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「ふっ・・・俺が手に入るのはただ一つということか・・・っ」
ナイトメアは脂汗をかきながら、苦痛の表情を浮かべつつ、笑っているが、リアンの血の混じった唾が振れた手は溶けて、気化する。これが純度100パーセントだったらどうなるのだろうと、ナイトメアは頭を働かせるが、今までの努力などが簡単が一掃されると思うと、バカバカしくなってしまうと思った。
「はははっ、怯えてんじゃねえよ」
リアンの頭を撫でるナイトメア。
自分の天敵であったとしても、それは神が勝手に決めたこと。
彼は自分以外の物に依存しない。
だからこそ、自分の本能が目の前にいる名も知らない少女に興味を持ったのであれば、我を貫く。
「お前、処女か?」
「なっ・・・」
無神経なナイトメアの一言で一気にリアンが赤面する。
「初心だな、お前。じゃあ・・・まぁ、一人でしておけよ。俺はお前の血が駄目らしいから」
「かっ、勝手に決めるなぁっ!!!」
「おっとっと」
ナイトメアは興奮して大声を出しながら、唾を飛び散らすリアンから距離を取る。
リアンは自分の血が武器になることを理解して、武器を手に取って、自分の身体を傷つけようとする。
「やめておけ・・・」
リアンの腕を握って、ナイトメアがそれを止める。
「放してよ」
「嫌だ」
寂しい顔でナイトメアはリアンの細く白い腕を見つめた。
血を出すために自傷した傷を見て、誰かに彼女を重ねた。
「ちゃんと、飯を食えよ。俺の嫁になるなら」
「誰が・・・なるかっ・・・」
リアンは自分の腕を動かそうとしているのに、まったく動かせない。
「そんなに・・・血を出したいのか?俺・・・どちらかというとMなんだが」
「なら、私の血で、溶かしてやるうううううっ」
「血は苦手なんだ、勘弁してくれや」
「よく言ううううっ、散々人を殺しておいてっ」
睨むリアンの目を見つめるナイトメア。
「本当なんだぜ?」
弱々しく笑うナイトメア。
リアンにとっては、ナイトメアが何を考えているのかわからなくて、腹が立った。
(こんなに強いなら、早く―――殺せっ)
リアンは絶望していた。
彼女が望む救済は殉職のみだった。
「まったく・・・お前みたいな奴がなんで、こんな腐った軍にいるのか不思議だぜ」
「腐った? 訂正して」
「できねえな、それは」
憎しみを向けるナイトメア。
「この世を戦禍に落としたお前の国を俺は許さねぇ・・・。皆殺しする予定だったが、俺にも慈愛はある。降伏した奴らで生かす価値がある奴は生かしてやる」
「価値がない人も・・・ですか?」
リアンは恐る恐る、でも勇気を持ってナイトメアに尋ねる。
「あぁ」
「そんなの・・・誰が決めるんです?」
高ぶる気持ちを抑え込みながら、リアンはもう一度訪ねる。
「俺だ」
(ふざけるなっ)
「そんな、あなたは神にでもなった気ですかっ!!?」
「いや・・・」
ナイトメアは立ち上がり、マントを翻す。
「俺は、神になるんだ」
月夜の中で、何よりも黒く、その黒さは何物にも染まらない漆黒だった。
ナイトメアは脂汗をかきながら、苦痛の表情を浮かべつつ、笑っているが、リアンの血の混じった唾が振れた手は溶けて、気化する。これが純度100パーセントだったらどうなるのだろうと、ナイトメアは頭を働かせるが、今までの努力などが簡単が一掃されると思うと、バカバカしくなってしまうと思った。
「はははっ、怯えてんじゃねえよ」
リアンの頭を撫でるナイトメア。
自分の天敵であったとしても、それは神が勝手に決めたこと。
彼は自分以外の物に依存しない。
だからこそ、自分の本能が目の前にいる名も知らない少女に興味を持ったのであれば、我を貫く。
「お前、処女か?」
「なっ・・・」
無神経なナイトメアの一言で一気にリアンが赤面する。
「初心だな、お前。じゃあ・・・まぁ、一人でしておけよ。俺はお前の血が駄目らしいから」
「かっ、勝手に決めるなぁっ!!!」
「おっとっと」
ナイトメアは興奮して大声を出しながら、唾を飛び散らすリアンから距離を取る。
リアンは自分の血が武器になることを理解して、武器を手に取って、自分の身体を傷つけようとする。
「やめておけ・・・」
リアンの腕を握って、ナイトメアがそれを止める。
「放してよ」
「嫌だ」
寂しい顔でナイトメアはリアンの細く白い腕を見つめた。
血を出すために自傷した傷を見て、誰かに彼女を重ねた。
「ちゃんと、飯を食えよ。俺の嫁になるなら」
「誰が・・・なるかっ・・・」
リアンは自分の腕を動かそうとしているのに、まったく動かせない。
「そんなに・・・血を出したいのか?俺・・・どちらかというとMなんだが」
「なら、私の血で、溶かしてやるうううううっ」
「血は苦手なんだ、勘弁してくれや」
「よく言ううううっ、散々人を殺しておいてっ」
睨むリアンの目を見つめるナイトメア。
「本当なんだぜ?」
弱々しく笑うナイトメア。
リアンにとっては、ナイトメアが何を考えているのかわからなくて、腹が立った。
(こんなに強いなら、早く―――殺せっ)
リアンは絶望していた。
彼女が望む救済は殉職のみだった。
「まったく・・・お前みたいな奴がなんで、こんな腐った軍にいるのか不思議だぜ」
「腐った? 訂正して」
「できねえな、それは」
憎しみを向けるナイトメア。
「この世を戦禍に落としたお前の国を俺は許さねぇ・・・。皆殺しする予定だったが、俺にも慈愛はある。降伏した奴らで生かす価値がある奴は生かしてやる」
「価値がない人も・・・ですか?」
リアンは恐る恐る、でも勇気を持ってナイトメアに尋ねる。
「あぁ」
「そんなの・・・誰が決めるんです?」
高ぶる気持ちを抑え込みながら、リアンはもう一度訪ねる。
「俺だ」
(ふざけるなっ)
「そんな、あなたは神にでもなった気ですかっ!!?」
「いや・・・」
ナイトメアは立ち上がり、マントを翻す。
「俺は、神になるんだ」
月夜の中で、何よりも黒く、その黒さは何物にも染まらない漆黒だった。
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