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白いウマのペガ
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さむい、さむい冬の国。
さむいから外であまり遊ばない子どもたちでも、外に出たくなる日があります。
そう、それは―――
「わあ、まっしろ!!」
8さいのひなちゃんが、お外を見ると、お外は雪でいっぱいです。
「よ~し、雪だるまを作るぞ~」
ひなちゃんが雪だるまを作っていると、どこからか悲しそうに泣いている声がします。
「ヒーン、ヒンヒン」
「だれかしら? おーい、どうして泣いているの?」
ひなちゃんがたずねると、声は答えます。
「パパもママもともだちも。みーんなみんな、ぼくを置いて春の国に行っちゃったんだヒーン」
「春の国ってなに? おもしろそうね。いいわ、わたしがいっしょにあなたの仲間を探してあげるわ。だから、姿を見せてちょうだい」
ひなちゃんは声の主を探しますが、声の主はまったく見つかりません。
「ここだよ、ここ。ぐすん、ぼくはさっきからここにいるじゃないか」
ひなちゃんはもう一度声の主を探します。
「いないじゃない。まさか・・・お化け?」
ひなちゃんはおそるおそるたずねます。
「ヒヒヒーン、ちがうよ。ぼくはここだよ」
ひなちゃんはもう一度よく見ると、まっしろな雪の中に赤いかわいい目が2つありました。
「きゃっ」
そこには白いおウマさんがいたのです。
「これじゃあ、いないことにだあれも気づかないのも無理ないわ」
「ヒヒーン。どうせ、ぼくは影がうすいし、いいところもないヒーン」
白いおウマさんはなみだを流して、泣いてしまいます。
「泣かないでおウマさん。きっとあなたにもいいところがあるはずよ。そうだ、ついでだから、いいところも探してあげる」
「ほんとうに?」
「ほんとうよ、私の名前はひな。あなたのお名前は?」
「ぼくの名前はペガ」
「ペガ?すてきなお名前ね。よろしくペガ」
「うん、よろしくね、ひなちゃん」
少し元気になったペガ。ひなちゃんとペガは、ペガのパパやママやお友だちのなかまを探しに旅に出ました。
「はー、はー。さむいわね」
ひなちゃんは手に息をかけて温めます。
「春の国はあたかかいよ」
「へえ、そうなんだ」
ひなちゃんとペガが、話をしながら雪道を歩いていると、泣いているピエロがいました。
「どうしたの、ピエロさん」
ひなちゃんが、たずねるとピエロが下を向きながら答えます。
「今日、サーカス団の団長に怒られたんだ」
「それはかわいそうに。よしよし」
ひなちゃんは、ピエロの頭をなでます。
「ありがとう、お嬢さん。お礼に一つ、芸を見てもらえないかい?」
「うん!ぜひ、見せてよ!」
「よーし、見ていてね!」
ピエロは大きなボールに乗りながら、6つのボールを器用にジャグリングします。
「わあ、すごいじゃない」
ひなちゃんとペガは大きな拍手をします。
「なんだか、自信がついたよ。ありがとう。お礼にこれをあげよう」
ピエロはブラシと、自分のかみの毛と同じ色のピンクのぬりぐすりをくれました。
「ありがとう、ピエロさん。これ、あなたに似合うんじゃない?ペガ」
ひなちゃんが、ペガのかみにぬりつけると、あーら、ふしぎ。きれいなピンクのたてがみになりました。
「そっ、そうかな?ありがとう、ひなちゃん。なんだか、オシャレになった気分だよ」
「これで雪の中でも、みんながあなたを見つけられるわ」
ピエロと別れて、旅を続けます。
歩いていくと、たくさんの落ちている豆に囲まれて、怒った赤オニさんがいます。
「どうしたの、赤オニさん」
「みんなが、『おこりんぼはそと』って言いながら、豆をなげてくるんだ。ぷんぷん」
怒るとオニさんのツノがどんどん伸びてきます。
「まあまあ、落ち着いて赤オニさん。豆をひとついかが?」
ひなちゃんは赤オニさんの頭に乗っていた豆を取り、赤オニさんに渡します。
「なんだ、こんなもん。もぐもぐ」
怒っていた赤オニさんですが、豆を食べるとみるみるうちに笑顔に変わっていきます。
ポンッ。
赤オニさんの頭からツノが飛びぬけました。
「あれ、なんだか怒っていたのがうそみたいだ。みんなと仲直りしてくるよ!」
赤オニさんは去っていきました。
「じゃあ今度はこれね」
ひなちゃんはペガの頭にツノを付けてあげます。
「むむむっ。今度は勇気がわいてきたぞ~」
「よかったわね、ペガ」
ひなちゃんとペガは旅を続けます。
今度は白鳥の群れと出会いました。みんな元気がありません。
「どうしたの?白鳥さん」
「食べ物を探していたんだけれど、見つからなくて・・・。お腹がぺこぺこなんだ」
「じゃあ、あっちに行ってみて。豆がたくさん落ちていたわよ」
「ほんとうに?みんな、行ってみよう!」
白鳥たちはひなちゃんの指さす方へ飛び立ちます。すると、羽がたくさん舞い落ちてきました。ペガはその羽を見て言います。
「よし!こんどは・・・」
かわいいピンクのたてがみ、かっこいいツノ、そして、自由なツバサを手に入れたペガ。
ひなちゃんをのせてペガは飛んでいきます。
「あっ、見えた!」
ひなちゃんが指さす方には色鮮やかな春の国。仲間の馬たちがこちらを見ています。
「あのすてきな馬は・・・ペガじゃないか!?おーい、おーい!」
「よかったね、ペガ」
