4 / 15
2021年7月7日昼前
しおりを挟む
いい香りだ。
懐かしくも落ち着く花の匂い。
俺はお花畑にいた。
『よしっ、すきっぷするぞぉ?それっ』
運動神経が悪くスキップもろくにできない俺だったが、身体が軽くスキップができる。これはもしかして、堕天する前の天使の記憶かもしれない。
でなければ、毎日毎日戦場に赴き、残飯のような飯しか食えず、今日の味方が明日の敵で、誰が裏切っても不思議ではない世界に堕ちていった俺がこんな夢を見るはずがない。
にしても、気持ちいい。
「・・・きて」
『どこだ?』
どこからか、懐かしくもかわいらしい声が聞こえる。
「・・・きて」
『どこへ向かえばいい?』
「起きて、彦星」
「はっ!!!」
俺はタオルケットを跳ね飛ばして起きる。
こんなかわいいアラーム音を俺は設定した覚えはないぞ、と頭を回転させていくと、美少女が目に留まった。
うん、かわいい。
「キミは・・・」
「忘れちゃったの?」
ちょっと寂しそうな顔をする少女。
「いいや、忘れるはずがないだろうっ。例え忘れたって何度だって思い出してやる。キミの名は織姫だ」
(あれっ?)
臭いセリフは好きだけれど、今の心はこう・・・心の中から湧き上がってきた言葉だった。なんだったんだろう。
そんな俺をよそに織姫は嬉しそうな顔をしている。
「何をしているんだ?織姫・・・てかっ、俺は昨日寝ちまったのかっ!?」
(なああああああっ)
美少女とやれるチャンスをまさかの寝落ちするとは、なんたる不覚。俺のマイサンも泣いているぜ、ベイベー。
マイサンはしゅんっと寂しそうにしていた。
よしよし、あとで頭をなでなでしてやるからな?待っていろよ?
「えーっと、まず最初の質問ね。今は掃除よ」
そう言いながら、俺のお気に入りのコレクションの本とDVDとBDをご丁寧に分別して捨てている織姫。
「あの~、織姫さん。それは僕ちんの大事な物なんですけど・・・?」
「ん?」
「だから・・・その中身見た?」
「・・・っ」
頬を赤らめて恥じらう姿は・・・(以下略)可愛すぎる。
俺の中に秘められたSの血が騒ぐぜ。
「浮気者・・・」
グサッ
キューピット、天使のシモベめ、堕天使の俺に一発必中のぶっとい弓矢を打ってきやがった。
FPSで鍛えたこの俺が簡単に打たれちまったぜ・・・。
でもありがとな・・・へへっ、最高のプレゼントだぜ。
織姫さんは僕ちんが道から外れないように善意で邪な物を捨ててくれました。嫉妬や怒りではございません。善意でございますまる。
「次の質問、貴方はぐっすりと寝てたわ。約・・・10時間ね。ちょっと寝過ぎよ、ふふっ、。まぁ、今回はお父様に寝かされたと言った方がいいかしら?」
笑いながら、掃除を続ける織姫。さすがに十二単は脱いで、白い着物をきているのだが、それが妙に身体のラインがセクシーで・・・
「にゃろっ、あいつか、カミナリの野郎かっ。ちっきしょーーーっ!!!!」
俺は悔しくなって、床を何度も叩いた。
「もうっ、彦星は私がいないとほんとっ、ダメなんだから」
跪いた俺を見下ろしながら、満面の笑みの織姫。
チョー幸せそうだった。
あっ、この人ダメ男が好きなタイプや。
俺が風の噂でしか聞いたことがなく、その存在は秘境のドラゴンにも匹敵する存在。
ダメ男が好きな女の子、しかも美少女。
おやおや、俺はようやく巡り合ったようだ。
この神に選ばれし、俺が―――。
懐かしくも落ち着く花の匂い。
俺はお花畑にいた。
『よしっ、すきっぷするぞぉ?それっ』
運動神経が悪くスキップもろくにできない俺だったが、身体が軽くスキップができる。これはもしかして、堕天する前の天使の記憶かもしれない。
でなければ、毎日毎日戦場に赴き、残飯のような飯しか食えず、今日の味方が明日の敵で、誰が裏切っても不思議ではない世界に堕ちていった俺がこんな夢を見るはずがない。
にしても、気持ちいい。
「・・・きて」
『どこだ?』
どこからか、懐かしくもかわいらしい声が聞こえる。
「・・・きて」
『どこへ向かえばいい?』
「起きて、彦星」
「はっ!!!」
俺はタオルケットを跳ね飛ばして起きる。
こんなかわいいアラーム音を俺は設定した覚えはないぞ、と頭を回転させていくと、美少女が目に留まった。
うん、かわいい。
「キミは・・・」
「忘れちゃったの?」
ちょっと寂しそうな顔をする少女。
「いいや、忘れるはずがないだろうっ。例え忘れたって何度だって思い出してやる。キミの名は織姫だ」
(あれっ?)
