11 / 12
11主人公 メリー視点
しおりを挟む
友達になった皆さんが舞踏会の会場から帰ろうとしていると、
「メリー様」
ルーカス・・・様から声を掛けられた。
(そうよ、ルーカスなんて呼び捨てにしちゃいけない)
「なんでしょうか、ルーカス様」
私は何度か様付けで心の中でルーカス様を唱えてから、ルーカス様に返事をした。
「少し・・・残っていただいてもよろしいでしょうか」
一部の友達が好奇な目をむけていらっしゃいましたけれど、私たちは損な関係ではない。私がルーカス様の兄と婚約して、結婚せずに婚約破棄されたから、元義姉と元義弟になりそうで、ならなかった関係だ。
「もちろんです。私もお礼を言いたかったので」
(私のバカ・・・)
今まで人の目なんかあまり気にしてこなかったくせに、私は皆さんに言い訳するように強調して言ってしまったし、ちゃんと第一王子の婚約者としてこの会場に来たけれど、ルーカス様に近くで見つめられたら、ちゃんとオシャレしてきたかもう一度鏡で確認したくなっていた。
バタンッ
私たちを除いた招待客が出て行き、使用人が扉を閉める。
(なぜ、使用人も出て行くのかしら?)
舞踏会の広い会場で私たちは二人きりになった。
「踊りませんか?」
「えっ? あっ、はい」
緊張していたせいで、私は答えていた。
「では・・・」
ニコッと微笑むルーカスが出す手に手を置くと、もう片方の手が私の背中に回される。添えただけで引き寄せられるわけでもない彼の手。当たり前のことだし、レッスンの時に男の先生にも他の男の子にもされたことがあるのに、心臓が張り裂けそうだった。
(ダンスの基本は男性がリード、女性がフォローよね・・・?)
ダンスが上手くなるにつれて、先生に言われたこと。女性がリードするのはダンスとしてはナンセンス。
(男性に・・・身を預けて・・・って、バカッ)
彼の胸に身体を預けてしまいたいと思いながらも、ダンスとして彼のリードに自分の身体の動きを合わせる。
「さすが、メリー様。上手ですね」
「そんな・・・ルーカス様がお上手なのですよ。あと、その・・・様付けはおやめください」
「なぜです?」
「だって、私はもうルーカス様の義理の姉ではありませんし」
「では、僕を呼ぶときにも様を外していただけますか?」
「そっそんな、できませんよ」
私が否定すると、ダンスの流れでルーカスに回されて、私はその通りに回り、引かれたのに合わせて私が回りながら彼に近づくと、背中をギュッとされた。彼の温もりを感じながら、彼の腕に寄りかかると、
「残念」
と微笑んできた。
私の心臓がドクンと動いて、動揺した私は、「私の身体重くないかな」とか余計なことを心配したけれど、すぐに起こされてルーカスと私は再びダンスを続けた。
「メリー様」
ルーカス・・・様から声を掛けられた。
(そうよ、ルーカスなんて呼び捨てにしちゃいけない)
「なんでしょうか、ルーカス様」
私は何度か様付けで心の中でルーカス様を唱えてから、ルーカス様に返事をした。
「少し・・・残っていただいてもよろしいでしょうか」
一部の友達が好奇な目をむけていらっしゃいましたけれど、私たちは損な関係ではない。私がルーカス様の兄と婚約して、結婚せずに婚約破棄されたから、元義姉と元義弟になりそうで、ならなかった関係だ。
「もちろんです。私もお礼を言いたかったので」
(私のバカ・・・)
今まで人の目なんかあまり気にしてこなかったくせに、私は皆さんに言い訳するように強調して言ってしまったし、ちゃんと第一王子の婚約者としてこの会場に来たけれど、ルーカス様に近くで見つめられたら、ちゃんとオシャレしてきたかもう一度鏡で確認したくなっていた。
バタンッ
私たちを除いた招待客が出て行き、使用人が扉を閉める。
(なぜ、使用人も出て行くのかしら?)
舞踏会の広い会場で私たちは二人きりになった。
「踊りませんか?」
「えっ? あっ、はい」
緊張していたせいで、私は答えていた。
「では・・・」
ニコッと微笑むルーカスが出す手に手を置くと、もう片方の手が私の背中に回される。添えただけで引き寄せられるわけでもない彼の手。当たり前のことだし、レッスンの時に男の先生にも他の男の子にもされたことがあるのに、心臓が張り裂けそうだった。
(ダンスの基本は男性がリード、女性がフォローよね・・・?)
ダンスが上手くなるにつれて、先生に言われたこと。女性がリードするのはダンスとしてはナンセンス。
(男性に・・・身を預けて・・・って、バカッ)
彼の胸に身体を預けてしまいたいと思いながらも、ダンスとして彼のリードに自分の身体の動きを合わせる。
「さすが、メリー様。上手ですね」
「そんな・・・ルーカス様がお上手なのですよ。あと、その・・・様付けはおやめください」
「なぜです?」
「だって、私はもうルーカス様の義理の姉ではありませんし」
「では、僕を呼ぶときにも様を外していただけますか?」
「そっそんな、できませんよ」
私が否定すると、ダンスの流れでルーカスに回されて、私はその通りに回り、引かれたのに合わせて私が回りながら彼に近づくと、背中をギュッとされた。彼の温もりを感じながら、彼の腕に寄りかかると、
「残念」
と微笑んできた。
私の心臓がドクンと動いて、動揺した私は、「私の身体重くないかな」とか余計なことを心配したけれど、すぐに起こされてルーカスと私は再びダンスを続けた。
337
お気に入りに追加
616
あなたにおすすめの小説

