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「んーーーーっ、風が気持ちいいっ」

「そうだね、ヴィクトリア」

 自然の中で、自然体でいる私とアルファード。

「たまには姫様と呼んでもいいのよ?」

「姫がそうおっしゃるのであれば」

 私が冗談を言うと、その冗談に便乗して、昔のように礼してくれるアルファード。気さくな彼も好きだけれど、ピシッと決まった王宮での彼も大好きだ。

「でも、いいんですかね? ご年配の国王様に国を任せて、我々は旅に出るなんて・・・」

「いいの、いいの。お父様だって、色々勉強したいって言ってるんだし、私たちにも勉強してこいって言うんだから」

 すっかり元気になられてたお父様は私が築き上げた政策を大変褒めてくださいました。目からウロコで、自分もそれを参考に偉業を残さねば、死んでも死にきれないと、以前よりもやる気に満ち溢れていらっしゃいました。

 わたくしもわたくしでドクターブラックをアルファードに見つけられたのも悔しかったですし、他国の方にも大変お世話になったり、他国や、その旅の途中の景色などのいろんな素敵なお話を聞かせていただいていたので、外交官としてお礼参りと、視察と言う名の旅をしたいと思っていましたので、お父様に政権を譲り、こうしてアルファードとともに旅に出ているわけです。

「ねぇ、アルファード。これを新婚旅行と名を付けましょ」

「新婚旅行?」

「ええ、そうよ。結婚したら、そのご祝儀として自由な旅を与えられるの。画期的でしょ?」

「うーん、すごいいいとは思うけれど、経済面だったり、危険性を考えれば僕ら以外は難しいんじゃないかな?」

「それもそうね。でも、いつか、そんなことが当たり前の世界が来るかもしれないわ」

「はははっ、そうだね。来るといいね」

「うんっ!!」

 わたくしたちは『新婚旅行』を楽しみました。
 アルファードが言うように、危険もたくさんあり、楽な事ばかりではありませんでしたが、国内にいるだけでは味わえない、素敵な景色、素敵な出会い、素敵な味覚、そして素敵な体験ができました。

 わたくしはいつも幸せでした。
 だって、そんな素敵な体験がいつも愛するアルファードと分かち合えたのだから。

 わたくしたちが旅を終えて、国へ帰ると、お父様がさらに魅力的な国へと進化させていらっしゃいました。




 ―――そして


「頼んだぞ、ヴィクトリア」

 ニコニコ笑うお父様は白髪がいっぱいだったけれど、やり遂げて満足した顔をして、王座の前で立っていらっしゃいます。

「はいっ」

 私はドレスに身を包みながら、膝を曲げて、頭を下げる。
 すると、お父様が優しく、王冠を載せてくださいました。

 パチパチパチパチッ!!!

 後ろから盛大な拍手が沸き起こり、私がゆっくりと振り返るとたくさんの人々が惜しみない拍手をしてくださっていました。

「いま、ここに、史上初の女王、ヴィクトリア女王が誕生したことを宣言するっ!!」

 お父様が右手を高らかに挙げると、

「「「「うおおおおおおおおおおおっ」」」」

「「「「きゃああああああああああっ」」」」

 嬉しそうなみんなの声で、手を振ったり、飛び跳ねたりしてました。

 初の女王だし、結婚相手は執事。
 結婚相手のアルファードは「政治はキミの方が優秀だし、僕は美味しい紅茶でも入れるさ」と言って、私の愚痴を聞いたり、本当に美味しいお茶を入れてリラックスさせてくれたり、私のお母様のように献身的に尽くしてくれて、私を立ててくれた。

 国民のみんなはそんな変わった私たちをこんなにも嬉しそうに受け入れてくれる。
 なら、私は・・・

(もっと、頑張らなきゃっ!!)

「ありがとうっ!!!!!!」

「「「「ワーーーーーーーーーーッ!!!!!」」」」

 私は国の名前を「サングローリー王国」と変えちゃいました。
 理由は、サングリアが好きなのと、東の国から明るい話が来たのを太陽になぞらえて、グローリー(栄光)と足して見たかったからという単純な理由。

 結婚して即位して、一番嬉しかったことはアルファードが子育てが上手だったこと。
 子宝に恵まれて、たくさんの子どもたちが生まれ、アルファードによって、優秀に育って行きました。

 サングローリー王国は創設から300年。
 家族の功績もあって、栄光の300年と言われるほど、栄えることができました。

~Fin~
 

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