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最終話
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もちろん、自分も幸せになれると思いました。
でも、私は皆の幸せでもあると考えて王子と婚約したのに。
それなのに・・・・・・
王子は自身の肉欲のために妹を抱き、妹もお父様もお母様も自分たちが私腹を肥やすために私の想いを踏みにじり、妹を王子に抱かせた。そう考えたら、周りの人が喜んだのも、仲がいい私が王女になれば、自分たちもおこぼれをもらえると思って喜んでいたように感じてしまい、そんなことあるはずない、とその考えを打ち消そうとしてもまったく消えませんでした。
誰も信用できない・・・人間は。
「おい、大丈夫か」
私を追いかけてきたのは、太陽神でした。
「太陽神様・・・・・・どうか、どこか遠くへ私を連れて行ってください」
私は太陽神の胸に飛び込んで、やるせない気持ちをぶつけてしまいました。けれど、太陽神はそんなとげとげした私を優しく抱きしめて、背中を擦ってくれました。
「一時の感情に流されるでない」
「いいえ、私が馬鹿でしたっ!! 人の意見に流されて、皆が幸せになればと太陽神様を諦めたのに、こんな・・・こんな・・・」
「よい、もうよい・・・今は考えるな」
そう言って太陽神は私の頭を撫でてくださった。
「人、ひとりで抱えるものでない。皆の幸せという物は・・・」
太陽神が神であるがゆえのお言葉。でも、その言葉は人である私と神である太陽神に隔たりを作る言葉だと思って私は悲しくなった。
「自分勝手な言葉だとは存じております。けれど、人、ひとりの願い・・・もう遅いかもしれませんが叶えてくれませんか?」
「そんなことはない・・・どれほどそなたを想い、恋し焦がれたか・・・素直になってくれて俺も嬉しい」
「太陽神様・・・」
「俺に付いてくると言うことは、過酷な道かもしれぬぞ? 俺といれば夜はない。それに今まで我慢していた分、俺の愛の炎は弱まることを知らぬぞ」
「どんな道でもお供致しますわ。だって、永遠に白夜の日ですから」
「ふっ、では約束の印を貰おうではないか」
そう言って私のあごに手を添え、太陽神が顔を近づけてくる。
「今度の約束は無しにはできませんよ? ・・・・・・永久の愛を御誓いくださいませ」
「あぁ、永久の愛を誓う」
私ももう大人。
人に流されて決めたがゆえの揺らぐような中途半端な決断は止め、幼き頃から抑えてきた揺らぐことのない心に素直になり、太陽神と誓いのキスを交わし、太陽神の横を歩く人生を決めました。
FIN
・・・蛇足ではありますが、私が出ていった国の話は次の機会に。
でも、私は皆の幸せでもあると考えて王子と婚約したのに。
それなのに・・・・・・
王子は自身の肉欲のために妹を抱き、妹もお父様もお母様も自分たちが私腹を肥やすために私の想いを踏みにじり、妹を王子に抱かせた。そう考えたら、周りの人が喜んだのも、仲がいい私が王女になれば、自分たちもおこぼれをもらえると思って喜んでいたように感じてしまい、そんなことあるはずない、とその考えを打ち消そうとしてもまったく消えませんでした。
誰も信用できない・・・人間は。
「おい、大丈夫か」
私を追いかけてきたのは、太陽神でした。
「太陽神様・・・・・・どうか、どこか遠くへ私を連れて行ってください」
私は太陽神の胸に飛び込んで、やるせない気持ちをぶつけてしまいました。けれど、太陽神はそんなとげとげした私を優しく抱きしめて、背中を擦ってくれました。
「一時の感情に流されるでない」
「いいえ、私が馬鹿でしたっ!! 人の意見に流されて、皆が幸せになればと太陽神様を諦めたのに、こんな・・・こんな・・・」
「よい、もうよい・・・今は考えるな」
そう言って太陽神は私の頭を撫でてくださった。
「人、ひとりで抱えるものでない。皆の幸せという物は・・・」
太陽神が神であるがゆえのお言葉。でも、その言葉は人である私と神である太陽神に隔たりを作る言葉だと思って私は悲しくなった。
「自分勝手な言葉だとは存じております。けれど、人、ひとりの願い・・・もう遅いかもしれませんが叶えてくれませんか?」
「そんなことはない・・・どれほどそなたを想い、恋し焦がれたか・・・素直になってくれて俺も嬉しい」
「太陽神様・・・」
「俺に付いてくると言うことは、過酷な道かもしれぬぞ? 俺といれば夜はない。それに今まで我慢していた分、俺の愛の炎は弱まることを知らぬぞ」
「どんな道でもお供致しますわ。だって、永遠に白夜の日ですから」
「ふっ、では約束の印を貰おうではないか」
そう言って私のあごに手を添え、太陽神が顔を近づけてくる。
「今度の約束は無しにはできませんよ? ・・・・・・永久の愛を御誓いくださいませ」
「あぁ、永久の愛を誓う」
私ももう大人。
人に流されて決めたがゆえの揺らぐような中途半端な決断は止め、幼き頃から抑えてきた揺らぐことのない心に素直になり、太陽神と誓いのキスを交わし、太陽神の横を歩く人生を決めました。
FIN
・・・蛇足ではありますが、私が出ていった国の話は次の機会に。
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