7 / 9
7
しおりを挟む
そう、私は孤独。
シーザーが助けたのも、兄であるカイザーの尻ぬぐい。そして、人命救助はしなければならないという正義感。
そうに違いない。
(頭が良い子ぶって、言いたいことを素直に言えないのは私の悪い癖・・・・・・分かっている)
「ありがとうございました、あとは大丈夫ですのでシーザー王子もお休みください」
心も身体もシーザーを見ていたら、熱を帯びたけれど、今では口も頭も大分働くようになった。いつもの私は礼儀正しいのだから。
「お気になさらずに聞いていただきたいのですが・・・あっ、もちろん不快な思いをしたら大変申し訳ないのですが・・・スノウ様が寝ているベッドは僕のベッドなんです」
(やだ・・・私ったら)
喜んでいる自分がいた。
そして、汗とか掻いて、自分の匂いが付いていないか気になって気恥ずかしくなった。
「無我夢中で貴女を助けようとしていたら、僕の部屋に運んでいて・・・すいません」
(どうやって、運ばれたのかしら? おんぶ? それとも・・・)
お姫様抱っこだったら、嬉しい。だけど、記憶がないところで初のお姫様抱っこをしているというのも少し悲しい。でも、シーザーとラブラブして・・・ラブラブ・・・・・・
(って・・・バカなの私。さっきから盛り上がり過ぎ)
シーザーとラブラブするイメージはテンションが上がったけれど、またカイザーとリューネが思い出されて、国外追放なのにカイザーがリューネをお姫様抱っこして逃亡している妄想をしてしまった。
(駄目だ私、本当に)
疲れているせいで、気分の起伏が激しい。
そんな時に同い年ぐらいのシーザーが傍に居たら、
「シーザー様・・・お止めください」
「何をでしょうか?」
これはシーザーにじゃない、自分を戒めるための言葉。
「シーザー様が女性の扱いに長けているのは存じております。ですが、今のこの弱った私をかどわかそうような真似はお避け下さい」
シーザーは決して私をからかったり、弱みにつけこもうとしたりもしておらず、誠実に私の身や心を案じてくださっている。だから、自分がシーザーに恋心を持たないため、なんなら「なんだ、この勘違い女は」と思われるくらいの恥ずかしい言動で恋を断ち切りたいのだ。
(そう・・・これで・・・)
「嫌です」
「えっ」
シーザーの返事は私の予想外だった。冗談にするつもりが真剣な顔で返事をしてきたシーザーに謝らないと、
「しっ、失礼しました」
私は謝るけれど、シーザーは、
「もし不誠実だと感じたならお詫び申し上げますが、僕は本気で貴女のことを想っています」
と言いながら、顔を寄せてきた。
「そんな・・・」
身体も心も本調子になったと思ったけれど、私はいつものように相手の意図することがすっきりわかることもなく、困惑しながらも、相手の気持ちが少しずつ分かるようで分からないのが少し心地よく感じた。
シーザーが助けたのも、兄であるカイザーの尻ぬぐい。そして、人命救助はしなければならないという正義感。
そうに違いない。
(頭が良い子ぶって、言いたいことを素直に言えないのは私の悪い癖・・・・・・分かっている)
「ありがとうございました、あとは大丈夫ですのでシーザー王子もお休みください」
心も身体もシーザーを見ていたら、熱を帯びたけれど、今では口も頭も大分働くようになった。いつもの私は礼儀正しいのだから。
「お気になさらずに聞いていただきたいのですが・・・あっ、もちろん不快な思いをしたら大変申し訳ないのですが・・・スノウ様が寝ているベッドは僕のベッドなんです」
(やだ・・・私ったら)
喜んでいる自分がいた。
そして、汗とか掻いて、自分の匂いが付いていないか気になって気恥ずかしくなった。
「無我夢中で貴女を助けようとしていたら、僕の部屋に運んでいて・・・すいません」
(どうやって、運ばれたのかしら? おんぶ? それとも・・・)
お姫様抱っこだったら、嬉しい。だけど、記憶がないところで初のお姫様抱っこをしているというのも少し悲しい。でも、シーザーとラブラブして・・・ラブラブ・・・・・・
(って・・・バカなの私。さっきから盛り上がり過ぎ)
シーザーとラブラブするイメージはテンションが上がったけれど、またカイザーとリューネが思い出されて、国外追放なのにカイザーがリューネをお姫様抱っこして逃亡している妄想をしてしまった。
(駄目だ私、本当に)
疲れているせいで、気分の起伏が激しい。
そんな時に同い年ぐらいのシーザーが傍に居たら、
「シーザー様・・・お止めください」
「何をでしょうか?」
これはシーザーにじゃない、自分を戒めるための言葉。
「シーザー様が女性の扱いに長けているのは存じております。ですが、今のこの弱った私をかどわかそうような真似はお避け下さい」
