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早漏爺
レポート『車両を彷徨う強姦魔』
しおりを挟むタイトル:車両を彷徨う強姦魔
カテゴリ:幽霊
幽霊に犯される、痴漢の霊が出るという噂が某駅で都市伝説のように囁かれていた。
車両という特殊な閉鎖空間がそうさせるのか、電車に纏わる怪談というのは数多く存在する。
私が調べた中では線路に現れるパターンが多いようだ。
線路上に人影が飛び出してきて、慌ててて止めたが、間に合わず轢いてしまう。しかし、線路上をいくら探しても轢いた筈の人影は見つからなかった。と言った具合だ。
今回のケースは珍しく車両の中に出る亡霊で、乗り合わせた女性を襲うという。
さて、概要に移ろう。
車両内に現れた亡霊。それは、車両内で眠る女性を犯す強姦魔の霊だ。見た目はホームレス風といったボロボロの格好で、一目で異様と分かる汚しさだ。
この亡霊は恐ろしいことに金縛りの能力を持っている。
それも強力な効果を発揮するようで、身動き一つ取れなくなってしまうようだ。
つまり亡霊に狙われれば最後、抵抗も出来ず、例え近くに人が居ようと助けてもらう事も出来ないと言うわけだ。
身動きできないだけで犯されるのをただ受け入れるしかないと言うのは、亡霊の見た目も相まって非常に絶望的だ。
この亡霊がもたらす怪奇現象はそれだけに留まらない。
犯された女性には亡霊の子供を妊娠するという、正に異常と呼べる現象を体験する事になる。
病院に行っても想像妊娠やホルモンバランスの異常などと言った結果しか出ず、避妊や中絶も効果が無い。
一度、亡霊の子を孕めば最後、産むしか女性が取れる手段は残されていない。これはなんとも、あまりにも絶望的ではなかろうか。
余談となるが、亡霊または霊体との性交はこの体験談他にも幾つか事例がある。
海外の女性(仮名・ヘレン)が体験した例では三年間に渡り、霊体との性交を繰り返したそうだ。
本件とはケースが違い、ヘレン氏が性交を行ったのはよりエネルギー的存在だったようで「太ももに圧を感じ、物理的な吐息を感じた」と証言している。
また、その性交は「無重力の中で重量を感じる」と抽象的なコメントを残している。なんともイメージし難いが、触れられない存在との性交なので仕方が無いのだろう。
しかしながら霊的存在との性交の体験談が多く存在するのに対し、亡霊の子を出産したという事例は存在しない。
今回の体験談では出産された子は存在せず、擬似的な破水による水溜りのみがそこへ残ったという。
果たして、子供は生まれなかったのだろうか。
目に見えなかっただけで、そこには何が存在したのではなかろうか。
あるいは、母親には何か見えてしまったのかもしれない。
ヘレン氏曰く「人間の身体でも霊の子を宿す事は可能だが、それを出産する方法を誰も知らない」との事だ。
ならば、この強姦魔の亡霊はその方法を知っていたのだろうか。
残念ながら今回の調査ではそのルーツに迫る事は出来なかった。
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