11 / 27
10.王家の違い
しおりを挟む
ミシェルは温かさに身を預けていた。
「ん・・・っ」
けれど、あまり馴染みのない甘い香りに気づき目を覚ます。すると、シルクでできた高級な布団に寝ており、香りの元はベッドの横にある机の上の御香からだった。
「よく、眠れましたか?」
「あっ、えっと、あれ・・・」
部屋にはマハラジャと先ほどの侍女がいた。マハラジャの問いにミシェルはどうして今自分はここに寝ているのか頭を働かせる。すると、王であるマハラジャに失礼を働いてしまったことに気づき、青ざめていく。
「すっ、すいませんでしたっ」
「ミシェル様。どうか落ち着いてください」
何度も何度も頭を下げるミシェルはマハラジャの言葉で頭を下げるのを止めるが、とても申し訳なさそうな顔をしてマハラジャの顔を覗き込む。けれど、マハラジャは少しも怒る様な顔をせず少し困ったような顔で笑っていた。
「すまない、チャイを入れてくれないか?」
「かしこまりました」
マハラジャは侍女に飲み物を頼み、侍女がその部屋から退出する。ミシェルは男の人と二人だけになるのが初めてだったので、
「ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・」
とても緊張して過呼吸になってしまった。
「大丈夫かい?」
そう言って、ミシェルの背中をマハラジャは擦り、息をゆっくりするように言うと次第にミシェルが落ち着いていく。
「ほんとに・・・私ったら・・・」
「いいんです。いいんです。気を遣わせてしまってすいません。でも、僕はあなたらしく居て欲しいなって思います」
そう言って、ニコッとするマハラジャの笑顔を見ると、ミシェルは心が温かい気持ちになるのを感じた。
「でも、もう少し・・・リラックスしていただいたら僕も嬉しいですかね。あはははっ」
「はい・・・っ」
「!!」
マハラジャの誘い笑いでミシェルがはにかみながら笑うと、マハラジャが驚いた顔をした。
「あっ、いえ、その・・・すいません」
そういって、マハラジャは謝って少し照れ臭いのか、ミシェルから目線を逸らした。王家といえば、ジェイドというイメージがあったミシェルにとって、傲慢ではなく、そういった気さくなところがある王というのが新鮮でマハラジャはどんな王なのだろうと気になり、マハラジャの顔を見ていた。
「なぜ、ミシェル様はあの時―――、いいえ、なんでもありません。今日のところはお疲れでしょうから、おくつろぎください」
「はい」
マハラジャはなぜミシェルがずぶ濡れになって泣いていたのか聞きたかったけれど、ミシェルが悲しいことを思い出させるのは良くないと思って聞くのを止めた。
「あっ、そうだ。よろしければ、ミシェル様の歓迎会を行いたいのですがいかがでしょうか?」
「かっ、かんげいっ!?」
歓迎されるなんてことが無かったミシェルは戸惑って慌てる。
「歓迎会といっても、ここに来る途中をご覧になったかと思いますが、盛大な料理というわけにはいかないのをお許しください」
枯れそうな緑。
露店に並ぶのはエバーガーデニア王国であったら、廃棄するか家畜やペットの餌にしているだろう細かったり不格好な野菜。ミシェルには人々が明るく振る舞おうとしていたけれど、少しカラ元気のように感じた。まるで、「もう少し、もう少しの辛抱だ。王がきっとなんとかしてくれる」という想いにすがってなんとか耐えているように。
「ん・・・っ」
けれど、あまり馴染みのない甘い香りに気づき目を覚ます。すると、シルクでできた高級な布団に寝ており、香りの元はベッドの横にある机の上の御香からだった。
「よく、眠れましたか?」
「あっ、えっと、あれ・・・」
部屋にはマハラジャと先ほどの侍女がいた。マハラジャの問いにミシェルはどうして今自分はここに寝ているのか頭を働かせる。すると、王であるマハラジャに失礼を働いてしまったことに気づき、青ざめていく。
「すっ、すいませんでしたっ」
「ミシェル様。どうか落ち着いてください」
何度も何度も頭を下げるミシェルはマハラジャの言葉で頭を下げるのを止めるが、とても申し訳なさそうな顔をしてマハラジャの顔を覗き込む。けれど、マハラジャは少しも怒る様な顔をせず少し困ったような顔で笑っていた。
「すまない、チャイを入れてくれないか?」
「かしこまりました」
マハラジャは侍女に飲み物を頼み、侍女がその部屋から退出する。ミシェルは男の人と二人だけになるのが初めてだったので、
「ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・」
とても緊張して過呼吸になってしまった。
「大丈夫かい?」
そう言って、ミシェルの背中をマハラジャは擦り、息をゆっくりするように言うと次第にミシェルが落ち着いていく。
「ほんとに・・・私ったら・・・」
「いいんです。いいんです。気を遣わせてしまってすいません。でも、僕はあなたらしく居て欲しいなって思います」
そう言って、ニコッとするマハラジャの笑顔を見ると、ミシェルは心が温かい気持ちになるのを感じた。
「でも、もう少し・・・リラックスしていただいたら僕も嬉しいですかね。あはははっ」
「はい・・・っ」
「!!」
マハラジャの誘い笑いでミシェルがはにかみながら笑うと、マハラジャが驚いた顔をした。
「あっ、いえ、その・・・すいません」
