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「わかりました、お受けします」

 私はウィン王子の提案を受けて、ポーカーをすることになった。

「ではっ」

 セバスが座っていたカイジンをどかす。

「んあっ!?」

 すると泡を吹いていたカイジンが目を覚ました。

「イカサマだぁっ!!!」

 そして、見苦しくも騒ぎ始めました。
 優しかったカイジン。お金やギャンブルは人を変える……そう感じました。

「どんなだい?」

 また、冷たい顔をしてウィン王子がカイジンを見る。

「そっ、それは、ディーラーが……」

 確かにディーラーはウィン王子の言うことを聞いている素振りがあった。この人がウィン王子側の人間なら私も勝ちようがない。

「私は公平に行っております」

 ディーラーは淡々と答えた。

「いいや、俺にシャッフルをさせてもう一度……」

「もう一度はないよ、カイジン。ただ、ディーラーはキミがやるといい」

「どういう?」

 ウィン王子が私を見て、ニコっと笑う。

「まさか、こいつとポーカーを?」

「キミにこいつ呼ばわりする資格はもうない。次言ったら……わかるね?」

 カイジンは生唾を飲んで喉を鳴らし、頷いた。

「ディーラーはカイジン、それでいいかな? クレア」

 ウィン王子の問いに、カイジンを見る。

「ちょっと、こ……。いや、ルールとか戦術をクレアに教えてもいいですか? 多分、クレア……さんはわからないので」

 ウィン王子はカイジンが私を呼び捨てで呼ぶのも、カイジンを睨み、カイジンは私をさん付けで呼んだ。ルールは教養としてわかっているけれど、負けたとはいえカイジンもヒントを持っているかもしれない。私はウィン王子を見ると、目が合い、お願いするように頭を下げた。

「うん、じゃあいいよ」

「へへっ、ありがとうございます。こっちへ」

 カイジンに呼ばれて、部屋の隅へと向かう。

「よしっ、お前が勝てば巻き返せる」

「…情報を先に。ルールは分かっております」

 こんな状況を作ったのだから、当然婚約破棄でしょうに。
 そう言いたかったですが、まずは情報を聞かないと。

「ふっ。俺に任せておけ。実はな、一部のカードに爪で跡をつけておいたんだ」

 頭が痛くなりました。
 あれだけ、いかさまと騒いで、自分がいかさまをしていたなんて……情けない。

「だから、俺がいいカード、もちろんジョーカー…いや、もっといい手をお前にやる。これで、勝てる」

「ウィン王子の……いえ、なんでもありません」

 カイジンは勝ち誇った顔をしました。
 慢心……でしょうかね。
 慢心して負けたカイジンからウィン王子の癖などを聞いても、間抜けなフィルターを通してもらった情報だと、真実がより見えなくなる気がしたので止めました。

「そういえばチップは……」

 カイジンがチップのことを気にしていますが、無視しておきましょう。
 私による、私だけのためのポーカーを―――始めましょう。

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