺が逃げないように抱きついている。そして片手では俺のちんこを触っている。

「気持ちいいことしようね」

 おじさんが牛の尻尾を持ち上げた。
 ぐっちょりと濡れた赤黒い穴が口を広げていた。牛のマンコはグロテスクで汚く見えた。

 それなのにお姉さんが弄るせいで俺のちんこは勃起したままだった。

 お姉さんが俺の腰を掴んだ。そしてぐいっと押し込み、牛のマンコに俺のちんこを押し付けた。

「あっ!」
 
 牛のマンコはぬるぬるで俺のちんこは滑り込むように入っていった。

「あ? あぁぁ……」

 へこへこと抜き差しされる。お姉さんが俺の腰を掴んで動かしていたからだ。俺は抵抗も出来ず、なすがままだった。

 パチン! パチン!

 おじさんは牛の尻を平手打ちしていたその度に牛のマンコがぎゅうっと締め付けられた。ヒダをちんこが擦る度、ビクンビクンと痙攣しそうになった。それははじめての感覚で痛いのか気持ちいいのか分からなかった。
 
 そして訳のわからないまま、絶頂の時が来た。

「あぁあああっ」

 
 どくん。
 詰っていたものが全部吐き出された。射精は長く続き全て牛のマンコの奥に注ぎ込まれた。一人でした時とは比べられない程の量が出ていた。同時に全身から力が抜けていった。
 俺は膝をついてその場にへたり込んでしまった。

「ようやった坊主」
「偉いね。かっこよかったね~」

 おじさんとお姉さんが俺を褒める。その声に耳を傾ける気力も残っていなかった。


 もおおおおぉ。

 今まで交尾の途中でさえ鳴き声ひとつ出さなかった牛が急に野太い声で鳴いた。
 そして牛は首を曲げて俺の方を見た。

「うわっ……あっ!」

 その姿に俺は驚愕した。

 目の中にもう一つ目があった。複眼というのだろうか黒目が二つある。
 よく見ればその牛はどこもかしこもおかしかった。二つずつある瞳孔、耳はなくのっぺりとした顔。腹にぶら下がる乳の数は何十もあり、更には足の関節は逆向きで一つ多い。
 
 今さっき繋がっていたその牛は異形だったのだ。決定的に他とは違う。欠陥でも為損でも無い完璧な異形。
 ふわふわとした快楽が一気に引いて恐怖だけが浮き彫りになった。


「うわぁあああああ」
 

 びちゃびちゃ。
 勢いよく噴き出た液体が俺の足元を濡らした。乳から母乳が出ている。牛の腹に並んだ何十もの乳がぶらぶらと揺れ動きながら母乳を垂れ流していた。




 


 その後、おじさんとお姉さんは駆けつけた大人達によってその場で取り押さえられた。戻ってこない俺を心配になった友達が大人を連れて探しに来てくれたのだ。

 おじさん達は逮捕されて、この事件は新聞にもなった。


 そんな事があったからか、それから直ぐに俺は都会の方へ引っ越した。
 牛とのは俺に大きなトラウマを残し、性的な行為自体に嫌悪を感じるようになった。
 おかげで性教育のビデオで卒倒したりして同級生には揶揄われてしまった。
 だが、それでも五年もの間、俺は平和に暮らして過ごした。





 そう、高校二年の夏に誘拐されるまでは。

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