臭いセリフは好きだけれど、今の心はこう・・・心の中から湧き上がってきた言葉だった。なんだったんだろう。
そんな俺をよそに織姫は嬉しそうな顔をしている。
「何をしているんだ?織姫・・・てかっ、俺は昨日寝ちまったのかっ!?」
(なああああああっ)
美少女とやれるチャンスをまさかの寝落ちするとは、なんたる不覚。俺のマイサンも泣いているぜ、ベイベー。
マイサンはしゅんっと寂しそうにしていた。
よしよし、あとで頭をなでなでしてやるからな?待っていろよ?
「えーっと、まず最初の質問ね。今は掃除よ」
そう言いながら、俺のお気に入りのコレクションの本とDVDとBDをご丁寧に分別して捨てている織姫。
「あの~、織姫さん。それは僕ちんの大事な物なんですけど・・・?」
「ん?」
「だから・・・その中身見た?」
「・・・っ」
頬を赤らめて恥じらう姿は・・・(以下略)可愛すぎる。
俺の中に秘められたSの血が騒ぐぜ。
「浮気者・・・」
グサッ
キューピット、天使のシモベめ、堕天使の俺に一発必中のぶっとい弓矢を打ってきやがった。
FPSで鍛えたこの俺が簡単に打たれちまったぜ・・・。
でもありがとな・・・へへっ、最高のプレゼントだぜ。
織姫さんは僕ちんが道から外れないように善意で邪な物を捨ててくれました。嫉妬や怒りではございません。善意でございますまる。
「次の質問、貴方はぐっすりと寝てたわ。約・・・10時間ね。ちょっと寝過ぎよ、ふふっ、。まぁ、今回はお父様に寝かされたと言った方がいいかしら?」
笑いながら、掃除を続ける織姫。さすがに十二単は脱いで、白い着物をきているのだが、それが妙に身体のラインがセクシーで・・・
「にゃろっ、あいつか、カミナリの野郎かっ。ちっきしょーーーっ!!!!」
俺は悔しくなって、床を何度も叩いた。
「もうっ、彦星は私がいないとほんとっ、ダメなんだから」
跪いた俺を見下ろしながら、満面の笑みの織姫。
チョー幸せそうだった。
あっ、この人ダメ男が好きなタイプや。
俺が風の噂でしか聞いたことがなく、その存在は秘境のドラゴンにも匹敵する存在。
ダメ男が好きな女の子、しかも美少女。
おやおや、俺はようやく巡り合ったようだ。
この神に選ばれし、俺が―――。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

男性向けフリー台本集
氷元一
恋愛
思いついたときに書いた男性向けのフリー台本です。ご自由にどうぞ。使用報告は自由ですが連絡くださると僕が喜びます。
※言い回しなどアレンジは可。
Twitter:https://twitter.com/mayoi_himoto
YouTube:https://www.youtube.com/c/%E8%BF%B7%E3%81%84%E4%BA%BA%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E6%B0%B7%E5%85%83%E4%B8%80/featured?view_as=subscriber
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる