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少女時代

出会い3

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「ありがとう、ありがとう・・・ううぅっ」

 王妃が今度は嬉しそうに泣きながら私に抱き着いてくる。でも、このおばさんが涙で私の服を濡らすんじゃないかと思いつつ、抵抗してまたキーキー声を出されるのも嫌だったので、視線は合わせずジト目で前を向いていた。

「流石です。フローラ様っ。花の妖精の名は伊達じゃないですねっ!!」

 連れて来た兵士が嬉しそうに叫ぶ。
 小さかった頃は「花の妖精」と言われてたいそう可愛がられていたものだ。

 そのうち、ちゃんと説明しているのに、薬の悪い部分、副作用などに恨みを持った人や、私を妬んだ医者や薬師などが「東洋の魔女」と呼ぶことになるのをこの時は知らず、通り名ってかっこいいと思っていた私は、顔には出さないようにしていたけれど、ちょっとだけ嬉しくなっていた。

「なんということじゃ・・・っ」

 お医者のお爺ちゃんもびっくりして魂が飛び出そうになっていた。
 まぁ、このお爺ちゃんは私を認めてくれることになるお爺ちゃん。国一番のお医者ともなると人に敬意を払うのは当然らしい。こんな生意気な年下の私とも友達になってくれることになる。

「フローラ?聞いたことがあるぞ」

 国王様が記憶を呼び起こそうとしているのを見て、兵士が自慢するように

「そこにいらっしゃるジェイド様が国一の名医ならば、ここにいらっしゃるフローラ様は世界一最少の薬師っ」

 ギロッ

「違うでしょ、世界一の薬師よ」

 私が睨むと、兵士はたじろぐ。

「しっ、失礼しましたっ」

(世界一最少って・・・せめて、世界最年少だし、言葉としても・・・)

「まぁ・・・いいわ。みんな浮かれているけど、私はまだ治したわけじゃないから」

 私はディアス王子の首のリンパを触る。やはり、シコリになって腫れている。

(これくらいなら、あの薬が使えるかしら?)

 言っておくが私は医者じゃない。血を見るのは大っ嫌いだったし、怪我は専門外。歳を重ねて毎月のように血を見るようになってからは、血を見るのも平気になったけれど、グロいのはお医者さんにお任せだ。

 それを勘違いしてくる人もたくさんいて、見捨てるのかと罵られることもこの後もたくさんあった。

 そう、私は勘違いされやすいのだ。

 いや、ほんとに。怪我に対しての知識なんて、文句を言う人と同じくらいしかないのに、文句を言う人は責任逃れで、私に押し付けてくる。全く迷惑な話だ。

 ・・・と、いつの間にか全員が私を見ていた。

「さて・・・、キミ。もう一度聞こうか。私の実験台になるかい?」

 さっきと言うてることちゃいますやんっ、て顔をお医者のお爺ちゃんがしていた。
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