シーザーは決して私をからかったり、弱みにつけこもうとしたりもしておらず、誠実に私の身や心を案じてくださっている。だから、自分がシーザーに恋心を持たないため、なんなら「なんだ、この勘違い女は」と思われるくらいの恥ずかしい言動で恋を断ち切りたいのだ。
(そう・・・これで・・・)
「嫌です」
「えっ」
シーザーの返事は私の予想外だった。冗談にするつもりが真剣な顔で返事をしてきたシーザーに謝らないと、
「しっ、失礼しました」
私は謝るけれど、シーザーは、
「もし不誠実だと感じたならお詫び申し上げますが、僕は本気で貴女のことを想っています」
と言いながら、顔を寄せてきた。
「そんな・・・」
身体も心も本調子になったと思ったけれど、私はいつものように相手の意図することがすっきりわかることもなく、困惑しながらも、相手の気持ちが少しずつ分かるようで分からないのが少し心地よく感じた。
76
お気に入りに追加
259
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。
りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。
やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか
勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。
ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。
蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。
そんな生活もううんざりです
今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。
これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。

殿下に婚約破棄されたわたくしに、新しい婚約者を教育してほしい? 良いですよ、全く頑張りませんけれど
kieiku
恋愛
つまり月給制で、アンジュ様が嫌だと言ったらその日はそれで終了。そういうことですよね。楽な仕事だわぁ。

彼と婚約破棄しろと言われましても困ります。なぜなら、彼は婚約者ではありませんから
水上
恋愛
「私は彼のことを心から愛しているの! 彼と婚約破棄して!」
「……はい?」
子爵令嬢である私、カトリー・ロンズデールは困惑していた。
だって、私と彼は婚約なんてしていないのだから。
「エリオット様と別れろって言っているの!」
彼女は下品に怒鳴りながら、ポケットから出したものを私に投げてきた。
そのせいで、私は怪我をしてしまった。
いきなり彼と別れろと言われても、それは無理な相談である。
だって、彼は──。
そして勘違いした彼女は、自身を破滅へと導く、とんでもない騒動を起こすのだった……。
※この作品は、旧作を加筆、修正して再掲載したものです。
私のことはお気になさらず
みおな
恋愛
侯爵令嬢のティアは、婚約者である公爵家の嫡男ケレスが幼馴染である伯爵令嬢と今日も仲睦まじくしているのを見て決意した。
そんなに彼女が好きなのなら、お二人が婚約すればよろしいのよ。
私のことはお気になさらず。
【完結】あなたは知らなくていいのです
楽歩
恋愛
無知は不幸なのか、全てを知っていたら幸せなのか
セレナ・ホフマン伯爵令嬢は3人いた王太子の婚約者候補の一人だった。しかし王太子が選んだのは、ミレーナ・アヴリル伯爵令嬢。婚約者候補ではなくなったセレナは、王太子の従弟である公爵令息の婚約者になる。誰にも関心を持たないこの令息はある日階段から落ち…
え?転生者?私を非難している者たちに『ざまぁ』をする?この目がキラキラの人はいったい…
でも、婚約者様。ふふ、少し『ざまぁ』とやらが、甘いのではなくて?きっと私の方が上手ですわ。
知らないからー幸せか、不幸かーそれは、セレナ・ホフマン伯爵令嬢のみぞ知る
※誤字脱字、勉強不足、名前間違いなどなど、どうか温かい目でm(_ _"m)
巻き戻される運命 ~私は王太子妃になり誰かに突き落とされ死んだ、そうしたら何故か三歳の子どもに戻っていた~
アキナヌカ
恋愛
私(わたくし)レティ・アマンド・アルメニアはこの国の第一王子と結婚した、でも彼は私のことを愛さずに仕事だけを押しつけた。そうして私は形だけの王太子妃になり、やがて側室の誰かにバルコニーから突き落とされて死んだ。でも、気がついたら私は三歳の子どもに戻っていた。
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
国樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる