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(だめだ・・・わからない)
サクラは激しい緊張の中で、記憶を探ろうとするけれど全くわからない。
「はぁ・・・答えないのか・・・」
ガイはとても悲しそうな顔をした。
(なんで・・・なんで・・・こうなるのよ・・・)
白川桜は転生してから余裕なんてほとんどなく、色々な出来事が急すぎて転生先のサクラ・ブレンダ・ウィリアムの記憶を整理できておらず、そのことでいろんな人の期待を裏切っている状況を呪いたくなっていた。それは、前世の白川桜の時よりもいたたまれなかった。
「信じてもらえないかもしれないけれど・・・私っ・・・んっ」
サクラは急に息が吸うことも吐き出すこともできなくなり、首を押さえる。
けれど、サクラの肺も、喉も横隔膜も機能が無くなってしまったかのように動かなくなる。
「どっ、どうした・・・・?サクラ・・・?サクラ、サクラっ!?」
杖を投げ捨てて、ガイが駆け寄ってサクラの支えて背中をさすりながら、声を掛けるけれど、サクラの症状は全く改善しない。ガイはサクラの表情を見てそれを理解し、なにかを喉の詰まらせたかと思って今度は背中を叩く。
「サクラ、サクラっ!!?・・・クラっ」
サクラは意識が遠くなり、ガイの声がどんどん遠くになっていく。
(なんで・・・)
白川桜は意識を失う中でサクラの記憶を思い出す。
『私は、・・・・・・のっ!!』
サクラはガイに叫んでいた。
『そんなの人間のエゴだっ。平和なんてのは人間の尺度でしかないっ。こいつらを人間の争いに巻き込むな』
GYEEEEEEEE
おぼろげな記憶の中、傷だらけの犬と鳥と猿のようなモンスターがガイの厳しい言葉から守ってくれる。
『お前ら・・・』
ガイもその姿に心を撃たれてしまった。
『勝手に行けっ!!ただな、これ以上俺の子どもたちを洗脳することは許さん。二度と来るなっ!!』
『嫌よっ、私は目標を達成したら必ず帰ってくるわっ』
『・・・勝手にしろっ!!!』
「はっ!!」
サクラは目を覚ます。
「あっ・・・」
サクラは今まで立っていたようで、ふらつきそうになり、足元がおぼつかなかったが、なんとかバランスを取る。
UUUUUUUMEEE・・・
アルちゃんが大きな身体を震わせて、そんなサクラを心配そうに、それでいて怯えながら見ていた。とりあえず、サクラは安心させようとアルちゃんの頭を撫でようと触ると、一瞬びくっとアルちゃんが反応する。さっきまでそんな態度を取っていなかったアルちゃんの態度にサクラも戸惑いながらも、頭を撫でると、アルちゃんの警戒心が少しずつほどけていく。その姿を見てほっとしたサクラは周りを見る。
転生してから記憶に対して自信はないサクラも、今いる場所がガイの家の外のドアなことを理解するものの、そこまで来た記憶がない。アルちゃんが運んだのか、それともガイなのか。
「あなたが運んでくれたの?アルちゃん」
UUUME?
アルちゃんは純粋な顔をして首を傾げた。
サクラは激しい緊張の中で、記憶を探ろうとするけれど全くわからない。
「はぁ・・・答えないのか・・・」
ガイはとても悲しそうな顔をした。
(なんで・・・なんで・・・こうなるのよ・・・)
白川桜は転生してから余裕なんてほとんどなく、色々な出来事が急すぎて転生先のサクラ・ブレンダ・ウィリアムの記憶を整理できておらず、そのことでいろんな人の期待を裏切っている状況を呪いたくなっていた。それは、前世の白川桜の時よりもいたたまれなかった。
「信じてもらえないかもしれないけれど・・・私っ・・・んっ」
サクラは急に息が吸うことも吐き出すこともできなくなり、首を押さえる。
けれど、サクラの肺も、喉も横隔膜も機能が無くなってしまったかのように動かなくなる。
「どっ、どうした・・・・?サクラ・・・?サクラ、サクラっ!?」
杖を投げ捨てて、ガイが駆け寄ってサクラの支えて背中をさすりながら、声を掛けるけれど、サクラの症状は全く改善しない。ガイはサクラの表情を見てそれを理解し、なにかを喉の詰まらせたかと思って今度は背中を叩く。
「サクラ、サクラっ!!?・・・クラっ」
サクラは意識が遠くなり、ガイの声がどんどん遠くになっていく。
(なんで・・・)
白川桜は意識を失う中でサクラの記憶を思い出す。
『私は、・・・・・・のっ!!』
サクラはガイに叫んでいた。
『そんなの人間のエゴだっ。平和なんてのは人間の尺度でしかないっ。こいつらを人間の争いに巻き込むな』
GYEEEEEEEE
おぼろげな記憶の中、傷だらけの犬と鳥と猿のようなモンスターがガイの厳しい言葉から守ってくれる。
『お前ら・・・』
ガイもその姿に心を撃たれてしまった。
『勝手に行けっ!!ただな、これ以上俺の子どもたちを洗脳することは許さん。二度と来るなっ!!』
『嫌よっ、私は目標を達成したら必ず帰ってくるわっ』
『・・・勝手にしろっ!!!』
「はっ!!」
サクラは目を覚ます。
「あっ・・・」
サクラは今まで立っていたようで、ふらつきそうになり、足元がおぼつかなかったが、なんとかバランスを取る。
UUUUUUUMEEE・・・
アルちゃんが大きな身体を震わせて、そんなサクラを心配そうに、それでいて怯えながら見ていた。とりあえず、サクラは安心させようとアルちゃんの頭を撫でようと触ると、一瞬びくっとアルちゃんが反応する。さっきまでそんな態度を取っていなかったアルちゃんの態度にサクラも戸惑いながらも、頭を撫でると、アルちゃんの警戒心が少しずつほどけていく。その姿を見てほっとしたサクラは周りを見る。
転生してから記憶に対して自信はないサクラも、今いる場所がガイの家の外のドアなことを理解するものの、そこまで来た記憶がない。アルちゃんが運んだのか、それともガイなのか。
「あなたが運んでくれたの?アルちゃん」
UUUME?
アルちゃんは純粋な顔をして首を傾げた。
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