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中学生以上高校生未満
10話 入試の点数
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「点数は・・・えーっと・・・っ」
(焦らすな、早く言ってくれ)
「あっ、ダメだよ」
ピシッとしたスーツを着た男の先生が少し険しい顔で俺たちのところに近づいてきた。
(えっ)
何か悪いことをしてしまったのかと動揺する俺。
模範的かつ優秀な生徒として高校生活をエンジョイしようと思っていたのに、初っ端から何かをやらかしてしまったのかととても不安になって、顔から血の気が引いた。
「後ろの方に聞こえてしまう可能性もあるから、この紙に書いて渡してください」
「あぁっ!! すいません」
女性はその先生に謝って、あたふたしながら、紙に僕の点数を転記する。
「いいですよ、慌てなくて。慌てず、間違いないようにお願いしますね」
「・・・はい」
女性はそう言って、2、3度数字を照らし合わせて確認する。
「あぁ、申し訳なかったね。合格おめでとう」
俺の顔を見たその先生はさっきの険しい顔が嘘のように優しい笑顔で俺に微笑んだ。
「・・・いえいえ」
俺に非は無かったことがわかってホッとした。
「はい、お待たせしました」
そういって、事務の女性が俺に紙を渡してきた。
結果は・・・
468点
心に、じわっと来るものがあった。
小学校ではほぼほぼテストは100点。中学1年生の時にもほぼ90点以上。
けれど、2年生になってから450点を超えることができなくなって、1教科90点前後の点数が続き、3年生になってからは、90点の壁がかなり高くなり、400点から430点ぐらいの間にいた俺。
そんな俺にとって今回の入試の点数は感慨深く、努力してきてよかったと思える点数だった。
「次の方どうぞ」
事務の女性の声で我に返る。
俺は慌てて目を擦って、外に出た。
点数を確認に来た生徒たちが長蛇の列を作っていた。
俺は勝ち誇った顔でその列を通り過ぎていく。
別に見下したいとかそう言う気持ちじゃない。
だけど、頑張ったんだから、少しくらいそんな尊大な気持ちになったっていいじゃないか。
(俺が新入生で一番だ・・・っ)
「あれ?」
俺は立ち止まって振り返った。
新入生代表の依頼があるかもしれないと思ったからだ。
「あぁ、でも、希望者しかこないし、ここでするはずがないか」
俺はいつ話があるのか頭を働かせる。
「入学説明会か・・・」
再び俺は歩き出す。
もしかしたら、クラスメイトになるかもしれない同窓会たちの顔を見ながら。
けれど、この時、有頂天になっていた俺は「ヤツ」とすでにすれ違っていたことに気が付かなかった。
俺から希望を奪い、俺を翻弄する・・・その男、佐藤涼真の存在に。
(焦らすな、早く言ってくれ)
「あっ、ダメだよ」
ピシッとしたスーツを着た男の先生が少し険しい顔で俺たちのところに近づいてきた。
(えっ)
何か悪いことをしてしまったのかと動揺する俺。
模範的かつ優秀な生徒として高校生活をエンジョイしようと思っていたのに、初っ端から何かをやらかしてしまったのかととても不安になって、顔から血の気が引いた。
「後ろの方に聞こえてしまう可能性もあるから、この紙に書いて渡してください」
「あぁっ!! すいません」
女性はその先生に謝って、あたふたしながら、紙に僕の点数を転記する。
「いいですよ、慌てなくて。慌てず、間違いないようにお願いしますね」
「・・・はい」
女性はそう言って、2、3度数字を照らし合わせて確認する。
「あぁ、申し訳なかったね。合格おめでとう」
俺の顔を見たその先生はさっきの険しい顔が嘘のように優しい笑顔で俺に微笑んだ。
「・・・いえいえ」
俺に非は無かったことがわかってホッとした。
「はい、お待たせしました」
そういって、事務の女性が俺に紙を渡してきた。
結果は・・・
468点
心に、じわっと来るものがあった。
小学校ではほぼほぼテストは100点。中学1年生の時にもほぼ90点以上。
けれど、2年生になってから450点を超えることができなくなって、1教科90点前後の点数が続き、3年生になってからは、90点の壁がかなり高くなり、400点から430点ぐらいの間にいた俺。
そんな俺にとって今回の入試の点数は感慨深く、努力してきてよかったと思える点数だった。
「次の方どうぞ」
事務の女性の声で我に返る。
俺は慌てて目を擦って、外に出た。
点数を確認に来た生徒たちが長蛇の列を作っていた。
俺は勝ち誇った顔でその列を通り過ぎていく。
別に見下したいとかそう言う気持ちじゃない。
だけど、頑張ったんだから、少しくらいそんな尊大な気持ちになったっていいじゃないか。
(俺が新入生で一番だ・・・っ)
「あれ?」
俺は立ち止まって振り返った。
新入生代表の依頼があるかもしれないと思ったからだ。
「あぁ、でも、希望者しかこないし、ここでするはずがないか」
俺はいつ話があるのか頭を働かせる。
「入学説明会か・・・」
再び俺は歩き出す。
もしかしたら、クラスメイトになるかもしれない同窓会たちの顔を見ながら。
けれど、この時、有頂天になっていた俺は「ヤツ」とすでにすれ違っていたことに気が付かなかった。
俺から希望を奪い、俺を翻弄する・・・その男、佐藤涼真の存在に。
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