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ドキドキッ
(さぁ、正解か・・・?)
私は名字で布川由衣ちゃんを呼んでみた。
そう、私は初対面の相手布川由衣ちゃんの名前を知っていた。そして、彼女がこの身体の持ち主である二階堂流星くんの長馴染みであることも記憶としてある。なんなら、昔由衣ちゃんにプロポーズをせがまれて、将来結婚しようと由衣ちゃんに言ったことも、そう言ったら由衣ちゃんがめちゃくちゃかわいい顔をして喜んでくれたことも、その後、異性と遊ぶのが変だと言われたり、勉強やスポーツをして疎遠になって微妙な関係になってしまったことも記憶がある。
そして、この胸の高鳴りはクイズの正解を待っているだけではないことも、私は察した。
「なんなのよ・・・急にちゃん付けしてみたり・・・っ」
(あぁ・・・かわいいなぁ・・・)
青春しているな、と思った。
湧き上がる気持ち。理性が冷静に働かない。
(あー懐かしいなぁ、この感じ)
昔の私だったら、この恋の気持ちが湧き上がってくると、相手や自分に負けた気がしてわざと冷たい態度を取ったりしただろう。
(それに自信も無かったし)
今はかなり高スペックの流星くんの身体だ。勉強もスポーツもできるし、顔だって悪くない。
「一緒に学校に行くの?」
私は純粋に聞いてみた。
「何その、上から目線の言い方?」
あぁ、思春期だなぁ。
「ごめんなさい、そんなつもりはなかったの」
「なかった・・・の?」
いけない、慌ててて油断したらいつもの口調になってしまった。
「流星、なんかさっきから変だよ?っていうか、本当に流星?」
由衣ちゃんが警戒した顔をしている。
(やばいっやばいっ)
私はさらに焦る。
「てか、さっきからカメラ越しって失礼だと思わないの?顔見せて話しなさいよ。フェアじゃないわ」
由衣ちゃんは怒っている。彼女の言うことは正論だ。
「・・・わかったよ。まだ、パジャマだから着替えてからでもいいか?」
「・・・早くしてね」
「ああっじゃあ、一回切るね」
「・・・」
ピッ
「だはーーーーーーっ」
どっと疲れた。
語尾とかもいちいちチェックされている気がして、かなり怖い。カメラ越しでこんな感じなら、目の前にして話をして、素振りなんかも見られたらと思うと、かなり不安だ。
「って、早く着替えないと」
私は歩き出す。
無意識に動き出して、制服が閉まっているところに直行できた。
(そういえば、トイレや鏡の場所も無意識に見つけられたな・・・)
私は着替えながら、ある程度の知識や経験は残っていることを分析する。
「よいしょっ・・・・っ」
私はスラックスのチャックをいつも通り気合を入れるように思いっきり上にあげる。
ガリッ
彼もズボンは履くだろう。そして、私もズボンを履く。
私は私の身体での普段通りにチャックを上げた。
けれど、私と彼で最も異なる部位、昔の身体にはなくて今の身体にはある男性の象徴。
その存在を意識していなかった私は、思いっきりチャックに挟んでしまった。
「ああああああああっ」
その日、そのマンションで聞いたことないような流星くんの悲鳴が響き渡った。
(さぁ、正解か・・・?)
私は名字で布川由衣ちゃんを呼んでみた。
そう、私は初対面の相手布川由衣ちゃんの名前を知っていた。そして、彼女がこの身体の持ち主である二階堂流星くんの長馴染みであることも記憶としてある。なんなら、昔由衣ちゃんにプロポーズをせがまれて、将来結婚しようと由衣ちゃんに言ったことも、そう言ったら由衣ちゃんがめちゃくちゃかわいい顔をして喜んでくれたことも、その後、異性と遊ぶのが変だと言われたり、勉強やスポーツをして疎遠になって微妙な関係になってしまったことも記憶がある。
そして、この胸の高鳴りはクイズの正解を待っているだけではないことも、私は察した。
「なんなのよ・・・急にちゃん付けしてみたり・・・っ」
(あぁ・・・かわいいなぁ・・・)
青春しているな、と思った。
湧き上がる気持ち。理性が冷静に働かない。
(あー懐かしいなぁ、この感じ)
昔の私だったら、この恋の気持ちが湧き上がってくると、相手や自分に負けた気がしてわざと冷たい態度を取ったりしただろう。
(それに自信も無かったし)
今はかなり高スペックの流星くんの身体だ。勉強もスポーツもできるし、顔だって悪くない。
「一緒に学校に行くの?」
私は純粋に聞いてみた。
「何その、上から目線の言い方?」
あぁ、思春期だなぁ。
「ごめんなさい、そんなつもりはなかったの」
「なかった・・・の?」
いけない、慌ててて油断したらいつもの口調になってしまった。
「流星、なんかさっきから変だよ?っていうか、本当に流星?」
由衣ちゃんが警戒した顔をしている。
(やばいっやばいっ)
私はさらに焦る。
「てか、さっきからカメラ越しって失礼だと思わないの?顔見せて話しなさいよ。フェアじゃないわ」
由衣ちゃんは怒っている。彼女の言うことは正論だ。
「・・・わかったよ。まだ、パジャマだから着替えてからでもいいか?」
「・・・早くしてね」
「ああっじゃあ、一回切るね」
「・・・」
ピッ
「だはーーーーーーっ」
どっと疲れた。
語尾とかもいちいちチェックされている気がして、かなり怖い。カメラ越しでこんな感じなら、目の前にして話をして、素振りなんかも見られたらと思うと、かなり不安だ。
「って、早く着替えないと」
私は歩き出す。
無意識に動き出して、制服が閉まっているところに直行できた。
(そういえば、トイレや鏡の場所も無意識に見つけられたな・・・)
私は着替えながら、ある程度の知識や経験は残っていることを分析する。
「よいしょっ・・・・っ」
私はスラックスのチャックをいつも通り気合を入れるように思いっきり上にあげる。
ガリッ
彼もズボンは履くだろう。そして、私もズボンを履く。
私は私の身体での普段通りにチャックを上げた。
けれど、私と彼で最も異なる部位、昔の身体にはなくて今の身体にはある男性の象徴。
その存在を意識していなかった私は、思いっきりチャックに挟んでしまった。
「ああああああああっ」
その日、そのマンションで聞いたことないような流星くんの悲鳴が響き渡った。
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