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序論

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「とりあえず、キミの文章は難しすぎる。簡単にして」

 そう言って持っていたスマホの画面を見せてくるホウセイ。
 一応、友達だ。
 
 彼が見せてきた画面は僕が投稿した小説が掲載されていたページだ。

「うん、気を付ける」

 ホウセイは読者だ。
 作者であるボクにとっては、神様みたいな存在だ。
 彼の言うことは真摯に受け止めたい。

「それとさ・・・」

「うん」

「この作品ゴミだよね」

 うん・・・訂正しよう、彼の言葉なんか真摯に受け止めていたら、ボクのペンとココロは簡単に折れてしまう。

「えーっと、どこが・・・かな?」

 悲しみを堪えて、平然を装って優しくかつ、恐る恐るホウセイの話を聞く。

「だって、この作品。ランキング11位じゃん、ゴミっしょ」

 ん?

「あの~、ホウセイ・・・?」

「ナンダヨ、レン」

 そこだけ、外国人風かよ。まぁ・・・いい。

「中身は?」

「それなり」

「評価は?」

「ゴミ」

「・・・・・・」

(はあああああああああっ!!!!?なんだよこいつっ!!!!!ランキングの順位でゴミとか、てめえの感覚に自信ねーんだろっ!!!ばーか、ばーか、ばーかっ!!!)

 ボクは心の中で叫んだ。

「よく・・・わからないな」

 とはいえ、笑顔は絶やさない。
 なぜなら、あまり読まれないボクの読者の一人だからだ。

「はぁ・・・」

(いやいや、てめーがっ、ため息ついてんじゃねーよっ。ため息つきたいのはこっちだわ、ボケッ!!!」

 そう言いたいけれど、ぐっと堪える。
 だって、まずはホウセイの意見を引き出さないと。
 どうせぺらっぺらの内容だろうけれど、指摘したらチキンハートが火を噴いて、すぐに殻の中に逃げ込んでしまうかもしれない。
 警戒させずに泳がせて、醜く太った理論を吐かせて、全部吐かせてから、ヤンキーのようにボコボコにするという、究極コンボをお見舞いしてやる。

「4位以下はゴミだぜ、レン」

 ホウセイはドヤ顔で語り始めた・・・

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