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共働き期
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「成宮さん。ここ違いますよ」
「えっ、あぁ。すいません」
鈴木係長にミスを指摘された私は謝って、速やかに訂正する。たくやの言う通りだ。寝不足のせいで些細な計算ミスをしてしまった。
(大丈夫よ、大丈夫。だってほら、夕食は楽しかったじゃない)
私は夜のたくやの影を抱えた姿を思い出してしまい、楽しい思い出で上書きしようとする。
「成宮さん。ちょっとよろしいですか?」
「あっ、はい。なんでしょうか」
私が緊張しながら返事をすると、鈴木係長はニコっと笑って、
「エクセルは久しぶりですか?」
「はい・・・すいません」
「いえいえ、悪いことはないですよ。そのために僕がいるので。ここをこうすると・・・」
私はエクセルの使い方を教わった。当然私も2年間働いていてエクセルを使っていたこともあった。けれど、忘れた部分もあったし、鈴木係長から目からウロコのような操作方法を教えてもらった。
「すごい・・・・・・ありがとうございます。私、仕事もできないしミスもしてしまうし・・・本当にご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「いえいえ、2日目で仕事を完璧にするのは難しいと思いますので、大丈夫ですよ。人間ですからヒューマンエラーはつきもの。そのミスをどうやったら無くせるか、無くせるならどうやったら簡単に無くせるのか。そうやって、ミスが出た時に工夫して、業務を効率化するのが人間の仕事ですから。ミスは成功のもと。ポジティブに」
「鈴木係長、熱くなり過ぎですよ?」
ハッ
新山さんに言われて、我に返る鈴木係長。
「すっ、すいません。成宮さん」
「いえ・・・っ」
たくやと真逆。
でも、素敵ないい考えだと思った。鈴木係長は頭を掻きながら、新山さんに笑われている。素直で天然で愛嬌があって気さくな鈴木係長。
ミスは成功のもと・・・
なんかいいと思った自分がいた。
「あっ、そうだ。成宮さん」
鈴木係長と話していた新山さんが思い出したように、私に近寄ってくる。
「なんでしょうか」
私は新山さんに両手を握られて同性なのにドキドキしてしまう。そして、新山さんの肌のきめの細かさが眩しく感じた。指輪もしていないから独身だろう。30代で、出産をした私が彼女と並ぶと、誰かに見比べられそうで少し照れと言うか逃げたくなった。
「歓迎会したいんですけど、どうですか?」
懐かしい響き。
大卒で入社した会社で行われた歓迎会をされたときは、右も左も、大学生と違って社会人はプライベートなことをどの程度言う必要があって、どの程度言う必要がないのかわからない状態で、少し上の男性職員から付き合っている人がいるのかどうかとか聞かれて、嫌だったのを思い出す。まぁ、今やたくやと結婚したし、新山さんはもしかしたら、たくやとのなれそめを聞くかもしれないれど、同性から聞かれるのは私は苦じゃないし、仕事を教わる分、もしかしたら、アドバイスもできるかもしれない。
(でも、偉そうにならないように気を付けないと)
優しく仕事を教えてくれる新山さんにはとても感謝している。だから、私も何かアドバイスがあったら、優しく教えるように心がけるのを決めた。それにこんなに目を輝かせて、会を開催しようとしてくれている新山さんを無下にはできない。
「開いていただけるのであれば・・・」
「本当ですかっ!? やったっ」
はしゃぐ新山さん。
「本当に大丈夫ですか。成宮さん」
心配そうに私に声を掛ける鈴木係長。
「はい?」
「あっ、僕も成宮さんの歓迎会はぜひ開きたいと思っているんだ。だけど、ご家族は大丈夫かなと思って」
「あっ」
「えっ、あぁ。すいません」
鈴木係長にミスを指摘された私は謝って、速やかに訂正する。たくやの言う通りだ。寝不足のせいで些細な計算ミスをしてしまった。
(大丈夫よ、大丈夫。だってほら、夕食は楽しかったじゃない)
私は夜のたくやの影を抱えた姿を思い出してしまい、楽しい思い出で上書きしようとする。
「成宮さん。ちょっとよろしいですか?」
「あっ、はい。なんでしょうか」
私が緊張しながら返事をすると、鈴木係長はニコっと笑って、
「エクセルは久しぶりですか?」
「はい・・・すいません」
「いえいえ、悪いことはないですよ。そのために僕がいるので。ここをこうすると・・・」
私はエクセルの使い方を教わった。当然私も2年間働いていてエクセルを使っていたこともあった。けれど、忘れた部分もあったし、鈴木係長から目からウロコのような操作方法を教えてもらった。
「すごい・・・・・・ありがとうございます。私、仕事もできないしミスもしてしまうし・・・本当にご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「いえいえ、2日目で仕事を完璧にするのは難しいと思いますので、大丈夫ですよ。人間ですからヒューマンエラーはつきもの。そのミスをどうやったら無くせるか、無くせるならどうやったら簡単に無くせるのか。そうやって、ミスが出た時に工夫して、業務を効率化するのが人間の仕事ですから。ミスは成功のもと。ポジティブに」
「鈴木係長、熱くなり過ぎですよ?」
ハッ
新山さんに言われて、我に返る鈴木係長。
「すっ、すいません。成宮さん」
「いえ・・・っ」
たくやと真逆。
でも、素敵ないい考えだと思った。鈴木係長は頭を掻きながら、新山さんに笑われている。素直で天然で愛嬌があって気さくな鈴木係長。
ミスは成功のもと・・・
なんかいいと思った自分がいた。
「あっ、そうだ。成宮さん」
鈴木係長と話していた新山さんが思い出したように、私に近寄ってくる。
「なんでしょうか」
私は新山さんに両手を握られて同性なのにドキドキしてしまう。そして、新山さんの肌のきめの細かさが眩しく感じた。指輪もしていないから独身だろう。30代で、出産をした私が彼女と並ぶと、誰かに見比べられそうで少し照れと言うか逃げたくなった。
「歓迎会したいんですけど、どうですか?」
懐かしい響き。
大卒で入社した会社で行われた歓迎会をされたときは、右も左も、大学生と違って社会人はプライベートなことをどの程度言う必要があって、どの程度言う必要がないのかわからない状態で、少し上の男性職員から付き合っている人がいるのかどうかとか聞かれて、嫌だったのを思い出す。まぁ、今やたくやと結婚したし、新山さんはもしかしたら、たくやとのなれそめを聞くかもしれないれど、同性から聞かれるのは私は苦じゃないし、仕事を教わる分、もしかしたら、アドバイスもできるかもしれない。
(でも、偉そうにならないように気を付けないと)
優しく仕事を教えてくれる新山さんにはとても感謝している。だから、私も何かアドバイスがあったら、優しく教えるように心がけるのを決めた。それにこんなに目を輝かせて、会を開催しようとしてくれている新山さんを無下にはできない。
「開いていただけるのであれば・・・」
「本当ですかっ!? やったっ」
はしゃぐ新山さん。
「本当に大丈夫ですか。成宮さん」
心配そうに私に声を掛ける鈴木係長。
「はい?」
「あっ、僕も成宮さんの歓迎会はぜひ開きたいと思っているんだ。だけど、ご家族は大丈夫かなと思って」
「あっ」
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