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魔王討伐

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 強大な敵が倒れた。
 けれど、新たな敵が現れる。
 その敵を生み出すのは果たしてその相手なのだろうか、それとも、自分という種を残そうとする自分内にある生存本能なのだろうか。

「ちょっと、せっかく魔王を倒したんだよ?」

 フローレンスが三人の顔色を伺うが三人とも警戒し、距離をとっている。

「でも、お宝を手にしたら仲間割れするのが、人の性だ」

 懲り懲りだ、という顔でガードナーが言う。

「そんな、私たちは勇者のパーティーでしょ。そんなことあるわけないじゃない」

「一人だけ・・・・・・勇がない奴がいる、そうだろ、みんな」

 フローレンスにだって勇はある。だから、回復師という攻撃力も防御力も、さらに生存能力もない状態で魔王城まだついてきた。仮にギルガルドが定義する勇にそぐわなかったとしても、回復師である彼女の特性は献身。回復は自分に使うことができず、私利私欲に走ればエリス神から嫌われて力が弱まる。三人に学があれば、そんな風に疑うことなどなかっただろう。しかし、ギルガルドとガードナーは学よりも己の体や殺戮の技を磨き、マリリーンは天才が故に自分の好きな物しか興味がなく家に引きこもっていた。

 ギルガルドがフローレンスを睨んでそう言うと、フローレンスは「そんな・・・・・・」と言って、ギルガルドに近づこうとすると、ギルガルドは聖剣エクスカリバーの柄に手を添える。それを見てフローレンスはそれ以上近づけなかった。

「あっ」

 天才魔法使いのマリリーンが良いことを思いついたと、表情を明るくし、ギルガルドに耳打ちする。そう彼女は天才である。しかしながら、魔法が優れていると言うことは、好奇心と悪戯心が多いと言うことである。

「・・・・・・っ」

 心配しつつも、苦楽を共にした仲間を信じて待つフローレンス。

「そうだな、そうするか」

 ただ、フローレンス以外はフローレンスと苦楽を共にしたとは思っていない。マリリーンの提案を聞いたギルガルドは不敵な笑みを浮かべた。ギルガルドに賛同を貰ったマリリーンはガードナーにも提案を伝えると、ガードナーもすぐに頷いた。

「わかったわ、フローレンス。私たちはあなたを信じるわ」

 マリリーンの言葉で安堵の顔を浮かべるフローレンス。それを見て喜ぶマリリーン。だがしかし、

「これから故国にテレポートで帰ろうと思うけど、テレポート先で何かあったら、全滅しちゃうじゃない? だから・・・・・・・・・」

 マリリーンが六芒星の魔法陣を展開していく。すると、ギルガルド、ガードナー、マリリーンの三人が光に包まれる。仲間を信じてきたフローレンスも流石に不安がよぎり、手を伸ばす。

「あなたは一人で帰ってきて。じゃっ」

 星の輝きに導かれ、三人は消えてしまった。一人、戦闘能力0、生存能力も低いフローレンスを残して―――
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