25 / 38
本編 婚約破棄編(仮)
22 アーサー視点
しおりを挟む
馬に乗って、大分時間が経ち、朝日が昇る頃出発したのに、そろそろ夕日が沈む。
「姫さん、そろそろ休もうか?」
「ううん、もう少し、行きましょ・・・、もう少し」
これで、何度目だろうか。俺が姫さんに休みを提案して断られるのは。
「でも、そろそろ俺は腹が減ったぜ?」
そんなに腹は減ってはいないが、やつれてきた姫さんを横で見ているのも辛いから、俺は昼ご飯の時と同じように俺は、姫さんに提案した。
「何言ってるのよ、お昼はさっき食べたばかりじゃない」
確かにそうだ。
昼食を取るのだって、姫さんはなかなか渋って、おやつの時間になる少し前ぐらいに昼食を取った。昼寝が必要だとなんとか粘って、姫さんの食休みの時間を確保したけれど、もしあのまま行っていれば、いくら領主の娘として乗馬を嗜んだことがある姫さんだからといって、乗馬にはまだまだ不慣れだし、こんな悪路なら、胃が揺れて苦しくなったに違いない。
(疲れさせ切った方がいいのだろうか)
ウォーリー伯爵と別れてから、姫さんはずーっとテンションが高かった。俺も俺で、ウォーリー伯爵に信頼されて嬉しくて舞い上がっていて、姫さんもそういう気分なのだろうかと思っていたけれど、どうやら気持ちを無理やり高ぶらせているみたいだ。だから、心の方はずーっとオンのままで昼食でも気を張っていたし、心配だ。でも、俺の言葉が入り込む余地が姫さんの心にないようだから、俺よりは体力のない姫さんを自然の摂理に任せて、とことん疲れさせて眠らせる方がいいのかもしれない。ただ、一番最悪なのが、疲れていても興奮状態で休むことができないパターンだ。今の姫さんを見ていると、なんとなく長年の勘で、どんどん疲弊していってしまうような気がした。
「いや、でも、そいつも・・・疲れてるぜ?」
俺は馬を指さした。乗馬が不慣れだと、乗っている人間にも負担がかかるが、馬の方にも負担がかかる。それに、馬は敏感な動物だ。姫さんの張りつめた感じに応えようとしつつも、その緊張感が精神的ストレスにもなっているのが明らかだった。
「・・・・・・」
姫さんは、欲しいお菓子が貰えない子どものような歯がゆい顔をしたままなかなか答えてくれなかった。けれど、 姫さんは優しい女性だ。すぐに答えを出さなくても、ちゃんとわかってくれるはずだ。
「じゃあ・・・・・・あそこまで」
姫さんは坂道が終わったなだらかな場所を指さす。あそこなら、野営にも適しているだろう。
「了解、もう少しだ。頑張ろうぜっ」
そう言って、俺はミシェルが乗っている馬の頭を撫でてやると、馬も嬉しそうに足取りが元気になった。
「姫さん、そろそろ休もうか?」
「ううん、もう少し、行きましょ・・・、もう少し」
これで、何度目だろうか。俺が姫さんに休みを提案して断られるのは。
「でも、そろそろ俺は腹が減ったぜ?」
そんなに腹は減ってはいないが、やつれてきた姫さんを横で見ているのも辛いから、俺は昼ご飯の時と同じように俺は、姫さんに提案した。
「何言ってるのよ、お昼はさっき食べたばかりじゃない」
確かにそうだ。
昼食を取るのだって、姫さんはなかなか渋って、おやつの時間になる少し前ぐらいに昼食を取った。昼寝が必要だとなんとか粘って、姫さんの食休みの時間を確保したけれど、もしあのまま行っていれば、いくら領主の娘として乗馬を嗜んだことがある姫さんだからといって、乗馬にはまだまだ不慣れだし、こんな悪路なら、胃が揺れて苦しくなったに違いない。
(疲れさせ切った方がいいのだろうか)
ウォーリー伯爵と別れてから、姫さんはずーっとテンションが高かった。俺も俺で、ウォーリー伯爵に信頼されて嬉しくて舞い上がっていて、姫さんもそういう気分なのだろうかと思っていたけれど、どうやら気持ちを無理やり高ぶらせているみたいだ。だから、心の方はずーっとオンのままで昼食でも気を張っていたし、心配だ。でも、俺の言葉が入り込む余地が姫さんの心にないようだから、俺よりは体力のない姫さんを自然の摂理に任せて、とことん疲れさせて眠らせる方がいいのかもしれない。ただ、一番最悪なのが、疲れていても興奮状態で休むことができないパターンだ。今の姫さんを見ていると、なんとなく長年の勘で、どんどん疲弊していってしまうような気がした。
「いや、でも、そいつも・・・疲れてるぜ?」
俺は馬を指さした。乗馬が不慣れだと、乗っている人間にも負担がかかるが、馬の方にも負担がかかる。それに、馬は敏感な動物だ。姫さんの張りつめた感じに応えようとしつつも、その緊張感が精神的ストレスにもなっているのが明らかだった。
「・・・・・・」
姫さんは、欲しいお菓子が貰えない子どものような歯がゆい顔をしたままなかなか答えてくれなかった。けれど、 姫さんは優しい女性だ。すぐに答えを出さなくても、ちゃんとわかってくれるはずだ。
「じゃあ・・・・・・あそこまで」
姫さんは坂道が終わったなだらかな場所を指さす。あそこなら、野営にも適しているだろう。
「了解、もう少しだ。頑張ろうぜっ」
そう言って、俺はミシェルが乗っている馬の頭を撫でてやると、馬も嬉しそうに足取りが元気になった。
1
あなたにおすすめの小説
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
【完結】残酷な現実はお伽噺ではないのよ
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「アンジェリーナ・ナイトレイ。貴様との婚約を破棄し、我が国の聖女ミサキを害した罪で流刑に処す」
物語でよくある婚約破棄は、王族の信頼を揺るがした。婚約は王家と公爵家の契約であり、一方的な破棄はありえない。王子に腰を抱かれた聖女は、物語ではない現実の残酷さを突きつけられるのであった。
★公爵令嬢目線 ★聖女目線、両方を掲載します。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
2023/01/11……カクヨム、恋愛週間 21位
2023/01/10……小説家になろう、日間恋愛異世界転生/転移 1位
2023/01/09……アルファポリス、HOT女性向け 28位
2023/01/09……エブリスタ、恋愛トレンド 28位
2023/01/08……完結
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました
夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。
全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。
持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……?
これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる