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11.必死な願い、望まぬ涙
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「歓迎会は・・・結構です」
ガラハラ王国の国民のことを考えたのもある。けれど、断る理由として、ミシェルにとって自分が主役になるようなことは恥ずかしすぎて嫌だというのがあった。
「なりません!!」
けれど、マハラジャはそれを拒んだ。少し大きな声を出したことでミシェルはびっくりしてしまい、マハラジャはとても申し訳なさそうな顔をし、拳を震わせながら、苦悶の顔をした。
「ミシェル様・・・大変ご無礼なことは重々承知で申し上げます。本来であれば、ゆっくりと貴女様をおもてなしさせていただき、その上でお願いすべきことですが・・・我々は貴女のお力がすぐにでも必要です。礼を欠いてお願いすべきことではありません。お食事が苦手であれば、我が国の名産の宝石なども望むだけお渡しします。ですから」
マハラジャは深々と頭を下げた。ミシェルには、マハラジャが国民を想う気持ち、そして、ミシェルを大事に扱おうとしてくれていることがひしひしと伝わって来た。
「いえ、あの・・・」
「そこをなんとか、なにとぞ・・・」
ミシェルはそんなことをしなくても協力しますというつもりだったけれど、普段からネガティブな彼女は否定語をよく使ってしまうくせがあり、それをマハラジャに勘違いされてしまった。
「失礼します。チャイをお持ち・・・」
侍女がチャイを持って来たのだけれど、その重い空気にしまった、という顔をする。なにせ、マハラジャ王が深々と頭を下げているのだから。ただ、そうなると、小心者のミシェルはもっと、パニックになる。
「じゃっ、じゃあっ、私の叩いてくださいっ!!」
「「えっ」」
「えっと、じゃあっ、私を罵ってくださいっ!!」
「ミシェル・・・様?」
「えっと、ですね、私、泣かないと雨を降らせられないです。雨乞いをうまく制御できなくてすいません。でも、泣けば必ず雨を降らすことができるんですっ!! だから、わたしをイジメて・・・」
ミシェルは急に身体尾を引っ張られて何が起きたか分からなかった。けれど、ミシェルは気が付くと、マハラジャに王に抱きしめられていて、自分ではなく、マハラジャと侍女が泣いていた。
「あの、私が泣かないとですね・・・」
そう言うと、マハラジャはもっとぎゅっとミシェルを抱きしめる。
「えっと、そうするなら、もっと苦しくなるくらいに・・・って、聞いてますかマハラジャ様」
「ああ・・・聞いています。聞いています・・・・・・痛いくらいに、こんなにも、痛いくらいに聞いています」
すすり泣くマハラジャと侍女を前にミシェルは困ってしまった。
ガラハラ王国の国民のことを考えたのもある。けれど、断る理由として、ミシェルにとって自分が主役になるようなことは恥ずかしすぎて嫌だというのがあった。
「なりません!!」
けれど、マハラジャはそれを拒んだ。少し大きな声を出したことでミシェルはびっくりしてしまい、マハラジャはとても申し訳なさそうな顔をし、拳を震わせながら、苦悶の顔をした。
「ミシェル様・・・大変ご無礼なことは重々承知で申し上げます。本来であれば、ゆっくりと貴女様をおもてなしさせていただき、その上でお願いすべきことですが・・・我々は貴女のお力がすぐにでも必要です。礼を欠いてお願いすべきことではありません。お食事が苦手であれば、我が国の名産の宝石なども望むだけお渡しします。ですから」
マハラジャは深々と頭を下げた。ミシェルには、マハラジャが国民を想う気持ち、そして、ミシェルを大事に扱おうとしてくれていることがひしひしと伝わって来た。
「いえ、あの・・・」
「そこをなんとか、なにとぞ・・・」
ミシェルはそんなことをしなくても協力しますというつもりだったけれど、普段からネガティブな彼女は否定語をよく使ってしまうくせがあり、それをマハラジャに勘違いされてしまった。
「失礼します。チャイをお持ち・・・」
侍女がチャイを持って来たのだけれど、その重い空気にしまった、という顔をする。なにせ、マハラジャ王が深々と頭を下げているのだから。ただ、そうなると、小心者のミシェルはもっと、パニックになる。
「じゃっ、じゃあっ、私の叩いてくださいっ!!」
「「えっ」」
「えっと、じゃあっ、私を罵ってくださいっ!!」
「ミシェル・・・様?」
「えっと、ですね、私、泣かないと雨を降らせられないです。雨乞いをうまく制御できなくてすいません。でも、泣けば必ず雨を降らすことができるんですっ!! だから、わたしをイジメて・・・」
ミシェルは急に身体尾を引っ張られて何が起きたか分からなかった。けれど、ミシェルは気が付くと、マハラジャに王に抱きしめられていて、自分ではなく、マハラジャと侍女が泣いていた。
「あの、私が泣かないとですね・・・」
そう言うと、マハラジャはもっとぎゅっとミシェルを抱きしめる。
「えっと、そうするなら、もっと苦しくなるくらいに・・・って、聞いてますかマハラジャ様」
「ああ・・・聞いています。聞いています・・・・・・痛いくらいに、こんなにも、痛いくらいに聞いています」
すすり泣くマハラジャと侍女を前にミシェルは困ってしまった。
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