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本編
4話 傷は舐めて癒すもの
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「かんぱ~~いっ」
ゴクゴクゴクッ
ケイタが喉仏を動かしながらビールを美味しそうに流し込むのを、僕は頼んだカシスオレンジを舐める程度に飲みながら流し目で見る。
「ぷはあ~~~っ、やっぱ、これよ、これっ。ヒトミさん。もう一杯っ!!」
「あらあら、相変わらずいい飲みっぷりねケイタくん。今日はサービスしちゃおっかしら」
「おっ、マジッすか、やったな。リンっ」
「痛いよ、ケイタ」
「はっはっはっ、わりーわりー」
僕の肩を叩くケイタ。
酔っているせいかいつもより強い。
「リンくん、これ。いつも大変ね」
ひとみさんは僕にチーズとクラッカーを出してくれる。
「ありがとうございます」
「えーずるいー、ひとみさん、ひとみさん」
ケイタが今度は甘えモードに入っている。
「はいはい、ケイタくんもちょっと待ってなさい」
ひとみさんは料理を作っていく。
ここは、ひとみさんが一人で切り盛りしているお店「ナイル」。
僕たちは関東のレースで優勝すると大体この店に来る。
ひとみさんは僕らより10歳くらい年上で、30代前半だけど物腰が柔らかく大人の魅力がある。ケイタと仲良くする人はあまり好きになれないけれど、ひとみさんは特別だ。
なぜなら、ひとみさんは僕らのお母さんみたいな人だからだ。
「あっ、ケイタ・・・腕っ」
僕はケイタの左腕にあざがあるのを見つける。
昨日、一緒にお風呂に入ったときにはなかったあざだ。
「おっ、あぁ、青あざになってらー。はっはっはっ」
「ごめん・・・」
「んにゃ?」
ケイタがかわいらしく反応する。
もう、虚ろになっている目が本当にかわいい。
けど、今はそれどころじゃない。僕の大事なケイタにケガを負わせてしまったのだから。
「それ、レースで近藤さんとぶつかったときにできたんでしょ・・・。ごめん、僕がジンさんに先攻を許さなければそんな風にならなかったのに・・・」
僕は自分がいい順位を取るために愛しのケイタに怪我をさせてしまったことを反省する。
「なに、しおらしい顔してんだよ、リンはっ。俺が優勝したんだぞっ、俺は凄いんだぞっ。お前が悲しそうな顔したら・・・おれっ、おれっ・・・」
今度は泣き出してしまうケイタ。
「あぁ、ごめん、ごめん。僕が悪かった。ケイタは凄い、すごいよ~」
僕は胸を貸してあげて、ケイタの頭を撫でてあげる。
「ほんと?」
黒の短髪。
凛々しい眉毛と、少し吊り上がった目尻。
ニヒルに笑うとカッコいいケイタが、今は目を潤ませて、僕を見上げてくる。
(本当にかわいいんだから・・・ケイタは)
「ケイタは凄い、ケイタは最強、ケイタは無敵」
「ふっふっふーーーっ。そう、俺が最強じゃい!!!」
ひとみさんが持ってきたビールをまた一気飲みする。
「よーし、こんな青あざなんてナメときゃ・・・治るっ!!なーんて・・・んあっ」
「ぺろっ」
僕はケイタの腕を舐めた。
上目遣いでケイタを見ると、お酒のせいか真っ赤になっていたけれど、それがまたかわいい。僕は気にせず、ぺろぺろケイタの左腕を舐めた。
「しょっぱひぃ・・・」
けれど、僕の大好きなケイタの味だ。
ゴクゴクゴクッ
ケイタが喉仏を動かしながらビールを美味しそうに流し込むのを、僕は頼んだカシスオレンジを舐める程度に飲みながら流し目で見る。
「ぷはあ~~~っ、やっぱ、これよ、これっ。ヒトミさん。もう一杯っ!!」
「あらあら、相変わらずいい飲みっぷりねケイタくん。今日はサービスしちゃおっかしら」
「おっ、マジッすか、やったな。リンっ」
「痛いよ、ケイタ」
「はっはっはっ、わりーわりー」
僕の肩を叩くケイタ。
酔っているせいかいつもより強い。
「リンくん、これ。いつも大変ね」
ひとみさんは僕にチーズとクラッカーを出してくれる。
「ありがとうございます」
「えーずるいー、ひとみさん、ひとみさん」
ケイタが今度は甘えモードに入っている。
「はいはい、ケイタくんもちょっと待ってなさい」
ひとみさんは料理を作っていく。
ここは、ひとみさんが一人で切り盛りしているお店「ナイル」。
僕たちは関東のレースで優勝すると大体この店に来る。
ひとみさんは僕らより10歳くらい年上で、30代前半だけど物腰が柔らかく大人の魅力がある。ケイタと仲良くする人はあまり好きになれないけれど、ひとみさんは特別だ。
なぜなら、ひとみさんは僕らのお母さんみたいな人だからだ。
「あっ、ケイタ・・・腕っ」
僕はケイタの左腕にあざがあるのを見つける。
昨日、一緒にお風呂に入ったときにはなかったあざだ。
「おっ、あぁ、青あざになってらー。はっはっはっ」
「ごめん・・・」
「んにゃ?」
ケイタがかわいらしく反応する。
もう、虚ろになっている目が本当にかわいい。
けど、今はそれどころじゃない。僕の大事なケイタにケガを負わせてしまったのだから。
「それ、レースで近藤さんとぶつかったときにできたんでしょ・・・。ごめん、僕がジンさんに先攻を許さなければそんな風にならなかったのに・・・」
僕は自分がいい順位を取るために愛しのケイタに怪我をさせてしまったことを反省する。
「なに、しおらしい顔してんだよ、リンはっ。俺が優勝したんだぞっ、俺は凄いんだぞっ。お前が悲しそうな顔したら・・・おれっ、おれっ・・・」
今度は泣き出してしまうケイタ。
「あぁ、ごめん、ごめん。僕が悪かった。ケイタは凄い、すごいよ~」
僕は胸を貸してあげて、ケイタの頭を撫でてあげる。
「ほんと?」
黒の短髪。
凛々しい眉毛と、少し吊り上がった目尻。
ニヒルに笑うとカッコいいケイタが、今は目を潤ませて、僕を見上げてくる。
(本当にかわいいんだから・・・ケイタは)
「ケイタは凄い、ケイタは最強、ケイタは無敵」
「ふっふっふーーーっ。そう、俺が最強じゃい!!!」
ひとみさんが持ってきたビールをまた一気飲みする。
「よーし、こんな青あざなんてナメときゃ・・・治るっ!!なーんて・・・んあっ」
「ぺろっ」
僕はケイタの腕を舐めた。
上目遣いでケイタを見ると、お酒のせいか真っ赤になっていたけれど、それがまたかわいい。僕は気にせず、ぺろぺろケイタの左腕を舐めた。
「しょっぱひぃ・・・」
けれど、僕の大好きなケイタの味だ。
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