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(まったく・・・)
妹のリューネと私の婚約者である第一王子のカイザー主催のお茶会が開かれてしまった。
といっても、両家の恥をさらすわけにはいかないと、身内だけのお茶会になった。
「さっ、お姉様。最後の晩餐にも出せる美味しいお茶ですよ?」
嬉しそうなリューネ。
最後の晩餐と言っている時点で、私がこれを飲んで苦しんだり、死んでしまったらあなたが犯人だってみんな気づくけれど、そういうこともわからないのかしら。
きっと、私がいなくなっても、我家の家督を継ぐのは自分しかいないのだから、処分されないし、私の事業を丸々奪えると思っているのかもしれないが、そんなことお父様とお母様は許さないし、そんなことをする娘よりも養子縁組で頭のいい子を息子や娘にするだろう。
「どうなさったの?」
今回のお茶会の主賓は私と言うことなっている。
だから、国王なども主催者のカイザーの親という立場で来ているので、私が飲むまで飲まない。みんなの視線が私に集まる。
「リューネ・・・」
「なっ、何よ。別に変なことしていないんだからっ」
「お茶の淹れ方が上手になったわね」
「えっ?」
人を陥れるためならこんなにも頑張れるリューネ。その努力が自分を着飾る洋服や宝石収集などでもなく、自分磨きだったら、私はリューネに勝てないかもしれない。
どうしようかしら・・・
出されたお茶は適温で出されてからすぐに飲むべきである。けれど、これは毒が入っている可能性がある。
レアケースとして、私に偽情報を掴ませて、毒なんて入っておらず、妹やカイザーのことを信用しないひどい女というレッテルをつける作戦かもしれない。その場合は、カイザーの薄っぺらい信頼にも傷が付くことなく、私と婚約破棄ができるだろう。ただ、私が健在ならば彼女たちにお金は入らない。
(まぁ、そんなことまで策を巡らせる二人ではないわね)
でも、よくもまぁ、お金のためとはいえ、私を殺そうとしますわね。
いや、妹のリューネに関しては、お金というよりは、カイザーと結婚したいのでしょう。それは、王家というブランドなのか、いつもお金を貸さない私への当てつけなのか・・・。
(リューネとカイザーがお似合いか・・・)
私の方が先にカイザーと出会ったけれど、金銭感覚や、私への殺人計画にしても、カイザーとリューネは気が合うのでしょう。カイザーも私以外のお金を持った女性ではなく、リューネを選ぶと言うことはそういうことなのでしょう。
(なら、婚約破棄していただければいいのに・・・)
「決めました」
私は立ち上がると、
「ええ、さっと飲んでください」
リューネが嬉しそうにお茶を飲むように促してくる。
「私、スノウは、カイザーと婚約を破棄します」
こんな茶番・・・お茶会、早く帰りましょう。
妹のリューネと私の婚約者である第一王子のカイザー主催のお茶会が開かれてしまった。
といっても、両家の恥をさらすわけにはいかないと、身内だけのお茶会になった。
「さっ、お姉様。最後の晩餐にも出せる美味しいお茶ですよ?」
嬉しそうなリューネ。
最後の晩餐と言っている時点で、私がこれを飲んで苦しんだり、死んでしまったらあなたが犯人だってみんな気づくけれど、そういうこともわからないのかしら。
きっと、私がいなくなっても、我家の家督を継ぐのは自分しかいないのだから、処分されないし、私の事業を丸々奪えると思っているのかもしれないが、そんなことお父様とお母様は許さないし、そんなことをする娘よりも養子縁組で頭のいい子を息子や娘にするだろう。
「どうなさったの?」
今回のお茶会の主賓は私と言うことなっている。
だから、国王なども主催者のカイザーの親という立場で来ているので、私が飲むまで飲まない。みんなの視線が私に集まる。
「リューネ・・・」
「なっ、何よ。別に変なことしていないんだからっ」
「お茶の淹れ方が上手になったわね」
「えっ?」
人を陥れるためならこんなにも頑張れるリューネ。その努力が自分を着飾る洋服や宝石収集などでもなく、自分磨きだったら、私はリューネに勝てないかもしれない。
どうしようかしら・・・
出されたお茶は適温で出されてからすぐに飲むべきである。けれど、これは毒が入っている可能性がある。
レアケースとして、私に偽情報を掴ませて、毒なんて入っておらず、妹やカイザーのことを信用しないひどい女というレッテルをつける作戦かもしれない。その場合は、カイザーの薄っぺらい信頼にも傷が付くことなく、私と婚約破棄ができるだろう。ただ、私が健在ならば彼女たちにお金は入らない。
(まぁ、そんなことまで策を巡らせる二人ではないわね)
でも、よくもまぁ、お金のためとはいえ、私を殺そうとしますわね。
いや、妹のリューネに関しては、お金というよりは、カイザーと結婚したいのでしょう。それは、王家というブランドなのか、いつもお金を貸さない私への当てつけなのか・・・。
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(なら、婚約破棄していただければいいのに・・・)
「決めました」
私は立ち上がると、
「ええ、さっと飲んでください」
リューネが嬉しそうにお茶を飲むように促してくる。
「私、スノウは、カイザーと婚約を破棄します」
こんな茶番・・・お茶会、早く帰りましょう。
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