ひなちゃんとペガは見つめ合い、誰にも負けないすてきなえがおで笑い合いました。
さむいから外であまり遊ばない子どもたちでも、外に出たくなる日があります。
そう、それは―――
「わあ、まっしろ!!」
8さいのひなちゃんが、お外を見ると、お外は雪でいっぱいです。
「よ~し、雪だるまを作るぞ~」
ひなちゃんが雪だるまを作っていると、どこからか悲しそうに泣いている声がします。
「ヒーン、ヒンヒン」
「だれかしら? おーい、どうして泣いているの?」
ひなちゃんがたずねると、声は答えます。
「パパもママもともだちも。みーんなみんな、ぼくを置いて春の国に行っちゃったんだヒーン」
「春の国ってなに? おもしろそうね。いいわ、わたしがいっしょにあなたの仲間を探してあげるわ。だから、姿を見せてちょうだい」
ひなちゃんは声の主を探しますが、声の主はまったく見つかりません。
「ここだよ、ここ。ぐすん、ぼくはさっきからここにいるじゃないか」
ひなちゃんはもう一度声の主を探します。
「いないじゃない。まさか・・・お化け?」
ひなちゃんはおそるおそるたずねます。
「ヒヒヒーン、ちがうよ。ぼくはここだよ」
ひなちゃんはもう一度よく見ると、まっしろな雪の中に赤いかわいい目が2つありました。
「きゃっ」
そこには白いおウマさんがいたのです。
「これじゃあ、いないことにだあれも気づかないのも無理ないわ」
「ヒヒーン。どうせ、ぼくは影がうすいし、いいところもないヒーン」
白いおウマさんはなみだを流して、泣いてしまいます。
「泣かないでおウマさん。きっとあなたにもいいところがあるはずよ。そうだ、ついでだから、いいところも探してあげる」
「ほんとうに?」
「ほんとうよ、私の名前はひな。あなたのお名前は?」
「ぼくの名前はペガ」
「ペガ?すてきなお名前ね。よろしくペガ」
「うん、よろしくね、ひなちゃん」
少し元気になったペガ。ひなちゃんとペガは、ペガのパパやママやお友だちのなかまを探しに旅に出ました。
「はー、はー。さむいわね」
ひなちゃんは手に息をかけて温めます。
「春の国はあたかかいよ」
「へえ、そうなんだ」
ひなちゃんとペガが、話をしながら雪道を歩いていると、泣いているピエロがいました。
「どうしたの、ピエロさん」
ひなちゃんが、たずねるとピエロが下を向きながら答えます。
「今日、サーカス団の団長に怒られたんだ」
「それはかわいそうに。よしよし」
ひなちゃんは、ピエロの頭をなでます。
「ありがとう、お嬢さん。お礼に一つ、芸を見てもらえないかい?」
「うん!ぜひ、見せてよ!」
「よーし、見ていてね!」
ピエロは大きなボールに乗りながら、6つのボールを器用にジャグリングします。
「わあ、すごいじゃない」
ひなちゃんとペガは大きな拍手をします。
「なんだか、自信がついたよ。ありがとう。お礼にこれをあげよう」
ピエロはブラシと、自分のかみの毛と同じ色のピンクのぬりぐすりをくれました。
「ありがとう、ピエロさん。これ、あなたに似合うんじゃない?ペガ」
ひなちゃんが、ペガのかみにぬりつけると、あーら、ふしぎ。きれいなピンクのたてがみになりました。
「そっ、そうかな?ありがとう、ひなちゃん。なんだか、オシャレになった気分だよ」
「これで雪の中でも、みんながあなたを見つけられるわ」
ピエロと別れて、旅を続けます。
歩いていくと、たくさんの落ちている豆に囲まれて、怒った赤オニさんがいます。
「どうしたの、赤オニさん」
「みんなが、『おこりんぼはそと』って言いながら、豆をなげてくるんだ。ぷんぷん」
怒るとオニさんのツノがどんどん伸びてきます。
「まあまあ、落ち着いて赤オニさん。豆をひとついかが?」
ひなちゃんは赤オニさんの頭に乗っていた豆を取り、赤オニさんに渡します。
「なんだ、こんなもん。もぐもぐ」
怒っていた赤オニさんですが、豆を食べるとみるみるうちに笑顔に変わっていきます。
ポンッ。
赤オニさんの頭からツノが飛びぬけました。
「あれ、なんだか怒っていたのがうそみたいだ。みんなと仲直りしてくるよ!」
赤オニさんは去っていきました。
「じゃあ今度はこれね」
ひなちゃんはペガの頭にツノを付けてあげます。
「むむむっ。今度は勇気がわいてきたぞ~」
「よかったわね、ペガ」
ひなちゃんとペガは旅を続けます。
今度は白鳥の群れと出会いました。みんな元気がありません。
「どうしたの?白鳥さん」
「食べ物を探していたんだけれど、見つからなくて・・・。お腹がぺこぺこなんだ」
「じゃあ、あっちに行ってみて。豆がたくさん落ちていたわよ」
「ほんとうに?みんな、行ってみよう!」
白鳥たちはひなちゃんの指さす方へ飛び立ちます。すると、羽がたくさん舞い落ちてきました。ペガはその羽を見て言います。
「よし!こんどは・・・」
かわいいピンクのたてがみ、かっこいいツノ、そして、自由なツバサを手に入れたペガ。
ひなちゃんをのせてペガは飛んでいきます。
「あっ、見えた!」
ひなちゃんが指さす方には色鮮やかな春の国。仲間の馬たちがこちらを見ています。
「あのすてきな馬は・・・ペガじゃないか!?おーい、おーい!」
「よかったね、ペガ」
ひなちゃんとペガは見つめ合い、誰にも負けないすてきなえがおで笑い合いました。
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