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しおりを挟む「ううぅ・・・・・・うっ!!」
私はなかなか開かないインスタントコーヒーの瓶と格闘していた。
なかなか開かなくて、困っていたが三田先輩のことを思い出したら、私に力が宿って、今までの苦戦が嘘だったかのように簡単に開いた。コーヒーの瓶が開くと、コーヒーの香りが私を少し癒してくれた。私は自分の愛用してるマグカップにコーヒーの粉を入れていく。今日の気分は少し多めだ。
お湯を注いでいくと、湯気と共にコーヒーの香りが先ほどよりも強くなり、私はその香りを楽しむ。
「ふふっ」
たかが、インスタントコーヒー。
そんな香りで気分が良くなる私ってなんて安上がりな女なんだろう。
「なんで、私が入ってないんだよ。バァーカ・・・・・・っ」
私を除け者にするような奴に、砂糖なんか入れてやるもんか。バーカッ、バーカッ。
三田先輩のコーヒーはブラックになるように、バカと心の中で呟くリズムに合わせて、コーヒーの粉を見た先輩のマグカップに入れてやった。
(一番バカなのは私か・・・・・・)
三田先輩を好きになっている自分。
あぁ、見えて仕事だって、やるときはやるし、あんな感じだから、空気読めないこともあるけれど、優しいのだ。あの人が怒ったところを見たことも無いし、きつく当たっても嫌な顔ひとつしない。でも、仕事が落ち着くクリスマスシーズンは流石に職場は避けているようだが、色んな子にアプローチをしている様子で、ああいうタイプを好きになってしまうのはなんか癪なのだ。
「はいっ、どうぞ」
私はゆっくりと、たっぷりコーヒーの注がれた自分と三田先輩のマグカップを両手で運ぶ。
「おっ、あんがと」
三田先輩が私からマグカップを受け取るときに、そっと指が触れた。
「あっ・・・・・・熱いですよ」
自分でもびっくりするような可愛らしい声が自分から出て、なんとか取り繕う。少し、表情にも出てしまった気がするけれど、どうせ鈍い三田先輩は気づかない・・・だろう。
「おうっ・・・・・・にがっ」
笑顔で受け取った三田先輩がコーヒーを口に運んで、渋い顔をする。
(ざまぁみろ、このにぶちんが)
「これ、ちゃんと、砂糖入っている?」
「入ってますよーーーっ。ちゃんと、ミルクも入ってますし」
ほぼブラックなのだが、わずかに茶色味がある色を見て、三田先輩は「確かに」と言って、もう一度コーヒーを口に運び、再び苦そうな顔をしていた。
(うん、苦い)
私は自分のブラックコーヒーを口に運ぶ。けれど、私は三田先輩とは逆に表情が緩み、その苦みを味わった。
「クリスマス・・・私と遊びません?」
どうやら、緩み過ぎてしまったようだ。
私はそんな言葉を口走っていた。
私はなかなか開かないインスタントコーヒーの瓶と格闘していた。
なかなか開かなくて、困っていたが三田先輩のことを思い出したら、私に力が宿って、今までの苦戦が嘘だったかのように簡単に開いた。コーヒーの瓶が開くと、コーヒーの香りが私を少し癒してくれた。私は自分の愛用してるマグカップにコーヒーの粉を入れていく。今日の気分は少し多めだ。
お湯を注いでいくと、湯気と共にコーヒーの香りが先ほどよりも強くなり、私はその香りを楽しむ。
「ふふっ」
たかが、インスタントコーヒー。
そんな香りで気分が良くなる私ってなんて安上がりな女なんだろう。
「なんで、私が入ってないんだよ。バァーカ・・・・・・っ」
私を除け者にするような奴に、砂糖なんか入れてやるもんか。バーカッ、バーカッ。
三田先輩のコーヒーはブラックになるように、バカと心の中で呟くリズムに合わせて、コーヒーの粉を見た先輩のマグカップに入れてやった。
(一番バカなのは私か・・・・・・)
三田先輩を好きになっている自分。
あぁ、見えて仕事だって、やるときはやるし、あんな感じだから、空気読めないこともあるけれど、優しいのだ。あの人が怒ったところを見たことも無いし、きつく当たっても嫌な顔ひとつしない。でも、仕事が落ち着くクリスマスシーズンは流石に職場は避けているようだが、色んな子にアプローチをしている様子で、ああいうタイプを好きになってしまうのはなんか癪なのだ。
「はいっ、どうぞ」
私はゆっくりと、たっぷりコーヒーの注がれた自分と三田先輩のマグカップを両手で運ぶ。
「おっ、あんがと」
三田先輩が私からマグカップを受け取るときに、そっと指が触れた。
「あっ・・・・・・熱いですよ」
自分でもびっくりするような可愛らしい声が自分から出て、なんとか取り繕う。少し、表情にも出てしまった気がするけれど、どうせ鈍い三田先輩は気づかない・・・だろう。
「おうっ・・・・・・にがっ」
笑顔で受け取った三田先輩がコーヒーを口に運んで、渋い顔をする。
(ざまぁみろ、このにぶちんが)
「これ、ちゃんと、砂糖入っている?」
「入ってますよーーーっ。ちゃんと、ミルクも入ってますし」
ほぼブラックなのだが、わずかに茶色味がある色を見て、三田先輩は「確かに」と言って、もう一度コーヒーを口に運び、再び苦そうな顔をしていた。
(うん、苦い)
私は自分のブラックコーヒーを口に運ぶ。けれど、私は三田先輩とは逆に表情が緩み、その苦みを味わった。
「クリスマス・・・私と遊びません?」
どうやら、緩み過ぎてしまったようだ。
私はそんな言葉を口走っていた。
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