【7話完結】婚約破棄?妹の方が優秀?あぁそうですか・・・。じゃあ、もう教えなくていいですよね?

西東友一

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「はい、じゃあ授業はお終いです」

「起立・・・礼っ」

「「「「ありがとうございました」」」」

 生徒たち・・・と言っても、2、3歳しか違わないけれど、彼ら、彼女らが友達同士で話を始める。

「お姉ちゃんっ、見て、見てっ!!」

 妹のメリルが私のところにやってきた。

「メリル、ここでは先生って呼びなさいって言ってるでしょ?」

「まぁ、いいから、いいから・・・アイスクリエイター!!」

 温かい教室に冷気が集まっていく。

「さぶっ」

 男子生徒が両手を抱え込み震える。

 メリルが手をかざした場所に冷気が集まっていき、氷でできた造形品、スノーバードができあがった。

「わぁ・・・メリルちゃんさすが・・・っ」

 女の子の一人がうっとりとした声を出す。私もその作品の造形の細かさには驚かされる。

「どうっ!?すごいでしょ」

「すげえーーっ」

 みんなはメリルが造ったスノーバードに集まってくる。

「ねっ、お姉ちゃんより凄いでしょ?」

「「「「・・・あははは」」」」

 クラスのみんながお互いに顔を見合わせながら苦笑いする。それを感じ取ったメリルは不機嫌だ。

(別にメリルの方が凄いってことでいいけど・・・)

「ごめんなさいね、メリル、みんな。ちょっと用事があるからこれで失礼するわ」

 メリルのご機嫌をとっておかないとすぐ拗ねるから、褒めてあげたいけれど私には予定があるのだ。

「もしかして~、王子様ですか?」

 恋バナが好きなシェリルちゃんが嬉しそうに私を見る。

「ひゅーひゅー」

 ノリがいいボルトくんがニヤニヤしながら盛り上げる。

「じゃっ、ごめんね」

「あっ、逃げた」

(あっ、やだ。追い掛けてくるし)

 パチンッ

 ボルトくんに捕まらないように私は指を鳴らし、私は無詠唱でその場から姿を消す。

「やっぱり、先生ってすごいね」

 シェリルちゃんがそうメリルに話かけたけれど、メリルは耳に入っておらず、

「私の方が・・・すごいんだから・・・っ」

 と私のいた場所を睨みながら呟いていた。

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