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本編
6話 揺れる想い、揺れる身体。溢れるものは・・・。
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「おーい、リンっ。勝ってきたぞっ」
カウンターに座っている僕とジンさんのところへ大好きな声を出して、ケイタが帰ってきた。
その声に僕はびくんっ、と反応してしまう。
それに対してジンさんは冷静にすーっ、と僕から離れた。
ジンさん・・・いいや、お酒のせいで鼓動が速くなっていた僕の胸は、後ろめたさなのか、それともスリルなのか・・・さらにドキドキしてしまって制御ができない。
「んっ?」
ケイタはそんな僕と再びクールにお酒を飲みだすジンさんを交互に見て、二人の関係に疑問を持った顔をする。
そんな目を見て、僕の胸はきゅーっとする。
「いつつっ、ちっこい身体のどこにそんな力があるんじゃっ」
後ろから右手を痛そうにふりながら近藤さんもやってくる。
そんな近藤さんの声を聴いてケイタの眉間も柔らかくなりながら、振り返る。
「はっはっはっ、まだまだ若いからなっ」
ケイタが魅力的な上腕二頭筋を出して力を入れる。いわゆる、力こぶだ。
雄々しい曲線。
浮き出た血管がそそる。
僕はごくんっと喉を鳴らす。
「ふん・・・っ、今度のレースはわしらが勝つ。なぁ、ジンよ」
近藤さんに話しかけられたジンさんは立ち上がる。
「えぇ、もちろんです」
メガネをくいっと上げて微笑む。
「おう、おう、おうっ」
近藤さんがジンさんの肩を叩いて、肩を組む。
まるで頼もしく誇らしい息子を紹介するように笑顔でケイタや僕を見てくる。
ジンさんも嬉しそうな顔をしている。
「僕らが次は勝つ」
「へんっ、今日負けてるんじゃねぇか・・・っ。なっ?リン」
ケイタもそれを見て羨ましくなったのか、僕の隣に来て、僕の肩を抱く。
けれど、僕はまだお酒が回っていてふらふらだ。
「う~んっ」
「おいっ、ここはかっこよくいこうぜ?リンっ」
ぶん、ぶん、ぶんっ
(ちょっと・・・そんな風に揺らされたら・・・)
ケイタは乱暴に僕の身体を横に振るう。
頭がぐわんぐわんして、くらくらしてくる。
(あ・・・っ、これはもう・・・だめだぁ)
「うっ、うううううぇ・・・っ」
「リンっ!!!」
やってしまった。
気持ち悪さから解き放たれた感覚。
心地よさに満たされ・・・そして、頭が回りだすと罪悪感が襲ってくる。
僕の悪いもの、すべてをケイタに吐き出してしまった。
胃液の酸で、喉も口も焼けそうになるし、みんなの前で吐いてしまい、顔も焼けるように熱い。
ケイタは今さら優しく背中をさすってくれるけれど、その優しさがまたムカついた。
(ケイタの・・・バカあぁっ)
カウンターに座っている僕とジンさんのところへ大好きな声を出して、ケイタが帰ってきた。
その声に僕はびくんっ、と反応してしまう。
それに対してジンさんは冷静にすーっ、と僕から離れた。
ジンさん・・・いいや、お酒のせいで鼓動が速くなっていた僕の胸は、後ろめたさなのか、それともスリルなのか・・・さらにドキドキしてしまって制御ができない。
「んっ?」
ケイタはそんな僕と再びクールにお酒を飲みだすジンさんを交互に見て、二人の関係に疑問を持った顔をする。
そんな目を見て、僕の胸はきゅーっとする。
「いつつっ、ちっこい身体のどこにそんな力があるんじゃっ」
後ろから右手を痛そうにふりながら近藤さんもやってくる。
そんな近藤さんの声を聴いてケイタの眉間も柔らかくなりながら、振り返る。
「はっはっはっ、まだまだ若いからなっ」
ケイタが魅力的な上腕二頭筋を出して力を入れる。いわゆる、力こぶだ。
雄々しい曲線。
浮き出た血管がそそる。
僕はごくんっと喉を鳴らす。
「ふん・・・っ、今度のレースはわしらが勝つ。なぁ、ジンよ」
近藤さんに話しかけられたジンさんは立ち上がる。
「えぇ、もちろんです」
メガネをくいっと上げて微笑む。
「おう、おう、おうっ」
近藤さんがジンさんの肩を叩いて、肩を組む。
まるで頼もしく誇らしい息子を紹介するように笑顔でケイタや僕を見てくる。
ジンさんも嬉しそうな顔をしている。
「僕らが次は勝つ」
「へんっ、今日負けてるんじゃねぇか・・・っ。なっ?リン」
ケイタもそれを見て羨ましくなったのか、僕の隣に来て、僕の肩を抱く。
けれど、僕はまだお酒が回っていてふらふらだ。
「う~んっ」
「おいっ、ここはかっこよくいこうぜ?リンっ」
ぶん、ぶん、ぶんっ
(ちょっと・・・そんな風に揺らされたら・・・)
ケイタは乱暴に僕の身体を横に振るう。
頭がぐわんぐわんして、くらくらしてくる。
(あ・・・っ、これはもう・・・だめだぁ)
「うっ、うううううぇ・・・っ」
「リンっ!!!」
やってしまった。
気持ち悪さから解き放たれた感覚。
心地よさに満たされ・・・そして、頭が回りだすと罪悪感が襲ってくる。
僕の悪いもの、すべてをケイタに吐き出してしまった。
胃液の酸で、喉も口も焼けそうになるし、みんなの前で吐いてしまい、顔も焼けるように熱い。
ケイタは今さら優しく背中をさすってくれるけれど、その優しさがまたムカついた。
(ケイタの・・・バカあぁっ)
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