そういって、マハラジャは謝って少し照れ臭いのか、ミシェルから目線を逸らした。王家といえば、ジェイドというイメージがあったミシェルにとって、傲慢ではなく、そういった気さくなところがある王というのが新鮮でマハラジャはどんな王なのだろうと気になり、マハラジャの顔を見ていた。
「なぜ、ミシェル様はあの時―――、いいえ、なんでもありません。今日のところはお疲れでしょうから、おくつろぎください」
「はい」
マハラジャはなぜミシェルがずぶ濡れになって泣いていたのか聞きたかったけれど、ミシェルが悲しいことを思い出させるのは良くないと思って聞くのを止めた。
「あっ、そうだ。よろしければ、ミシェル様の歓迎会を行いたいのですがいかがでしょうか?」
「かっ、かんげいっ!?」
歓迎されるなんてことが無かったミシェルは戸惑って慌てる。
「歓迎会といっても、ここに来る途中をご覧になったかと思いますが、盛大な料理というわけにはいかないのをお許しください」
枯れそうな緑。
露店に並ぶのはエバーガーデニア王国であったら、廃棄するか家畜やペットの餌にしているだろう細かったり不格好な野菜。ミシェルには人々が明るく振る舞おうとしていたけれど、少しカラ元気のように感じた。まるで、「もう少し、もう少しの辛抱だ。王がきっとなんとかしてくれる」という想いにすがってなんとか耐えているように。
16
お気に入りに追加
226
あなたにおすすめの小説
なんでもいいけど、実家の連中なんとかしてくれません?-虐げられたお姫様、宗主国の皇帝陛下に拾われたついでに復讐する-
下菊みこと
恋愛
このヒロイン、実は…かなり苦労した可愛い可哀想な幼子である。ざまぁもあるよ。
エルネスティーヌはお姫様。しかし恵まれない人生を送ってきた。そんなエルネスティーヌは宗主国の皇帝陛下に拾われた。エルネスティーヌの幸せな人生がここから始まる。復讐の味は、エルネスティーヌにとっては蜜のようであった。
小説家になろう様でも投稿しています。
転生令嬢だと打ち明けたら、婚約破棄されました。なので復讐しようと思います。
柚木ゆず
恋愛
前世の記憶と膨大な魔力を持つサーシャ・ミラノは、ある日婚約者である王太子ハルク・ニースに、全てを打ち明ける。
だが――。サーシャを待っていたのは、婚約破棄を始めとした手酷い裏切り。サーシャが持つ力を恐れたハルクは、サーシャから全てを奪って投獄してしまう。
信用していたのに……。
酷い……。
許せない……!。
サーシャの復讐が、今幕を開ける――。
【完結済み】「こんなことなら、婚約破棄させてもらう!」幼い頃からの婚約者に、浮気を疑われた私。しかし私の前に、事の真相を知る人物が現れて……
オコムラナオ
恋愛
(完結済みの作品を、複数話に分けて投稿します。最後まで書きあがっておりますので、安心してお読みください)
婚約者であるアルフレッド・アルバートン侯爵令息から、婚約破棄を言い渡されたローズ。
原因は、二人で一緒に行ったダンスパーティーで、ローズが他の男と踊っていたから。
アルフレッドはローズが以前から様子がおかしかったことを指摘し、自分以外の男に浮気心を持っているのだと責め立てる。
ローズが事情を説明しようとしても、彼は頑なに耳を貸さない。
「こんなことなら、婚約破棄させてもらう!」
彼がこう宣言したとき、意外なところからローズに救いの手が差し伸べられる。
明かされたのはローズの潔白だけではなく、思いもよらない事実だった……
婚約破棄を要求されましたが、俺に婚約者はいませんよ?
紅葉ももな(くれはももな)
恋愛
長い外国留学から帰ってきたラオウは、突然婚約破棄を要求されました。
はい?俺に婚約者はいませんけど?
そんな彼が幸せになるまでのお話。
妹に婚約者を寝取られた令嬢、猫カフェで癒しのもふもふを満喫中! ~猫カフェに王子と宮廷魔法使いがいて溺愛はじまりました!
朱音ゆうひ
恋愛
男爵令嬢シャルロットは、妹に婚約者を寝取られた。妹は「妊娠した」と主張しているが、シャルロットは魔眼持ちなので、妹のぽってりお腹が脂肪だと見抜いている。
別サイトにも投稿してます(https://ncode.syosetu.com/n0955ip/)
悪役令嬢のお姉様が、今日追放されます。ざまぁ――え? 追放されるのは、あたし?
柚木ゆず
恋愛
猫かぶり姉さんの悪事がバレて、ついに追放されることになりました。
これでやっと――え。レビン王太子が姉さんを気に入って、あたしに罪を擦り付けた!?
突然、追放される羽目になったあたし。だけどその時、仮面をつけた男の人が颯爽と助けてくれたの。
優しく助けてくれた、素敵な人。この方は、一体誰なんだろう――え。
仮面の人は……。恋をしちゃった相手は、あたしが苦手なユリオス先輩!?
※4月17日 本編完結いたしました。明日より、番外編を数話投稿いたします。
その公女、至極真面目につき〜デラム公女アリスタの婚約破棄ショー〜
ルーシャオ
恋愛
デラム公女アリスタは、婚約者であるクラルスク公爵家嫡男ヴュルストがいつも女性を取っ替え引っ替えして浮気していることにいい加減嫌気が差しました。
なので、真面目な公女としてできる手を打ち、やってやると決めたのです。
トレディエールの晩餐会で、婚約破棄ショーが幕を開けます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる