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オリジン
レポート『蛟』
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タイトル:蛟
カテゴリ:神
今回は日本の何処か、とある村に伝わる伝承とそこへ登場する土地神について紹介させていただいた。
村の守り神である蛟。お貢ぎと呼ばれる生贄。そしてお貢ぎの代わりに与えられる産み合わせ。
この三つの要素が今回の軸だろう。
まずはなんといってもこの存在からだ。
蛟。
読みは「みずち」または「みつち」といい、日本の伝承や神話に登場する存在だ。
伝承によって扱いは異なるが概ね水に関係する神様と言えるだろう。伝承では主に蛇に似た姿をしていると記されている。
蛟という名はメジャーなものであり、蛟を祭る神社は今でも日本の各地に残っている。
お貢ぎについて考えてみよう。
「みつぎ」
この場合、単純に考えれば神への貢物という意味に聞こえる。
実は私はこのお貢ぎに別の意味があるのではないだろうかと考えている。
冒頭、私は蛟の呼びを「みずち」または「みつち」と書かせて頂いた。
これは古くは蛟を「みつち」と呼んでいた為である。
語源を解説すると次のようになる。
「み」……水を意味する。分かりやすい。
「つ」……言葉を接続する「の」に当たる意味だ。
「ち」……神や精霊を表す。他にも神秘的な物事を表すのにも使われる雷なども同じ語源だ。
このように分解してみればお貢ぎにも別な意味が含まれているように感じないだろうか。
「み」と「つ」は同じ「水の」では「ぎ」に当たる意味は何であろうか。幾つか当てはまるものを考えてみた。
「儀」……儀式の意味合いだ。事柄そのものを指すこともある。
「犠」……単体で「いけにえ」とも読む。神への生贄という意味ならバッチリだろう。
「祇」……これは神を表す言葉として使用される。主に土地神を指すようだ。他にも神の力や道具にも使われる。
「妓」……芸者、遊女。娼婦に近い意味合いを持つ。「お貢ぎ」の目的という側面からこの字を候補に上げさせて頂いた。
神への供物である「お貢ぎ」は果たして何を目的としているのだろう。意味を持たない単なる因襲か、神の食料なのか、あるいは神を楽しませる芸者なのか。
最後に産み合わせ。
「お貢ぎ」となった子供が親の元へ帰ってくることは無い。
そこで生まれたのが産み合わせという習慣だ。
もう一度子供を産みなおし「お貢ぎ」となった子供と同じ名前を付けるというものだ。
それで子供を「お貢ぎ」に出した家族の悲しみの埋め合わせを行う。現代の我々からすると歪に思うかもしれないが今よりもずっと出生率が高かった古い時代であればそう可笑しな考えではないのかもしれない。
カテゴリ:神
今回は日本の何処か、とある村に伝わる伝承とそこへ登場する土地神について紹介させていただいた。
村の守り神である蛟。お貢ぎと呼ばれる生贄。そしてお貢ぎの代わりに与えられる産み合わせ。
この三つの要素が今回の軸だろう。
まずはなんといってもこの存在からだ。
蛟。
読みは「みずち」または「みつち」といい、日本の伝承や神話に登場する存在だ。
伝承によって扱いは異なるが概ね水に関係する神様と言えるだろう。伝承では主に蛇に似た姿をしていると記されている。
蛟という名はメジャーなものであり、蛟を祭る神社は今でも日本の各地に残っている。
お貢ぎについて考えてみよう。
「みつぎ」
この場合、単純に考えれば神への貢物という意味に聞こえる。
実は私はこのお貢ぎに別の意味があるのではないだろうかと考えている。
冒頭、私は蛟の呼びを「みずち」または「みつち」と書かせて頂いた。
これは古くは蛟を「みつち」と呼んでいた為である。
語源を解説すると次のようになる。
「み」……水を意味する。分かりやすい。
「つ」……言葉を接続する「の」に当たる意味だ。
「ち」……神や精霊を表す。他にも神秘的な物事を表すのにも使われる雷なども同じ語源だ。
このように分解してみればお貢ぎにも別な意味が含まれているように感じないだろうか。
「み」と「つ」は同じ「水の」では「ぎ」に当たる意味は何であろうか。幾つか当てはまるものを考えてみた。
「儀」……儀式の意味合いだ。事柄そのものを指すこともある。
「犠」……単体で「いけにえ」とも読む。神への生贄という意味ならバッチリだろう。
「祇」……これは神を表す言葉として使用される。主に土地神を指すようだ。他にも神の力や道具にも使われる。
「妓」……芸者、遊女。娼婦に近い意味合いを持つ。「お貢ぎ」の目的という側面からこの字を候補に上げさせて頂いた。
神への供物である「お貢ぎ」は果たして何を目的としているのだろう。意味を持たない単なる因襲か、神の食料なのか、あるいは神を楽しませる芸者なのか。
最後に産み合わせ。
「お貢ぎ」となった子供が親の元へ帰ってくることは無い。
そこで生まれたのが産み合わせという習慣だ。
もう一度子供を産みなおし「お貢ぎ」となった子供と同じ名前を付けるというものだ。
それで子供を「お貢ぎ」に出した家族の悲しみの埋め合わせを行う。現代の我々からすると歪に思うかもしれないが今よりもずっと出生率が高かった古い時代であればそう可笑しな考えではないのかもしれない。
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