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2021年7月7日昼前
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いい香りだ。
懐かしくも落ち着く花の匂い。
俺はお花畑にいた。
『よしっ、すきっぷするぞぉ?それっ』
運動神経が悪くスキップもろくにできない俺だったが、身体が軽くスキップができる。これはもしかして、堕天する前の天使の記憶かもしれない。
でなければ、毎日毎日戦場に赴き、残飯のような飯しか食えず、今日の味方が明日の敵で、誰が裏切っても不思議ではない世界に堕ちていった俺がこんな夢を見るはずがない。
にしても、気持ちいい。
「・・・きて」
『どこだ?』
どこからか、懐かしくもかわいらしい声が聞こえる。
「・・・きて」
『どこへ向かえばいい?』
「起きて、彦星」
「はっ!!!」
俺はタオルケットを跳ね飛ばして起きる。
こんなかわいいアラーム音を俺は設定した覚えはないぞ、と頭を回転させていくと、美少女が目に留まった。
うん、かわいい。
「キミは・・・」
「忘れちゃったの?」
ちょっと寂しそうな顔をする少女。
「いいや、忘れるはずがないだろうっ。例え忘れたって何度だって思い出してやる。キミの名は織姫だ」
(あれっ?)
臭いセリフは好きだけれど、今の心はこう・・・心の中から湧き上がってきた言葉だった。なんだったんだろう。
そんな俺をよそに織姫は嬉しそうな顔をしている。
「何をしているんだ?織姫・・・てかっ、俺は昨日寝ちまったのかっ!?」
(なああああああっ)
美少女とやれるチャンスをまさかの寝落ちするとは、なんたる不覚。俺のマイサンも泣いているぜ、ベイベー。
マイサンはしゅんっと寂しそうにしていた。
よしよし、あとで頭をなでなでしてやるからな?待っていろよ?
「えーっと、まず最初の質問ね。今は掃除よ」
そう言いながら、俺のお気に入りのコレクションの本とDVDとBDをご丁寧に分別して捨てている織姫。
「あの~、織姫さん。それは僕ちんの大事な物なんですけど・・・?」
「ん?」
「だから・・・その中身見た?」
「・・・っ」
頬を赤らめて恥じらう姿は・・・(以下略)可愛すぎる。
俺の中に秘められたSの血が騒ぐぜ。
「浮気者・・・」
グサッ
キューピット、天使のシモベめ、堕天使の俺に一発必中のぶっとい弓矢を打ってきやがった。
FPSで鍛えたこの俺が簡単に打たれちまったぜ・・・。
でもありがとな・・・へへっ、最高のプレゼントだぜ。
織姫さんは僕ちんが道から外れないように善意で邪な物を捨ててくれました。嫉妬や怒りではございません。善意でございますまる。
「次の質問、貴方はぐっすりと寝てたわ。約・・・10時間ね。ちょっと寝過ぎよ、ふふっ、。まぁ、今回はお父様に寝かされたと言った方がいいかしら?」
笑いながら、掃除を続ける織姫。さすがに十二単は脱いで、白い着物をきているのだが、それが妙に身体のラインがセクシーで・・・
「にゃろっ、あいつか、カミナリの野郎かっ。ちっきしょーーーっ!!!!」
俺は悔しくなって、床を何度も叩いた。
「もうっ、彦星は私がいないとほんとっ、ダメなんだから」
跪いた俺を見下ろしながら、満面の笑みの織姫。
チョー幸せそうだった。
あっ、この人ダメ男が好きなタイプや。
俺が風の噂でしか聞いたことがなく、その存在は秘境のドラゴンにも匹敵する存在。
ダメ男が好きな女の子、しかも美少女。
おやおや、俺はようやく巡り合ったようだ。
この神に選ばれし、俺が―――。
懐かしくも落ち着く花の匂い。
俺はお花畑にいた。
『よしっ、すきっぷするぞぉ?それっ』
運動神経が悪くスキップもろくにできない俺だったが、身体が軽くスキップができる。これはもしかして、堕天する前の天使の記憶かもしれない。
でなければ、毎日毎日戦場に赴き、残飯のような飯しか食えず、今日の味方が明日の敵で、誰が裏切っても不思議ではない世界に堕ちていった俺がこんな夢を見るはずがない。
にしても、気持ちいい。
「・・・きて」
『どこだ?』
どこからか、懐かしくもかわいらしい声が聞こえる。
「・・・きて」
『どこへ向かえばいい?』
「起きて、彦星」
「はっ!!!」
俺はタオルケットを跳ね飛ばして起きる。
こんなかわいいアラーム音を俺は設定した覚えはないぞ、と頭を回転させていくと、美少女が目に留まった。
うん、かわいい。
「キミは・・・」
「忘れちゃったの?」
ちょっと寂しそうな顔をする少女。
「いいや、忘れるはずがないだろうっ。例え忘れたって何度だって思い出してやる。キミの名は織姫だ」
(あれっ?)
臭いセリフは好きだけれど、今の心はこう・・・心の中から湧き上がってきた言葉だった。なんだったんだろう。
そんな俺をよそに織姫は嬉しそうな顔をしている。
「何をしているんだ?織姫・・・てかっ、俺は昨日寝ちまったのかっ!?」
(なああああああっ)
美少女とやれるチャンスをまさかの寝落ちするとは、なんたる不覚。俺のマイサンも泣いているぜ、ベイベー。
マイサンはしゅんっと寂しそうにしていた。
よしよし、あとで頭をなでなでしてやるからな?待っていろよ?
「えーっと、まず最初の質問ね。今は掃除よ」
そう言いながら、俺のお気に入りのコレクションの本とDVDとBDをご丁寧に分別して捨てている織姫。
「あの~、織姫さん。それは僕ちんの大事な物なんですけど・・・?」
「ん?」
「だから・・・その中身見た?」
「・・・っ」
頬を赤らめて恥じらう姿は・・・(以下略)可愛すぎる。
俺の中に秘められたSの血が騒ぐぜ。
「浮気者・・・」
グサッ
キューピット、天使のシモベめ、堕天使の俺に一発必中のぶっとい弓矢を打ってきやがった。
FPSで鍛えたこの俺が簡単に打たれちまったぜ・・・。
でもありがとな・・・へへっ、最高のプレゼントだぜ。
織姫さんは僕ちんが道から外れないように善意で邪な物を捨ててくれました。嫉妬や怒りではございません。善意でございますまる。
「次の質問、貴方はぐっすりと寝てたわ。約・・・10時間ね。ちょっと寝過ぎよ、ふふっ、。まぁ、今回はお父様に寝かされたと言った方がいいかしら?」
笑いながら、掃除を続ける織姫。さすがに十二単は脱いで、白い着物をきているのだが、それが妙に身体のラインがセクシーで・・・
「にゃろっ、あいつか、カミナリの野郎かっ。ちっきしょーーーっ!!!!」
俺は悔しくなって、床を何度も叩いた。
「もうっ、彦星は私がいないとほんとっ、ダメなんだから」
跪いた俺を見下ろしながら、満面の笑みの織姫。
チョー幸せそうだった。
あっ、この人ダメ男が好きなタイプや。
俺が風の噂でしか聞いたことがなく、その存在は秘境のドラゴンにも匹敵する存在。
ダメ男が好きな女の子、しかも美少女。
おやおや、俺はようやく巡り合ったようだ。
この神に選ばれし、俺が―――。
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