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5 旅立ち
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「こんにちわ・・・」
サクラが古臭い扉を開けて中に入ると、日中だと言うのに部屋の中は真っ暗で湿気でカビ臭く、思わず鼻をつまみたくなったが、我慢して入っていく。部屋の中は見ずらい上に、散らかっていたけれど、サクラの身体はどう動けばいいのか覚えていた。
「おい・・・バカ弟子。二度と来るなと言っただろうが」
スキンヘッドのいかついおじさんが睨んでおり、サクラは一瞬驚いたけれど、懐かしい顔にホッとした。
「師匠・・・っ」
サクラは師匠であるボトム・ガイに泣き目になりながら抱き着く。ガイは成長したサクラの豊満な身体と香水の香りにドキッとして硬直する。
「会いたかったです、師匠。そして、助けてください」
「あぁん?」
サクラは黒竜ブラックカオスを逃がしてしまったこと、王子に3日以内にこの国から出て行けと言われていること、父親たちからも縁を切ると言われてしまったことを話した。
「それでサクラ。お前はどうするんだ」
ガイは淹れたてのコーヒーを口に入れる。私はカップを置き、ガイを真っすぐと見る。
「お願いです。テイムするモンスターをお貸しください」
ガイはカップを置いて、揺れるコーヒーを見つめて考える。そして、コーヒーが波打つのを止まるとため息をついた。
「はぁ・・・っ。よかろう。好きな奴を持って行け」
「やったっ」
サクラはパッと顔が明るくなる。
「ただし、1体だけだ。それ以上は渡せん」
ガイが人差し指を一本だけ立てて、サクラがはしゃぐのを制した。
「2体は?」
「ダメだ」
「サービスするわよ?」
「・・・ダメだ」
サクラがセクシーポーズを取ると、一瞬ガイは悩んだが、すぐに否定した。
サクラはつまらなそうに視線を下にすると、ガイの足が一本無くなっているのを見つけてしまった。
「・・・っ、師匠・・・それっ」
失礼にもほどがあるが、サクラはガイの義足の足を指さす。
「あぁ・・・これな、ちょっと冒険でしくじってな・・・」
「ちょっと、どころじゃないでしょ・・・それじゃあ・・・」
「あぁ・・・もう冒険に行くことも、新たなモンスターを手に入れることも俺にはもうできない」
サクラが言おうとしていたことを先に言うガイの顔は辛そうだった。しかし、弟子とは言え他人に言われるよりも自分で言う方が幾分か辛さがまぎれるようだった。
「まぁ、いいんだ。どーせ、歳で遠出はしんどいと思っていたころだし、加齢臭のせいかモンスターも俺に懐きずらくなってきていたしな」
自分に言い聞かせるようにガイは痛々しく、サクラは言葉が詰まった。
サクラが古臭い扉を開けて中に入ると、日中だと言うのに部屋の中は真っ暗で湿気でカビ臭く、思わず鼻をつまみたくなったが、我慢して入っていく。部屋の中は見ずらい上に、散らかっていたけれど、サクラの身体はどう動けばいいのか覚えていた。
「おい・・・バカ弟子。二度と来るなと言っただろうが」
スキンヘッドのいかついおじさんが睨んでおり、サクラは一瞬驚いたけれど、懐かしい顔にホッとした。
「師匠・・・っ」
サクラは師匠であるボトム・ガイに泣き目になりながら抱き着く。ガイは成長したサクラの豊満な身体と香水の香りにドキッとして硬直する。
「会いたかったです、師匠。そして、助けてください」
「あぁん?」
サクラは黒竜ブラックカオスを逃がしてしまったこと、王子に3日以内にこの国から出て行けと言われていること、父親たちからも縁を切ると言われてしまったことを話した。
「それでサクラ。お前はどうするんだ」
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「はぁ・・・っ。よかろう。好きな奴を持って行け」
「やったっ」
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「ただし、1体だけだ。それ以上は渡せん」
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「2体は?」
「ダメだ」
「サービスするわよ?」
「・・・ダメだ」
サクラがセクシーポーズを取ると、一瞬ガイは悩んだが、すぐに否定した。
サクラはつまらなそうに視線を下にすると、ガイの足が一本無くなっているのを見つけてしまった。
「・・・っ、師匠・・・それっ」
失礼にもほどがあるが、サクラはガイの義足の足を指さす。
「あぁ・・・これな、ちょっと冒険でしくじってな・・・」
「ちょっと、どころじゃないでしょ・・・それじゃあ・・・」
「あぁ・・・もう冒険に行くことも、新たなモンスターを手に入れることも俺にはもうできない」
サクラが言おうとしていたことを先に言うガイの顔は辛そうだった。しかし、弟子とは言え他人に言われるよりも自分で言う方が幾分か辛さがまぎれるようだった。
「まぁ、いいんだ。どーせ、歳で遠出はしんどいと思っていたころだし、加齢臭のせいかモンスターも俺に懐きずらくなってきていたしな」
自分に言い聞かせるようにガイは痛々しく、サクラは言葉が詰まった。
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