5 / 8
5
しおりを挟む
「これは・・・どういうことだ・・・」
お父様はびっくりされました。
ネロを捕まえて、独房にいれていることもお話したのですが、そんなことは些細な事です。
お父様がびっくりされたのは、わたくしの手とアルファードの手が結ばれていたことです。
「お父様・・・わたくし・・・」
「ヴィクトリア様、ここが私が」
あぁ、ネロと違ってTPOを分かっているアルファード。
久しぶりに聞いた「様」呼びも、よそよそしい感じがまた胸をくすぐる。
「国王様、私はヴィクトリア様と共に歩んでいきたいと考えております」
「おお・・・、アルファード。もちろんじゃ」
わたくしたちは顔を見合わせて喜ぶ。
「ん? そちはヴィクトリアの執事なのだから、当然じゃろう?」
あぁ・・・そういう・・・。
わたくしたちは露骨に残念がる。
(そうよね、そんな二つ返事でOKを貰えるならば、ここまでわたくしたちは緊張する必要もなかったもの)
わたくしはアルファードと結んだ手を恋人つなぎにして、お父様に見せる。
「わたくしたちは、結婚したいと考えてます」
「なんじゃとぉぉぅっ、うっふ、ごっほごっほっ」
お父様が咳込むので、お母様がお父様の背中を撫でる。
アルファードもお父様の身体を支えようとするが、
「さはるなぁ、ぐほっ」
この前まで、アルファードに身を任せていたのに汚らわしい物に触れられたかのように拒絶する。
その光景がわたくしにはショックだった。
お父様はまだお認めになっていなくとも、わたくしにとってアルファードはもうすでに自分の半身だ。
そんな彼をお父様が拒絶したとあれば、わたくし自身が拒絶されたのと同義なのだから。
「うーむ・・・」
席が落ち着いてきたお父様はわたくしをご覧になりました。
わたくしの顔を見ると、かなり気まずそうな顔をされました。
それも、そのはず、自分が婚約者にと用意した男は、強姦未遂をしたのだから。
「・・・あなた。いいじゃない許しても?」
お母様が口を開いた。
わたくしはびっくりした。
お母様は誰よりもお父様の意見を尊重される方で、わたくしのことであっても、お父様の意見を否定したことなんて一度も無かった。ネロとの婚約のこともお母様は私の心を理解しつつも、王女としてお父様の指示に従うようにおっしゃった御方。なので、一番驚いているのはお父様かもしれない。
「あなたの娘は優秀です。あなたが倒れてから、大臣たちに相談して建設や外交をしたり、平民たちと食料や苗の配布や徴収を行ったり、あなたに引けを取らない対応を取っていました」
「・・・っ」
それでも、納得されていないお父様。
けれど、わたくしたち3人の顔を見て、
「・・・わかった」
「「やったっ!!」」
わたくしたちはハイタッチして喜んで、アルファードがわたくしを抱きしめる。
「なっ」
お父様はアゴが外れるんじゃないかってくらい驚いていたけれど、ごめんなさい。嬉しくてわたくしは彼のぬくもりから逃げる気は全くなかった。
お父様はびっくりされました。
ネロを捕まえて、独房にいれていることもお話したのですが、そんなことは些細な事です。
お父様がびっくりされたのは、わたくしの手とアルファードの手が結ばれていたことです。
「お父様・・・わたくし・・・」
「ヴィクトリア様、ここが私が」
あぁ、ネロと違ってTPOを分かっているアルファード。
久しぶりに聞いた「様」呼びも、よそよそしい感じがまた胸をくすぐる。
「国王様、私はヴィクトリア様と共に歩んでいきたいと考えております」
「おお・・・、アルファード。もちろんじゃ」
わたくしたちは顔を見合わせて喜ぶ。
「ん? そちはヴィクトリアの執事なのだから、当然じゃろう?」
あぁ・・・そういう・・・。
わたくしたちは露骨に残念がる。
(そうよね、そんな二つ返事でOKを貰えるならば、ここまでわたくしたちは緊張する必要もなかったもの)
わたくしはアルファードと結んだ手を恋人つなぎにして、お父様に見せる。
「わたくしたちは、結婚したいと考えてます」
「なんじゃとぉぉぅっ、うっふ、ごっほごっほっ」
お父様が咳込むので、お母様がお父様の背中を撫でる。
アルファードもお父様の身体を支えようとするが、
「さはるなぁ、ぐほっ」
この前まで、アルファードに身を任せていたのに汚らわしい物に触れられたかのように拒絶する。
その光景がわたくしにはショックだった。
お父様はまだお認めになっていなくとも、わたくしにとってアルファードはもうすでに自分の半身だ。
そんな彼をお父様が拒絶したとあれば、わたくし自身が拒絶されたのと同義なのだから。
「うーむ・・・」
席が落ち着いてきたお父様はわたくしをご覧になりました。
