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「どこが・・・変なんだよ?」
私はビビりながらも、顔や声から気取られないように答える。都合のいいことに流星くんの表情筋は死んでいるかのようにほとんど動かなかった。
(さすが、クールガイ・・・)
私の顔だったら、すぐにバレてしまうだろう。そのせいか、すぐに謝る癖までついている。それは、脊髄反射のごとくだから、プライドの高い流星くんであっても抗えずにすぐ様謝ってしまうに違いない。
「えっ、なんか~~~~、ちょっとだけ昔の流星みたい」
そう言いながら、由衣ちゃんは笑いながら前を向いてしまった。
(よかった~~~~~っ、バレてないみたいね)
幼馴染にバレないのであれば、結構私の演技はいい線いっているのかもしれない。
「さっ、いこっ」
「おうっ」
私も返事をして由衣ちゃんの隣を歩く。
由衣ちゃんは上機嫌で授業についていけない話や、友達の羨ましい話、昨日のテレビや、高校生が恋するネットの配信の話など、自分の話をしてくれた。
(さっきまで、キモいとか言ったり、こんなに笑顔になったり思春期って起伏が激しいなぁ)
「ねぇ、流星」
「ん?なに?」
「なんか、良いことでもあった?」
私の視線に気づいているにも拘らず、由衣ちゃんは私の目を見ない。
「なんで、そう思うだ?」
「なんか・・・目が優しい」
「そうか?」
「そうよ」
褒めた由衣ちゃんの方が照れている。
「そうか」
なんか、嬉しかった。
久しぶりに褒められた気がした。
「ありがとう」
「ふんっ」
(あらあら、今度は怒っちゃった・・・違うか、照れてるのかしら)
これが若さの魅力。
大人になって、すぐ人を褒めるようになってしまった私。いや、私だけじゃない。多くの大人が人を簡単に褒める。褒めた方がことを優位に進められる・・・打算だ。
打算が汚いと毛嫌いしているからこんなに綺麗なんだろうか。
大人のように笑顔の仮面をつけることなく、純粋で無邪気な感情をぶつけ合う。
本気の言葉は人の心をときめかせる奇跡の果実であり、本気の言葉は人の心を殺す呪いの剣になる。
(でも・・・気を付けないと・・・。私は異分子。流星くんの青春を私のような社会に染まった人間が汚しちゃいない)
距離感は難しいけれど、私は由衣ちゃんとの心の距離感を気を付けないといけないと思った。
(ふふっ、せっかくの青春が舞い戻ったけれど・・・流星くんのものだものね)
社会人になってから、仕事で才能も若さも擦り切れるように使っても、現状は全然変わらなかった。でも、学生は身体も心も一日ごとに成長していく。そんな中で、現状維持を求めて、今のままでいられるのか。
青春を終えた偽りの私が。
私はビビりながらも、顔や声から気取られないように答える。都合のいいことに流星くんの表情筋は死んでいるかのようにほとんど動かなかった。
(さすが、クールガイ・・・)
私の顔だったら、すぐにバレてしまうだろう。そのせいか、すぐに謝る癖までついている。それは、脊髄反射のごとくだから、プライドの高い流星くんであっても抗えずにすぐ様謝ってしまうに違いない。
「えっ、なんか~~~~、ちょっとだけ昔の流星みたい」
そう言いながら、由衣ちゃんは笑いながら前を向いてしまった。
(よかった~~~~~っ、バレてないみたいね)
幼馴染にバレないのであれば、結構私の演技はいい線いっているのかもしれない。
「さっ、いこっ」
「おうっ」
私も返事をして由衣ちゃんの隣を歩く。
由衣ちゃんは上機嫌で授業についていけない話や、友達の羨ましい話、昨日のテレビや、高校生が恋するネットの配信の話など、自分の話をしてくれた。
(さっきまで、キモいとか言ったり、こんなに笑顔になったり思春期って起伏が激しいなぁ)
「ねぇ、流星」
「ん?なに?」
「なんか、良いことでもあった?」
私の視線に気づいているにも拘らず、由衣ちゃんは私の目を見ない。
「なんで、そう思うだ?」
「なんか・・・目が優しい」
「そうか?」
「そうよ」
褒めた由衣ちゃんの方が照れている。
「そうか」
なんか、嬉しかった。
久しぶりに褒められた気がした。
「ありがとう」
「ふんっ」
(あらあら、今度は怒っちゃった・・・違うか、照れてるのかしら)
これが若さの魅力。
大人になって、すぐ人を褒めるようになってしまった私。いや、私だけじゃない。多くの大人が人を簡単に褒める。褒めた方がことを優位に進められる・・・打算だ。
打算が汚いと毛嫌いしているからこんなに綺麗なんだろうか。
大人のように笑顔の仮面をつけることなく、純粋で無邪気な感情をぶつけ合う。
本気の言葉は人の心をときめかせる奇跡の果実であり、本気の言葉は人の心を殺す呪いの剣になる。
(でも・・・気を付けないと・・・。私は異分子。流星くんの青春を私のような社会に染まった人間が汚しちゃいない)
距離感は難しいけれど、私は由衣ちゃんとの心の距離感を気を付けないといけないと思った。
(ふふっ、せっかくの青春が舞い戻ったけれど・・・流星くんのものだものね)
社会人になってから、仕事で才能も若さも擦り切れるように使っても、現状は全然変わらなかった。でも、学生は身体も心も一日ごとに成長していく。そんな中で、現状維持を求めて、今のままでいられるのか。
青春を終えた偽りの私が。
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