【４話完結】好きなだけ愛しているとは言わないで

ラスト

　それから、俺は桜井に話しかけた。
　別に俺が悪いわけじゃない･･････なんて言うと、男らしくないと言われるのか分からないけれど、まぁ、普通に話しをしたら、あいつも最初は少しツンとしていたけれど、次第に心を開くようになった。

　それが、なんだか可愛らしく感じてしまって･･････

「好きだ、付き合おう」

「うん」

　半年ぐらいして俺と桜井は付き合った。
　それから、桜井と竜崎さんも俺経由で仲直りした。

『私がちゃんとタツヤが好きだって竜崎に言えば良かったのと、あの時は本当に内容が分からなくて、本当にごめんね』

『私も桜井さんがタツヤを好きだって知っていたのにお願いしてごめんなさい』

　桜井がちゃんと伝えていれば、どうなったのだろうか。
　俺は竜崎さんのことを気になっていただけで、付き合うことも無かったのだろうか。そして、桜井と付き合っていたかもしれないし、竜崎が気になっていたから、桜井とこうして付き合っていなかったかもしれない。

　たらればのことは分からない。
　でも、確かなことは、好きなだけじゃ、相手に伝わらず愛は実らない。
　好きな人のために努力したり、好きってちゃんと言葉で伝えるから愛が生まれるなんだと俺は思った。


　ＦＩＮ