【9話完結】お茶会? 茶番の間違いでしょ?『毒を入れるのはやり過ぎです。婚約破棄を言い出す度胸もないなら私から申し上げますね』

西東友一

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 そう、私は孤独。
 
 シーザーが助けたのも、兄であるカイザーの尻ぬぐい。そして、人命救助はしなければならないという正義感。
 そうに違いない。

(頭が良い子ぶって、言いたいことを素直に言えないのは私の悪い癖・・・・・・分かっている)

「ありがとうございました、あとは大丈夫ですのでシーザー王子もお休みください」

 心も身体もシーザーを見ていたら、熱を帯びたけれど、今では口も頭も大分働くようになった。いつもの私は礼儀正しいのだから。

「お気になさらずに聞いていただきたいのですが・・・あっ、もちろん不快な思いをしたら大変申し訳ないのですが・・・スノウ様が寝ているベッドは僕のベッドなんです」

(やだ・・・私ったら)

 喜んでいる自分がいた。
 そして、汗とか掻いて、自分の匂いが付いていないか気になって気恥ずかしくなった。

「無我夢中で貴女を助けようとしていたら、僕の部屋に運んでいて・・・すいません」

(どうやって、運ばれたのかしら? おんぶ? それとも・・・)

 お姫様抱っこだったら、嬉しい。だけど、記憶がないところで初のお姫様抱っこをしているというのも少し悲しい。でも、シーザーとラブラブして・・・ラブラブ・・・・・・

(って・・・バカなの私。さっきから盛り上がり過ぎ)

 シーザーとラブラブするイメージはテンションが上がったけれど、またカイザーとリューネが思い出されて、国外追放なのにカイザーがリューネをお姫様抱っこして逃亡している妄想をしてしまった。

(駄目だ私、本当に)

 疲れているせいで、気分の起伏が激しい。
 そんな時に同い年ぐらいのシーザーが傍に居たら、

「シーザー様・・・お止めください」

「何をでしょうか?」

 これはシーザーにじゃない、自分を戒めるための言葉。

「シーザー様が女性の扱いに長けているのは存じております。ですが、今のこの弱った私をかどわかそうような真似はお避け下さい」

 シーザーは決して私をからかったり、弱みにつけこもうとしたりもしておらず、誠実に私の身や心を案じてくださっている。だから、自分がシーザーに恋心を持たないため、なんなら「なんだ、この勘違い女は」と思われるくらいの恥ずかしい言動で恋を断ち切りたいのだ。

(そう・・・これで・・・)

「嫌です」

「えっ」

 シーザーの返事は私の予想外だった。冗談にするつもりが真剣な顔で返事をしてきたシーザーに謝らないと、

「しっ、失礼しました」

 私は謝るけれど、シーザーは、

「もし不誠実だと感じたならお詫び申し上げますが、僕は本気で貴女のことを想っています」

 と言いながら、顔を寄せてきた。

「そんな・・・」

 身体も心も本調子になったと思ったけれど、私はいつものように相手の意図することがすっきりわかることもなく、困惑しながらも、相手の気持ちが少しずつ分かるようで分からないのが少し心地よく感じた。

 
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