最優テイマーの手抜きライフ。悪役令嬢に転生しても、追放されても、私は辺境の地でこの魔物たちと仲良く暮らします。

西東友一

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「それで、ペロちゃんは本当に私に付いてきてくれるって言っているの?」

 AUAU

 ペロちゃんの目は長い髪に隠れていてわからなったけれど、とても嬉しそうに首を揺らしていた。それとは、対照的にせっかくの着こなした貴族の騎士服をはだけて、息が荒くなっているラット・シーのアーサーはなんとか理性を取り戻そうと、仰向けに倒れていた身体をおこして、身なりを整える。

「ええ、ここの暮らしもいいけれど、ミス・サクラの汗がやみつきになったと言ってますよ」

 ベロリッ

「あはは・・・っ」

 ペロちゃんは自分の口の周りを舐め回す。それを見て、自分が狙われていると思ったサクラは肌が綺麗になったのを感謝しつつも、苦笑いをしながら一歩距離を取った。

「それに塩でできた岩塩だったり、塩でできた山、塩山を舐め回すために旅に出たいと思っていたようですよ」

 UMEEEEEEE

 ペロちゃんが飛び跳ねると、地面が揺れて、サクラは冷や汗をかきながら笑顔になった。

「それと・・・ペロもこういってますが、ペロだけではミス・サクラも心配でしょう。なので、よろしければ私も護衛にお供させていただければと思いますが、いかがでしょうか」

 再び、羽付き帽子を胸に抱え、お辞儀をする。

「でも、ガイは・・・1匹だって・・・」

 サクラはガイの家の扉を見る。サクラにはなんで、ガイは見送ってくれないのかわからないし、なぜかファームにいた自分がガイの家の表玄関の外にいるのかもわからない。

「おやおや、ミス・サクラ。もしや、このボクを1匹にカウントしていますか?」

 顔をあげたアーサーはおかしなことを言われたかのように笑っていた。

「ボクは騎士。数え方は1人。1匹と1人ですので、ガイ様もお許しくださいました」

「でも、アーサーはガイの・・・」

 サクラが言おうとすると、人差し指を立てて、アーサーが口止めをする。

「ペロと同じように、ボクにも叶えたい夢があります。それにガイとミス・サクラが決めたことです」

「えっ、私」

 サクラは自分を指さして、アーサーに尋ねると、アーサーは頷く。
 サクラは自分の直近の記憶もどこかに埋まってしまうのかと困った顔をしながら、頭を抱えて記憶を探るけれど、アーサーの言うようなガイと決めたことが思い出せない。

 サクラはちらっとアーサーを見る。
 真っすぐ見ていたアーサーは片膝をついて、再び頭を下げると、ペロちゃんもしゃがむ。
 
「ご決断を。ミス・サクラ」

(まただ・・・)

 サクラは再び大事な場面を迎えることになった。
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