わたくしの顔を見ると、かなり気まずそうな顔をされました。
それも、そのはず、自分が婚約者にと用意した男は、強姦未遂をしたのだから。
「・・・あなた。いいじゃない許しても?」
お母様が口を開いた。
わたくしはびっくりした。
お母様は誰よりもお父様の意見を尊重される方で、わたくしのことであっても、お父様の意見を否定したことなんて一度も無かった。ネロとの婚約のこともお母様は私の心を理解しつつも、王女としてお父様の指示に従うようにおっしゃった御方。なので、一番驚いているのはお父様かもしれない。
「あなたの娘は優秀です。あなたが倒れてから、大臣たちに相談して建設や外交をしたり、平民たちと食料や苗の配布や徴収を行ったり、あなたに引けを取らない対応を取っていました」
「・・・っ」
それでも、納得されていないお父様。
けれど、わたくしたち3人の顔を見て、
「・・・わかった」
「「やったっ!!」」
わたくしたちはハイタッチして喜んで、アルファードがわたくしを抱きしめる。
「なっ」
お父様はアゴが外れるんじゃないかってくらい驚いていたけれど、ごめんなさい。嬉しくてわたくしは彼のぬくもりから逃げる気は全くなかった。
17
あなたにおすすめの小説
「君は悪役令嬢だ」と離婚されたけど、追放先で伝説の力をゲット!最強の女王になって国を建てたら、後悔した元夫が求婚してきました
黒崎隼人
ファンタジー
「君は悪役令嬢だ」――冷酷な皇太子だった夫から一方的に離婚を告げられ、すべての地位と財産を奪われたアリシア。悪役の汚名を着せられ、魔物がはびこる辺境の地へ追放された彼女が見つけたのは、古代文明の遺跡と自らが「失われた王家の末裔」であるという衝撃の真実だった。
古代魔法の力に覚醒し、心優しき領民たちと共に荒れ地を切り拓くアリシア。
一方、彼女を陥れた偽りの聖女の陰謀に気づき始めた元夫は、後悔と焦燥に駆られていく。
追放された令嬢が運命に抗い、最強の女王へと成り上がる。
愛と裏切り、そして再生の痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
悪役令嬢の役割を演じきり、婚約破棄で自由を手に入れた私。一途な騎士の愛に支えられ、領地経営に専念していたら、元婚約者たちが後悔し始めたようで
黒崎隼人
ファンタジー
「悪役令嬢」の断罪劇は、彼女の微笑みと共に始まった――。
王太子に婚約破棄を突きつけられた侯爵令嬢エルザ・ヴァイス。乙女ゲームのシナリオ通り、絶望し泣き叫ぶはずだった彼女が口にしたのは、「その茶番、全てお見通しですわ」という、全てを見透かすような言葉だった。
強制された役割から自ら降りたエルザは、王都の悪意を背負いながら、疲弊した領地へと帰還する。そこで彼女を待っていたのは、世間の冷たい目と、幼い頃に救った孤児――騎士レオン・ベルナールの変わらぬ忠誠心だった。
「あなたが悪役などであるはずがない」。彼の言葉に導かれ、エルザは己の才能と知性を武器に、領地の改革に乗り出す。一方、シナリオから外れた王都では、王太子ルキウスやヒロインのリアナが、抱える違和感と罪悪感に苦しんでいた。
しかし、エルザを陥れようとする新たな陰謀が動き出す。果たしてエルザは、自らの人生を切り開き、本当の幸せを掴むことができるのか? そして、ゲームの呪縛から解き放たれた者たちの運命は――。
これは、悪役令嬢という仮面を脱ぎ捨て、真実の愛と自己実現を手にする、美しくも力強い逆転の物語。あなたもきっと、彼女の選択に心を揺さぶられるでしょう。
「陛下、子種を要求します!」~陛下に離縁され追放される七日の間にかなえたい、わたしのたったひとつの願い事。その五年後……~
ぽんた
恋愛
「七日の後に離縁の上、実質上追放を言い渡す。そのあとは、おまえは王都から連れだされることになる。人質であるおまえを断罪したがる連中がいるのでな。信用のおける者に生活できるだけの金貨を渡し、託している。七日間だ。おまえの国を攻略し、おまえを人質に差し出した父王と母后を処分したわが軍が戻ってくる。そのあと、おまえは命以外のすべてを失うことになる」
その日、わたしは内密に告げられた。小国から人質として嫁いだ親子ほど年齢の離れた国王である夫に。
わたしは決意した。ぜったいに願いをかなえよう。たったひとつの望みを陛下にかなえてもらおう。
そう。わたしには陛下から授かりたいものがある。
陛下から与えてほしいたったひとつのものがある。
この物語は、その五年後のこと。
※ハッピーエンド確約。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる