上 下
4 / 20

3

しおりを挟む
「これより、魔女っ、ミーシャの裁判を行うっ!!!」

(裁判って・・・)

 私は周りを目の前の炎を見ます。
 キャンプファイヤーもびっくりな大きな炎。
 この炎の使い道はただ一つ・・・

「有罪」

「有罪」

「有罪っ!!」

 アレクの親しい裁判官たちは声高らかに私に罪があると宣言します。

 カンカンッ

「全会一致で、ミーシャは有罪。よって、火あぶりの刑に処すっ!!」

(こんな簡易的な裁判なのに、ガベルは用意されるのですね・・・)

 一番偉い裁判官が、ガベルと呼ばれる木槌を叩いて宣言をする。
 外で行われた青空裁判。

「そんな・・・っ」

 無罪、もしくは減刑を信じてくれていたお母様が泣き崩れる。
 お母様はかなりやつれていたけれど、それを慰めるお父様もかなりやつれていた。

(ごめんなさい・・・お父様・・・お母様)

 私は目を閉じて、心の中で二人に謝罪する。

「ううううっ」

「よしよし、かわいいリリス・・・っ」

 アレクの胸で泣くリリス。それを慰めるアレク。
 
 ニヤッ

「はっ」

 私は見てしまった。
 リリスが私と目が合うと、勝ち誇ったように笑ったのを。
 
 これが妹のリリスが仕組んだことはわかっていたけれど、それは私の妹へ妬みで、私の被害妄想、悪いのは私だと信じたかった。
 でも、やっぱり私の予想は残念ながら当たってしまったようだ。

 これはリリスの仕組んだ悪意だ。

 カンカンッ

「今より、世の秩序を乱す魔女に制裁を科す」

「待ってください」

 お母様とお父様以外の全ての人が私を睨む。

「発言をお許しくださいませ。私がいつ、世の秩序を乱したのですか?」

 私は魔法が使える。
 久しぶりで加減がわからないけれど、この手枷と足枷を壊して、逃げることは容易だと思う。なんなら、みんなを眠らせてもいいし、記憶を改ざんしてもいい。でも、私は元魔法少女であり、人間だ。
 だから人の法律に従いたい。

「お姉様、見苦しいから止めて・・・。私は知っているのよ、お姉様が色々混ぜた怪しげなものを畑にまくと、他の作物よりも成長が速くて美味しいお野菜ができるのも、そのお野菜は虫が近づかないことをっ!!」

(うーん。どこから突っ込もうかしら?)

「それは、肥料です。火山灰を使うと野菜がよく育つのを発見したので使ってみたんです。虫が寄ってこないのは、虫が嫌いなハーブを液体状にしたからです」

 私はお化けが嫌いだ。
 なぜ、ってよくわからないからだ。
 だから、リリスの言葉を聞いて、よくわからないから、私や私の行動を恐れる人の気持ちもわかる。

(ちゃんと説明すれば・・・)

「私は、食べ物に魔法を使っていません」

 私はしっかりと裁判官やみんなの目を見て、説明した。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした

ましゅぺちーの
恋愛
王国の名門公爵家の出身であるエレンは幼い頃から婚約者候補である第一王子殿下に全てを捧げて生きてきた。 彼を数々の悪意から守り、彼の敵を排除した。それも全ては愛する彼のため。 しかし、王太子となった彼が最終的には選んだのはエレンではない平民の女だった。 悲しみに暮れたエレンだったが、家族や幼馴染の公爵令息に支えられて元気を取り戻していく。 その一方エレンを捨てた王太子は着々と破滅への道を進んでいた・・・

入り婿予定の婚約者はハーレムを作りたいらしい

音爽(ネソウ)
恋愛
「お前の家は公爵だ、金なんて腐るほどあるだろ使ってやるよ。将来は家を継いでやるんだ文句は言わせない!」 「何を言ってるの……呆れたわ」 夢を見るのは勝手だがそんなこと許されるわけがないと席をたった。 背を向けて去る私に向かって「絶対叶えてやる!愛人100人作ってやるからな!」そう宣った。 愚かなルーファの行為はエスカレートしていき、ある事件を起こす。

その公女、至極真面目につき〜デラム公女アリスタの婚約破棄ショー〜

ルーシャオ
恋愛
デラム公女アリスタは、婚約者であるクラルスク公爵家嫡男ヴュルストがいつも女性を取っ替え引っ替えして浮気していることにいい加減嫌気が差しました。 なので、真面目な公女としてできる手を打ち、やってやると決めたのです。 トレディエールの晩餐会で、婚約破棄ショーが幕を開けます。

心読みの魔女と異星【ほし】の王子様

凛江
恋愛
キセノン王国の子爵令嬢ディアナは、ある日突然、触れると人の心が読めてしまうという異能を発症した。そしてその異能のせいで家族から疎まれ、婚約も解消される。この国では魔女狩りが横行し、異能のある者は魔女として裁かれるからだ。 やがて家を追い出され殺されかけたディアナを救ってくれたのは、なんと自称【違う星から来た】青年だった。

【完結】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか?

曽根原ツタ
恋愛
「クラウス様、あなたのことがお嫌いなんですって」 エルヴィアナと婚約者クラウスの仲はうまくいっていない。 最近、王女が一緒にいるのをよく見かけるようになったと思えば、とあるパーティーで王女から婚約者の本音を告げ口され、別れを決意する。更に、彼女とクラウスは想い合っているとか。 (王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは身を引くとしましょう。クラウス様) しかし。破局寸前で想定外の事件が起き、エルヴィアナのことが嫌いなはずの彼の態度が豹変して……? 小説家になろう様でも更新中

私がいなくなっても、あなたは探しにも来ないのでしょうね

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族家の生まれではありながらも、父の素行の悪さによって貧しい立場にあったエリス。そんな彼女は気づいた時、周囲から強引に決められる形で婚約をすることとなった。その相手は大金持ちの御曹司、リーウェル。エリスの母は貧しい暮らしと別れを告げられることに喜び、エリスが内心では快く思っていない婚約を受け入れるよう、大いに圧力をかける。さらには相手からの圧力もあり、断ることなどできなくなったエリスは嫌々リーウェルとの婚約を受け入れることとしたが、リーウェルは非常にプライドが高く自分勝手な性格で、エリスは婚約を結んでしまったことを心から後悔する…。何一つ輝きのない婚約生活を送る中、次第に鬱の海に沈んでいくエリスは、ある日その身を屋敷の最上階から投げてしまうのだった…。

【完結】捨てられ正妃は思い出す。

なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」    そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。  人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。  正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。  人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。  再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。  デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。  確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。 ––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––  他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。  前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。  彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。  

悪女と呼ばれた死に戻り令嬢、二度目の人生は婚約破棄から始まる

冬野月子
恋愛
「私は確かに19歳で死んだの」 謎の声に導かれ馬車の事故から兄弟を守った10歳のヴェロニカは、その時に負った傷痕を理由に王太子から婚約破棄される。 けれど彼女には嫉妬から破滅し短い生涯を終えた前世の記憶があった。 なぜか死に戻ったヴェロニカは前世での過ちを繰り返さないことを望むが、婚約破棄したはずの王太子が積極的に親しくなろうとしてくる。 そして学校で再会した、馬車の事故で助けた少年は、前世で不幸な死に方をした青年だった。 恋や友情すら知らなかったヴェロニカが、前世では関わることのなかった人々との出会いや関わりの中で新たな道を進んでいく中、前世に嫉妬で殺そうとまでしたアリサが入学してきた。

処理中です...