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2021年7月8日
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「星野光彦ですっ!!よろしくお願いしますっ!!!」
びっくりした顔のおっちゃん。
胸板も厚く髭を生やして強面。日差しの中で働いているその人は日に焼けているのが地の肌になっている。
やべー、声がでかすぎたかな。
「星野さんね・・・まぁ、座ってください」
おっさんが椅子にかけるように手で合図を送ってくれたので、俺は90度に頭を下げてから、椅子に座った。
ガタガタッ
(おいおい、勘弁してくれよ・・・)
俺の膝が揺れるのをおっさんに気づかれて一生懸命止めようとする。決して、貧乏ゆすりをしているわけじゃない。緊張で足がガクブルってやつになっているんだ。
「お前さん。肌が白いが外仕事はやったことはあるんか?」
「あっありません」
あうあうしながら言ってしまうのが恥ずかしい。
(あぁ!!帰りたい!!あの城へ帰りたい!!)
叫び出して、逃げ出したかった。
俺にはこんな世界、合わないんだ。
(でも・・・)
俺は天井を見る。
今どきでは珍しい煙草のヤニで汚れた天井。天井にあったシミが嘲笑しているようだった。
俺の限界なんてうす汚ねぇ、と。
「あっ」
俺は思わず声が出た。
「んだ?蛾でもいたか?」
おっさんは虫を探して天井を見る。
汚いものを見ちまったと険しい顔をするおっさんが八つ当たりしようと俺の顔を見る。
「おい・・・何泣いてんだ?」
ただ、泣いている俺の顔を見て戸惑う顔に変わる。
「いえ・・・なんでもないです」
俺は涙をそっとふく。
やっぱり、俺はここで働く。
(なぁ・・・そうだろ?織姫?)
「おいおい、ここは精神科じゃねえぞ・・・帰んな」
ヤニが無くなったのかイライラするおっさん。
「帰りません。働かしてください」
俺は頭を深々と下げる。
「なんでもやりますから、ここで働かしてください」
「必要なのは・・・できることだ。別に難しいことはねぇ、しんどいがな。だから、別にてめえの志望動機なんざどうでもいい。・・・があえて聞こう。なんで体力勝負のうちなんだ?」
とうとうタバコを吸うおっさん。うまそうな顔をするが、俺は嫌煙者だ。
「橋を作りたいからです。でっけぇ、橋を」
右手の拳を固めたのは強い意志。
「無理だ」
ぷはぁ―っと煙を吐く。
「なぜにっ!!?」
俺が立ち上がるのを冷めた目で見るおっさん。これだから、社会は夢が無くて嫌だ。
熱意なんて簡単に偉い奴が・・・
「まずは・・・交通整理からだ」
おっさんは立ち上がり、背伸びをする。
「おっ・・・」
「返事は・・・?」
「はいっ!!」
おっさんはどうやら背中で語るタイプのようだ。先に歩き出して、外の扉に向かうので、俺もその背中を追う。ただ、ちらっともう一度天井を見た。
天井には汚い川のように黄ばんだ蛇行したシミがあり、二等辺三角形になりきれない3つの黒いシミのうち一つはその黄ばんだ川の中にあり、二つの黒点は黄ばんだ川を挟んでいた。
どっかで見た景色に被るけれど、比べるには雲泥の差だったが、一つだけ気に入ったことがある。
「ほらっ、さっさとしろ!!」
「はいっ!!」
理由はわからない。けれど、その黄ばんだシミを強引にぶった切るように真っ白い線が黒点と黒点を結んでいた。
びっくりした顔のおっちゃん。
胸板も厚く髭を生やして強面。日差しの中で働いているその人は日に焼けているのが地の肌になっている。
やべー、声がでかすぎたかな。
「星野さんね・・・まぁ、座ってください」
おっさんが椅子にかけるように手で合図を送ってくれたので、俺は90度に頭を下げてから、椅子に座った。
ガタガタッ
(おいおい、勘弁してくれよ・・・)
俺の膝が揺れるのをおっさんに気づかれて一生懸命止めようとする。決して、貧乏ゆすりをしているわけじゃない。緊張で足がガクブルってやつになっているんだ。
「お前さん。肌が白いが外仕事はやったことはあるんか?」
「あっありません」
あうあうしながら言ってしまうのが恥ずかしい。
(あぁ!!帰りたい!!あの城へ帰りたい!!)
叫び出して、逃げ出したかった。
俺にはこんな世界、合わないんだ。
(でも・・・)
俺は天井を見る。
今どきでは珍しい煙草のヤニで汚れた天井。天井にあったシミが嘲笑しているようだった。
俺の限界なんてうす汚ねぇ、と。
「あっ」
俺は思わず声が出た。
「んだ?蛾でもいたか?」
おっさんは虫を探して天井を見る。
汚いものを見ちまったと険しい顔をするおっさんが八つ当たりしようと俺の顔を見る。
「おい・・・何泣いてんだ?」
ただ、泣いている俺の顔を見て戸惑う顔に変わる。
「いえ・・・なんでもないです」
俺は涙をそっとふく。
やっぱり、俺はここで働く。
(なぁ・・・そうだろ?織姫?)
「おいおい、ここは精神科じゃねえぞ・・・帰んな」
ヤニが無くなったのかイライラするおっさん。
「帰りません。働かしてください」
俺は頭を深々と下げる。
「なんでもやりますから、ここで働かしてください」
「必要なのは・・・できることだ。別に難しいことはねぇ、しんどいがな。だから、別にてめえの志望動機なんざどうでもいい。・・・があえて聞こう。なんで体力勝負のうちなんだ?」
とうとうタバコを吸うおっさん。うまそうな顔をするが、俺は嫌煙者だ。
「橋を作りたいからです。でっけぇ、橋を」
右手の拳を固めたのは強い意志。
「無理だ」
ぷはぁ―っと煙を吐く。
「なぜにっ!!?」
俺が立ち上がるのを冷めた目で見るおっさん。これだから、社会は夢が無くて嫌だ。
熱意なんて簡単に偉い奴が・・・
「まずは・・・交通整理からだ」
おっさんは立ち上がり、背伸びをする。
「おっ・・・」
「返事は・・・?」
「はいっ!!」
おっさんはどうやら背中で語るタイプのようだ。先に歩き出して、外の扉に向かうので、俺もその背中を追う。ただ、ちらっともう一度天井を見た。
天井には汚い川のように黄ばんだ蛇行したシミがあり、二等辺三角形になりきれない3つの黒いシミのうち一つはその黄ばんだ川の中にあり、二つの黒点は黄ばんだ川を挟んでいた。
どっかで見た景色に被るけれど、比べるには雲泥の差だったが、一つだけ気に入ったことがある。
「ほらっ、さっさとしろ!!」
「はいっ!!」
理由はわからない。けれど、その黄ばんだシミを強引にぶった切るように真っ白い線が黒点と黒点を結んでいた。
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