【完結】桜を折る馬鹿である貴方は一生馬鹿であるがいい。私と縁を切ったはずの貴方が幸せでいられるでしょうか。

西東友一

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1 お見合いにて誰を思ふ

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 色鮮やかな料理。
 にこやかな私の両親と、今日初めて出会った殿方とそのご両親。
 十九年生きてきた中で、今日の私の目に映る全てが一番幸せに満ち溢れているように感じた。

「西洋の料理も食べてみとーございますが、やはり開国しても、めでとう日は日本料理とこれが一番ですなぁ」

 普段お酒を飲まないお父様は今日はとても上機嫌なご様子で頬を赤くして、御猪口に入ったお酒をくいっと口に流し込む。母も母で、おしとやかに笑いながら空いた父の御猪口にお酒を注ぐ。

「お嬢さんの今日のお姿見たら、たいそう白無垢も似合うでっしゃろうね」

 相手の殿方のお母様が口を抑えながら上品に笑う。
 そう、今日はお見合い。
 白無垢のように全身白一色ではない。けれど、私は「梅子」の名前にちなんだ紅梅色を半襟などに添えて白を基調とした桜をモチーフにした着物を着ていた。

 私の見える全てが・・・・・・幸せ。

 けれど、なぜだろう。この幸せで満ち溢れた世界を見ているはずの私自身の気持ちは乗らず、置いてけぼりになっていた。私は開かれた障子の向こうに見える料亭の景色を見る。相手の御家が立派と言うこともあり、料理もそうだけれど、庭園も整った植木や芝がとても美しかった。

 散っていく・・・

 けれど、私の目を奪ったのは、遠くの方に見える丘の上に立っている桜の木だった。
 思い出の桜が散っていく。

(貴方は元気に暮らしているでしょうか・・・)

 私は彼の名前が思わず口に出てしまいそうになるのを抑えて、心の中であの人の名前を呼んだ。
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