5 / 8
専業主婦期
5
しおりを挟む
一番大切なこと、それは「りく」だ。
けれど、たくやを説得するには私も働き、同じテーブルに着く必要がある。
「いやいやいや・・・そんなわけないって」
そう思いながら、私はご飯の下ごしらえを済ませた。今日はもちろんお風呂も洗ってあるし、すでにりくと私はお風呂を済ませてある。
「うーん」
昨日大掃除したけれど、2歳のりくがいればすぐに散らかる。けれど、このことはたくやはわかってくれないかもしれない。今日はりくと遊んであげたり、寝不足とかもあって一息入れたいと思いつつ、簡単な掃除を始めた。すると、ラインでたくやから「帰る」と連絡が来た。今どことか、何時に着くとか書いてないけれど、私は「OK」と返信して、今会社を出たか、電車に乗ったところだと推測して、ご飯の準備を再開する。
「ただいま」
(よし、ビンゴ)
伊達に4年以上夫婦をやっているわけではない。ほぼ出来立ての料理を用意した私は夫のたくやを迎える。
「ご苦労様、おかえりなさい」
私が笑顔でそう言うとたくやは冷ややかな目をしながら、手首のボタンを外し、
「ご苦労様っていうのは、アナタが苦労するのは無能だからって意味入るから、上の人には使わない」
と告げてきた。
ん? 私たちは同い年で、上下はないでしょ?
と思いながら、私は彼のカバンやネクタイを預かり、食事を食べるように促す。
(召し上がれは・・・尊敬語? 謙譲語?)
お決まりの言葉だと思いつつ、私は言っていい言葉なのか悩んでいたら、何も言えず、たくやは無言でご飯を食べ始める。
(いただきます、は言ってよ・・・)
私はたくやの持ち物を片付けて、彼と向かいでりくの隣の席に座り、
「いただきますっ」
手を合わせてそう言って、りくを見ると、りくも「いただき、ますっ」と笑顔で答えてくれたが、たくやは無関心だ。陰と陽。寡黙に食べるたくやと食材の名前当てクイズにして楽しく食べる私たちの間に見えないアクリル板がある気がした。
「お前さ・・・・・・」
そんな中、たくやがぽつりと呟いた。
「なに?」
私が気づき、食材の名前当てクイズを止めると、
「仕事すれば? 俺にばっか頼ってないでさ。そうすれば、ミスに対しての問題意識も上がるし、専業主婦の楽さがわかるからさ・・・っ」
なにそれ?
まだ言うの?
それはお説教なの?
あなたには落ち度はないの?
もしかしたら、私の一番のミスはこの男性を―――
私は机の下で拳を固くして、奥歯を噛みしめた。
今の私ならたくやに言い返せる。でも、隣を見ると、天使が不安そうな顔をして私を見ていた。私はこの天使が怖いと思わせたくないと思った。
りく。
もしかしたら寂しい想いとかをさせてしまうかもしれない。
でも、それがあなたの自立や成長につながると信じて・・・いいかな?
「ええ、分かったわ。私、働く。だから、アナタも当然家事をしてよね」
けれど、たくやを説得するには私も働き、同じテーブルに着く必要がある。
「いやいやいや・・・そんなわけないって」
そう思いながら、私はご飯の下ごしらえを済ませた。今日はもちろんお風呂も洗ってあるし、すでにりくと私はお風呂を済ませてある。
「うーん」
昨日大掃除したけれど、2歳のりくがいればすぐに散らかる。けれど、このことはたくやはわかってくれないかもしれない。今日はりくと遊んであげたり、寝不足とかもあって一息入れたいと思いつつ、簡単な掃除を始めた。すると、ラインでたくやから「帰る」と連絡が来た。今どことか、何時に着くとか書いてないけれど、私は「OK」と返信して、今会社を出たか、電車に乗ったところだと推測して、ご飯の準備を再開する。
「ただいま」
(よし、ビンゴ)
伊達に4年以上夫婦をやっているわけではない。ほぼ出来立ての料理を用意した私は夫のたくやを迎える。
「ご苦労様、おかえりなさい」
私が笑顔でそう言うとたくやは冷ややかな目をしながら、手首のボタンを外し、
「ご苦労様っていうのは、アナタが苦労するのは無能だからって意味入るから、上の人には使わない」
と告げてきた。
ん? 私たちは同い年で、上下はないでしょ?
と思いながら、私は彼のカバンやネクタイを預かり、食事を食べるように促す。
(召し上がれは・・・尊敬語? 謙譲語?)
お決まりの言葉だと思いつつ、私は言っていい言葉なのか悩んでいたら、何も言えず、たくやは無言でご飯を食べ始める。
(いただきます、は言ってよ・・・)
私はたくやの持ち物を片付けて、彼と向かいでりくの隣の席に座り、
「いただきますっ」
手を合わせてそう言って、りくを見ると、りくも「いただき、ますっ」と笑顔で答えてくれたが、たくやは無関心だ。陰と陽。寡黙に食べるたくやと食材の名前当てクイズにして楽しく食べる私たちの間に見えないアクリル板がある気がした。
「お前さ・・・・・・」
そんな中、たくやがぽつりと呟いた。
「なに?」
私が気づき、食材の名前当てクイズを止めると、
「仕事すれば? 俺にばっか頼ってないでさ。そうすれば、ミスに対しての問題意識も上がるし、専業主婦の楽さがわかるからさ・・・っ」
なにそれ?
まだ言うの?
それはお説教なの?
あなたには落ち度はないの?
もしかしたら、私の一番のミスはこの男性を―――
私は机の下で拳を固くして、奥歯を噛みしめた。
今の私ならたくやに言い返せる。でも、隣を見ると、天使が不安そうな顔をして私を見ていた。私はこの天使が怖いと思わせたくないと思った。
りく。
もしかしたら寂しい想いとかをさせてしまうかもしれない。
でも、それがあなたの自立や成長につながると信じて・・・いいかな?
「ええ、分かったわ。私、働く。だから、アナタも当然家事をしてよね」
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
10 sweet wedding
国樹田 樹
恋愛
『十年後もお互い独身だったら、結婚しよう』 そんな、どこかのドラマで見た様な約束をした私達。 けれど十年後の今日、私は彼の妻になった。 ……そんな二人の、式後のお話。
人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?
石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。
ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。
ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。
「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。
扉絵は汐の音さまに描いていただきました。
私の婚活事情〜副社長の策に嵌まるまで〜
みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
身長172センチ。
高身長であること以外はいたって平凡なアラサーOLの佐伯花音。
婚活アプリに登録し、積極的に動いているのに中々上手く行かない。
名前からしてもっと可愛らしい人かと…ってどういうこと? そんな人こっちから願い下げ。
−−−でもだからってこんなハイスペ男子も求めてないっ!!
イケメン副社長に振り回される毎日…気が付いたときには既に副社長の手の内にいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる