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―――人生で一番幸せな日っていつだろう
「今日に違いないわ、クロエ」
私は彼が用意してくれた部屋のベッドの中から窓越しに外を見ると、満点の星空はいつもよりも素敵に見えて、今日という日を特別な日にしてくれている気がした。
「でも、今日より明日。明日よ・・・」
今日は結婚前夜。
愛しのロベルトに告白された日、私の一番幸せな日は生まれた日から更新されて、結婚式の日程を決めてからは毎日一番幸せな日が更新されている。だって、王政が傾き治安が悪い中でも一番素敵な男性ロベルトと一緒にいることができて、景気だって悪いのに彼が私のために素敵な結婚式を計画してくれているのだもの。
「あぁ、愛しいロベルト。今日もお別れしてしまったけれど、離れている時間が寂しいわ」
夜空に浮かぶ愛しのロベルトの笑顔にうっとりしながら、私は彼から貰ったネックレスを擦る。
ネックレスには職人が細工を凝らした金細工に、ダイヤやルビー、サファイヤなどが散りばめられていて、その価値はお城も買うのに相当すると聞いた。伯爵の長男であるロベルトから貰ったと周りに言うと、伯爵家が持っているなんてありえないとか言われたこともあるけれど、彼はとてもやり手だし、そんな彼の愛の大きさの証だもの。
ロベルトは自分だと思って、肌身離さず四六時中着けて欲しいと言ったから、モテない私はその愛の大きさに応えるために言いつけを守って、お風呂の時も寝る時も肌身離さず着けている。
あぁ、モテないと言うとロベルトまでモテない男で私に妥協したみたいに聞こえてしまうわね。一応私も、昔は人並みに殿方から好意を寄せられていたけれど、ロベルトと私の愛の絆に余計な虫が近寄らなくなったと言った方がいいかしらね。
でも、このネックレスのことで残念案ことが一つ。
着けて貰った時、私はあまりの嬉しさに卒倒してしまい記憶がなくて、とても残念なの。
まぁ、プロポーズの日だって覚えているし、明日の結婚式、それにこれから二人・・・それと二人の愛の結晶である子どもたちとの思い出を作っていくからいいんだけどね。
あぁ、明日が楽しみで仕方がない。
それに、ロベルトのことを考えると胸がいっぱいで目がさえてきてしまう。
「でもお肌に悪いわ、クロエ。それに明日はロベルトのかっこいい姿の全てを絶対に見落とさないで、心に刻むんだから。今度は絶対に卒倒しないように早く寝ないと。明日は一番素敵な日に・・・・・・痛っ」
今まで幸せな気持ちでいっぱいだったのに、急に胸が張り裂けそうな悲しみが襲い、私は頭と胸がとても痛くなった。
まるで、パンドラの箱の全ての厄災が私に襲い掛かったようだった。
だから、その苦痛の中に希望が残されれていたなんてこの時の私は知る由も無かった―――
「今日に違いないわ、クロエ」
私は彼が用意してくれた部屋のベッドの中から窓越しに外を見ると、満点の星空はいつもよりも素敵に見えて、今日という日を特別な日にしてくれている気がした。
「でも、今日より明日。明日よ・・・」
今日は結婚前夜。
愛しのロベルトに告白された日、私の一番幸せな日は生まれた日から更新されて、結婚式の日程を決めてからは毎日一番幸せな日が更新されている。だって、王政が傾き治安が悪い中でも一番素敵な男性ロベルトと一緒にいることができて、景気だって悪いのに彼が私のために素敵な結婚式を計画してくれているのだもの。
「あぁ、愛しいロベルト。今日もお別れしてしまったけれど、離れている時間が寂しいわ」
夜空に浮かぶ愛しのロベルトの笑顔にうっとりしながら、私は彼から貰ったネックレスを擦る。
ネックレスには職人が細工を凝らした金細工に、ダイヤやルビー、サファイヤなどが散りばめられていて、その価値はお城も買うのに相当すると聞いた。伯爵の長男であるロベルトから貰ったと周りに言うと、伯爵家が持っているなんてありえないとか言われたこともあるけれど、彼はとてもやり手だし、そんな彼の愛の大きさの証だもの。
ロベルトは自分だと思って、肌身離さず四六時中着けて欲しいと言ったから、モテない私はその愛の大きさに応えるために言いつけを守って、お風呂の時も寝る時も肌身離さず着けている。
あぁ、モテないと言うとロベルトまでモテない男で私に妥協したみたいに聞こえてしまうわね。一応私も、昔は人並みに殿方から好意を寄せられていたけれど、ロベルトと私の愛の絆に余計な虫が近寄らなくなったと言った方がいいかしらね。
でも、このネックレスのことで残念案ことが一つ。
着けて貰った時、私はあまりの嬉しさに卒倒してしまい記憶がなくて、とても残念なの。
まぁ、プロポーズの日だって覚えているし、明日の結婚式、それにこれから二人・・・それと二人の愛の結晶である子どもたちとの思い出を作っていくからいいんだけどね。
あぁ、明日が楽しみで仕方がない。
それに、ロベルトのことを考えると胸がいっぱいで目がさえてきてしまう。
「でもお肌に悪いわ、クロエ。それに明日はロベルトのかっこいい姿の全てを絶対に見落とさないで、心に刻むんだから。今度は絶対に卒倒しないように早く寝ないと。明日は一番素敵な日に・・・・・・痛っ」
今まで幸せな気持ちでいっぱいだったのに、急に胸が張り裂けそうな悲しみが襲い、私は頭と胸がとても痛くなった。
まるで、パンドラの箱の全ての厄災が私に襲い掛かったようだった。
だから、その苦痛の中に希望が残されれていたなんてこの時の私は知る由も無かった―――
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