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1章

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 私がリチャードに身を預けたら、彼は私を受け入れてくれるのだろうか?

 受け入れてくれたとしたら、私はそれだけで満足できるのだろうか?

 一時、抱きしめるだけで・・・・・・

「ねぇ、ララ?」

 私が彼の人生を大切にするならば、決して望んではいけない願いを抱こうとしていた時、リチャードの声が現実に戻してくれた。私はちょっとだけ気持ちが高揚しかけていたせいか、瞬きが多くなり、夢から現実に焦点を合わせた。

「もし、キミさえよければ・・・・・・」

「やあやあ、リチャード。らしくないことをしているね?」

 リチャードが何かを言おうとした時、聞き覚えのよくある男性の声が割って入ってきた。私たちはその声がした方向を見ると、アーサー国王だった。アーサー国王は側近の者を数人従えて笑顔で私たちに近づいてきた。側近の人たちの顔は見たこともない人ばかりで、お父様の時に側近として警護していた人たちは一人もいなそうだった。

 アーサー国王は側近にリチャードが持っている私の荷物の箱を持たせようと指で合図したけれど、それをリチャードが拒んだ。私は拒んだ時のアーサー国王の顔を見ていたけれど、笑顔で細くなった目は笑っていなかった。

「ソレと何をしているんだい?」

 私には一瞥もせず、アゴで私を指してリチャードに尋ねた。

「ソレとはこの箱のことでしょうか?」

 リチャードは物腰柔らかく答えた。けれど、リチャードの言葉を聞いて、アーサー国王は目を大きくした。

「・・・・・・・・・・・・はっはっはっはっ。キミらしくもない・・・・・・。本当にキミらしくないなぁ。二つキミは過ちを犯した。分かるかい? リチャード」

 再びアーサー国王は笑顔でリチャード尋ねる。

「はっ。一つ目は質問を質問で返したこと」

「うん」

「二つ目は、アーサー国王の意をくみ取れなかったことです」

「いいや、違うな」

 真っすぐと正面を見るリチャードの横へ回り込み、

「二つ目は僕に反抗したこと・・・・・・。三つ目は・・・・・・僕よりも優先させたことだ」

 そう言って、リチャードの肩を叩き、そのまま置いた手は力が籠っていそうだった。けれど、リチャードは目を合わせずに、毅然として直立していた。それを見て、アーサー国王は、

「まぁ、いい。汚いモノは見る必要がない。明るい未来を一緒に見ようじゃないか。だから、そんな小汚い箱も、忌まわしい過去も捨てて、僕に付いてきたまえ」

 そう言って、先を歩くアーサー国王。
 リチャードは・・・・・・

 
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