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「別れてほしいんだ・・・」
デートのランチで、「マンモスのカルパッチョと雪キャベツのサラダ」を食べ終わり、午後は何をしようか話をしていると、急にファンゼル王子が申し訳なさそうに言ってきた。
「ん?今日はこれでおしまい?」
午前中だけのデートなんて久しぶりだけれど、王子なのだから用事があっても仕方ない。
私は魔法帽子を被り、帰り支度を始める。
「いいや、違う。その・・・結婚を無しにしてほしいんだ」
「えっ・・・」
半年間。結婚式の準備の話をしては盛り上がり、ほとんどの準備が終わり、もう式まで1か月を切っているというのに、ファンゼル王子は別れ話を切り出してきたのだ。
「なんで・・・よ?」
「それは・・・その・・・」
歯切れの悪いファンゼル王子。
「私のこと嫌いになったの?」
「そうじゃなくて・・・他に好きな人ができたんだ・・・っ」
(最低っ)
口に出そうになったけれども私は何とか抑えた。
私が魔法を使えるから労力の部分はそんなにかかってはいないといっても、色々と案を出したり、計画したりするのは結構頑張ったつもりだったけれど、それが全部無駄になるのだ。
そう考えるとやるせなくて、私は力が抜けて無気力になり項垂れてしまったが、結婚する前にそんな人だとわかって別れられるとすれば、良かったかもしれないと自分に言い聞かせて王子を見る。
(旅にでよっと・・・)
「わかったわ・・・じゃあ、さようなら」
「ちょっと待ってくれっ」
私が立ち上がろうとするとファンゼル王子が呼び止める。
でも、気力と共に目の前の相手に興味もないし、興味を持ちたくもない私には別に用はない。
「相手なんだけれど・・・」
「別に・・・聞きたくない」
一つ、気になることがあるとすれば、他に好きになった相手。けれど、それだって聞いてしまえば腹が立つに違いないから、私は聞かない。
「いや、大事なことなんだ言わせてくれ」
「どーぞ」
私は仕方なく座り直す。
「実は・・・君の妹、メリルなんだ」
私は、はしたないと思いつつ、鼻で笑ってしまった。
そして、右手で目頭を抑えながら、こう思った。
(そうくるのね・・・)
デートのランチで、「マンモスのカルパッチョと雪キャベツのサラダ」を食べ終わり、午後は何をしようか話をしていると、急にファンゼル王子が申し訳なさそうに言ってきた。
「ん?今日はこれでおしまい?」
午前中だけのデートなんて久しぶりだけれど、王子なのだから用事があっても仕方ない。
私は魔法帽子を被り、帰り支度を始める。
「いいや、違う。その・・・結婚を無しにしてほしいんだ」
「えっ・・・」
半年間。結婚式の準備の話をしては盛り上がり、ほとんどの準備が終わり、もう式まで1か月を切っているというのに、ファンゼル王子は別れ話を切り出してきたのだ。
「なんで・・・よ?」
「それは・・・その・・・」
歯切れの悪いファンゼル王子。
「私のこと嫌いになったの?」
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(最低っ)
口に出そうになったけれども私は何とか抑えた。
私が魔法を使えるから労力の部分はそんなにかかってはいないといっても、色々と案を出したり、計画したりするのは結構頑張ったつもりだったけれど、それが全部無駄になるのだ。
そう考えるとやるせなくて、私は力が抜けて無気力になり項垂れてしまったが、結婚する前にそんな人だとわかって別れられるとすれば、良かったかもしれないと自分に言い聞かせて王子を見る。
(旅にでよっと・・・)
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「ちょっと待ってくれっ」
私が立ち上がろうとするとファンゼル王子が呼び止める。
でも、気力と共に目の前の相手に興味もないし、興味を持ちたくもない私には別に用はない。
「相手なんだけれど・・・」
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一つ、気になることがあるとすれば、他に好きになった相手。けれど、それだって聞いてしまえば腹が立つに違いないから、私は聞かない。
「いや、大事なことなんだ言わせてくれ」
「どーぞ」
私は仕方なく座り直す。
「実は・・・君の妹、メリルなんだ」
私は、はしたないと思いつつ、鼻で笑ってしまった。
そして、右手で目頭を抑えながら、こう思った。
(そうくるのね・・・)
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