【完結】桜を折る馬鹿である貴方は一生馬鹿であるがいい。私と縁を切ったはずの貴方が幸せでいられるでしょうか。

西東友一

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10 桜折る馬鹿、柿折らぬ馬鹿

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「じゃあ、行きます」

 私と勇作は旅に出ることを決めた。
 お父様たちはそのまま自分たちの家で暮らせばいいと言ったけれど、私たちはそれを拒み、そして、私たちが勝手に駆け落ちしたことにしてほしいとお願いした。お父様たちはそれはできないと言ったけれど、ただでさえ、私たちのことで窮屈な思いをさせるのに、助力したなんて言ったら、周りから、特に見合い相手の家から相当な仕打ちがあるに違いない。私たちの意見とお父様たちの意見は平行線だったけれど、私が要求を飲んでくれなければ、二度と帰ってこないと言ったら、しぶしぶお父様たちは折れてくれた。

「あぁ。ただ、いつか孫の顔は見せてくれ」

 お父様がそう言ったので、私たちは照れながらも頷いた。
 私と優作は私のお父様とお母様に手を振って、勇作の養親の家へと向かった。勘当されるのは必然だとしても、礼は尽くしたいと言う勇作の意見に私は同意したのだ。



「そう言えば」

 道を歩いている途中で、ふとくだらないことを思い出した。

「なんじゃ?」

「桜切る馬鹿、梅切る馬鹿っていうけれど、私、桜折る馬鹿だと覚えていたのよね、なんでだろう」

「あぁ、それか」

 答えのない質問のつもりが、どうやら勇作はなにか回答がある様子だったので、私はびっくりしながら勇作を見ると、勇作は得意げに、

「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿が有名じゃが、桜折る馬鹿、柿折らぬ馬鹿という言葉もあるんじゃよ」

「へぇーーーっ」

 私が感心すると、勇作は嬉しそうに笑った。そして、そのまま私をじーっと見た。

「ん?」

「・・・・・・梅居らぬっていうのはありえんのう、ありえん」

 勇作が何かを呟いたけれど、私は良く聞こえなかった。

「なんてっ?」

「なんでもないっ」

 悪戯っぽく笑う勇作が先を走る、
 私はまた、馬鹿にされたと思って、頬を膨らませて、

「教えてよっ」

 と追いかけた。
 私たちの人生は追いかけたり、追い掛けられたり、喧嘩したり、仲直りしたり、色々あって、そして最後には散っていくのだろう。けれど、私たちはめいいっぱい人生を楽しんで綺麗な桜を咲かせるんだ。

~Fin
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