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25 フィナーレ
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あの日、私はみんなからたくさんの愛を貰った。
あの時使った大魔法「bless up」による作物の被害は全く出ていない。むしろ、花が開いた作物たちはとても美味しい野菜や果物になったし、その草を食べたウシやヤギのミルクは栄養豊富でみんな元気いっぱいになっていた。
「ねぇ、ユリウス」
「なんだい?メーテル」
私は、畑のルビーと言われる真っ赤なトマトを座りながら観察するユリウスに尋ねるために近づく。
「なんで、こんなに豊作になっているのかしら・・・?私の魔法の弊害は・・・?」
「そうだね・・・」
ユリウスは立ち上がって腰を伸ばす。
「これは・・・あくまでも仮説だけど・・・。キミは魔法を勘違いしていると思うんだ」
「勘違い?」
「キミは豊穣の魔法を使うと土地から栄養を奪ってしまうと思っていたけれど、必ずしも栄養を奪う訳じゃない。愛が影響していると思うんだ」
「・・・愛?」
「そっ、愛。キミが愛を囁けば、みんな愛を捧げる・・・たとえ何を犠牲にしても。そして、キミが愛でれば・・・世界は優しさに溢れていく」
ユリウスは私の右手を取った。
「さっ、そろそろ行こうか」
「ええ」
これから私たちはさらに最高の景色を更新し続けていくだろう。
みんなの愛で実った豊穣な稲穂が風でなびいた。
まるで、私たちの背中を手を振って応援しているように。
あの時使った大魔法「bless up」による作物の被害は全く出ていない。むしろ、花が開いた作物たちはとても美味しい野菜や果物になったし、その草を食べたウシやヤギのミルクは栄養豊富でみんな元気いっぱいになっていた。
「ねぇ、ユリウス」
「なんだい?メーテル」
私は、畑のルビーと言われる真っ赤なトマトを座りながら観察するユリウスに尋ねるために近づく。
「なんで、こんなに豊作になっているのかしら・・・?私の魔法の弊害は・・・?」
「そうだね・・・」
ユリウスは立ち上がって腰を伸ばす。
「これは・・・あくまでも仮説だけど・・・。キミは魔法を勘違いしていると思うんだ」
「勘違い?」
「キミは豊穣の魔法を使うと土地から栄養を奪ってしまうと思っていたけれど、必ずしも栄養を奪う訳じゃない。愛が影響していると思うんだ」
「・・・愛?」
「そっ、愛。キミが愛を囁けば、みんな愛を捧げる・・・たとえ何を犠牲にしても。そして、キミが愛でれば・・・世界は優しさに溢れていく」
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「さっ、そろそろ行こうか」
「ええ」
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