【短編完結】地味眼鏡令嬢はとっても普通にざまぁする。
鏑木 うりこ
恋愛
クリスティア・ノッカー!お前のようなブスは侯爵家に相応しくない!お前との婚約は破棄させてもらう!
茶色の長い髪をお下げに編んだ私、クリスティアは瓶底メガネをクイっと上げて了承致しました。
ええ、良いですよ。ただ、私の物は私の物。そこら辺はきちんとさせていただきますね?
(´・ω・`)普通……。
でも書いたから見てくれたらとても嬉しいです。次はもっと特徴だしたの書きたいです。

妹が私こそ当主にふさわしいと言うので、婚約者を譲って、これからは自由に生きようと思います。
雲丹はち
恋愛
「ねえ、お父さま。お姉さまより私の方が伯爵家を継ぐのにふさわしいと思うの」
妹シエラが突然、食卓の席でそんなことを言い出した。
今まで家のため、亡くなった母のためと思い耐えてきたけれど、それももう限界だ。
私、クローディア・バローは自分のために新しい人生を切り拓こうと思います。

妹から私の旦那様と結ばれたと手紙が来ましたが、人違いだったようです
今川幸乃
恋愛
ハワード公爵家の長女クララは半年ほど前にガイラー公爵家の長男アドルフと結婚した。
が、優しく穏やかな性格で領主としての才能もあるアドルフは女性から大人気でクララの妹レイチェルも彼と結ばれたクララをしきりにうらやんでいた。
アドルフが領地に次期当主としての勉強をしに帰ったとき、突然クララにレイチェルから「アドルフと結ばれた」と手紙が来る。
だが、レイチェルは知らなかった。
ガイラー公爵家には冷酷非道で女癖が悪く勘当された、アドルフと瓜二つの長男がいたことを。
※短め。

【完結】姉は全てを持っていくから、私は生贄を選びます
かずきりり
恋愛
もう、うんざりだ。
そこに私の意思なんてなくて。
発狂して叫ぶ姉に見向きもしないで、私は家を出る。
貴女に悪意がないのは十分理解しているが、受け取る私は不愉快で仕方なかった。
善意で施していると思っているから、いくら止めて欲しいと言っても聞き入れてもらえない。
聞き入れてもらえないなら、私の存在なんて無いも同然のようにしか思えなかった。
————貴方たちに私の声は聞こえていますか?
------------------------------
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています

自分勝手な側妃を見習えとおっしゃったのですから、わたくしの望む未来を手にすると決めました。
Mayoi
恋愛
国王キングズリーの寵愛を受ける側妃メラニー。
二人から見下される正妃クローディア。
正妃として国王に苦言を呈すれば嫉妬だと言われ、逆に側妃を見習うように言わる始末。
国王であるキングズリーがそう言ったのだからクローディアも決心する。
クローディアは自らの望む未来を手にすべく、密かに手を回す。

【完結】私から全てを奪った妹は、地獄を見るようです。
凛 伊緒
恋愛
「サリーエ。すまないが、君との婚約を破棄させてもらう!」
リデイトリア公爵家が開催した、パーティー。
その最中、私の婚約者ガイディアス・リデイトリア様が他の貴族の方々の前でそう宣言した。
当然、注目は私達に向く。
ガイディアス様の隣には、私の実の妹がいた--
「私はシファナと共にありたい。」
「分かりました……どうぞお幸せに。私は先に帰らせていただきますわ。…失礼致します。」
(私からどれだけ奪えば、気が済むのだろう……。)
妹に宝石類を、服を、婚約者を……全てを奪われたサリーエ。
しかし彼女は、妹を最後まで責めなかった。
そんな地獄のような日々を送ってきたサリーエは、とある人との出会いにより、運命が大きく変わっていく。
それとは逆に、妹は--
※全11話構成です。
※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、ネタバレの嫌な方はコメント欄を見ないようにしていただければと思います……。

婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。

悪いのは全て妹なのに、婚約者は私を捨てるようです
天宮有
恋愛
伯爵令嬢シンディの妹デーリカは、様々な人に迷惑をかけていた。
デーリカはシンディが迷惑をかけていると言い出して、婚約者のオリドスはデーリカの発言を信じてしまう。
オリドスはシンディとの婚約を破棄して、デーリカと婚約したいようだ。
婚約破棄を言い渡されたシンディは、家を捨てようとしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる