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「なっ、あなた様はっ」
「どけっ」
王子のいらっしゃる扉の前にいた兵士を軽々と避けて、勢いよく扉を開ける太陽神。この国の国民がそんなことでもしようものなら、処刑は免れないだろう。
「う・・・・・・嘘でしょ」
王子がいた。
それは当然だ。
だが、妹もいた。
それも、私が婚約者であり、今後親族になるのだから、王子と妹が二人きりになることも何度かあった。それも不思議ではない。
でも・・・・・・二人は真昼間から風呂ではないその寝室で、裸でベッドで肌を重ねていました。
「見るな、汚れるぞ」
眩しい外の光に目が慣れていたので、中の薄暗い様子はよく見えませんでした。けれど、嗚咽しそうになりながらも、目を背けることができなかった私に、太陽神は自分のマントで二人を隠した。
「なっ、なぜ、貴様がここにっ!!」
「お前のそこは紐で縛っておく必要があるかもな、王子よ」
太陽神がそう言うと、王子は慌てて股間を抑えた。
「彼女というものがありながら、なんだこれは。答えろ、王子」
「・・・モテる人間ということだ。太陽神」
悪びれもない王子の言葉。
「調子に乗るな人間」
「ふんっ。今回は言わせてもらう。太陽神。貴様は確かに皆から愛されているかもしれない。だがな、しょせんお前を一番に想うものなど誰もおらん。何せ、貴様の愛は暑苦しくて1年に一度でお腹がいっぱいだからなっ。ハッハッハッ」
「なっ、なんで妹がそこにいるのよっ」
私は悲しくて叫ぶ。
「ふっ。お姉ちゃんくらいよ。そんなにピュアなのは」
そう言って、自分の身体に自信がある妹は服を羽織りもせずにこちらにやってきて、太陽神にも媚びるような目を向けた。けれど、太陽神が全く反応しないことに少しムッとしながら、その怒りを私にぶつける。
「私たちの家から王子の子が生まれれば裕福になれるのよ。だから、おぼこいお姉ちゃんだけだと心配だからって、お父様とお母様からお願いされたの。私も王子って素敵な男性って想ったから、アプローチしたら両親公認ならいいって言ってくださったの。あぁ、姉妹で所望されているから、今度一緒に―――」
王子に媚びる視線を送りながら、私を煽る妹。
私には我慢ができなかった。
一度も暴言すらぶつけたことのない妹に私はビンタという暴力を振るってしまった。
「いったぁっ!!! 何すんのよ、ブスっ!!」
「ふんっ、こいつの可愛さがわからんのか。馬鹿め。自分こそ鏡で見てこい」
妹がやり返そうとするのを太陽神が止める。
さすがの妹も王子のようなたるんだ身体ではなく、兵士顔負けの身体でしかも神である太陽神に逆らうことはしなかった。
悔しがる妹は王子の元へ駆け寄り、
「ねぇ、王子。あんな女やめた方がいいわよっ」
と王子の胸のあたりを人差し指でなぞりながら、媚びる。
「あっ、ああ・・・」
けれど、王子は私のことが名残惜しいように私を見ていた。王子といっても、鍛えていなければ、みすぼらしい裸の王子は見るに堪えなくて、私は目を逸らして、太陽神の後ろに隠れる。
「あっあんっ」
王子の変な声を聞いて、ちらっと覗いてみると、妹が王子の乳首をつねって、睨んでいた。
「わっ、わかった。おい、お前とは婚約破棄するっ。あっ、両方は・・・あっふん」
気持ち悪い声を再び出す王子。妹は婚約破棄だけでは済まないらしい。
「そ、それと国外追放も・・・だっ!! ただちに退去せよおおおんっ」
婚約者のみすぼらしく卑しい姿、そして、浮気と暴言。
不快な気持ちでいっぱいで、私はそんな陰湿なところから逃げて、明るい外へ逃げました。
「どけっ」
王子のいらっしゃる扉の前にいた兵士を軽々と避けて、勢いよく扉を開ける太陽神。この国の国民がそんなことでもしようものなら、処刑は免れないだろう。
「う・・・・・・嘘でしょ」
王子がいた。
それは当然だ。
だが、妹もいた。
それも、私が婚約者であり、今後親族になるのだから、王子と妹が二人きりになることも何度かあった。それも不思議ではない。
でも・・・・・・二人は真昼間から風呂ではないその寝室で、裸でベッドで肌を重ねていました。
「見るな、汚れるぞ」
眩しい外の光に目が慣れていたので、中の薄暗い様子はよく見えませんでした。けれど、嗚咽しそうになりながらも、目を背けることができなかった私に、太陽神は自分のマントで二人を隠した。
「なっ、なぜ、貴様がここにっ!!」
「お前のそこは紐で縛っておく必要があるかもな、王子よ」
太陽神がそう言うと、王子は慌てて股間を抑えた。
「彼女というものがありながら、なんだこれは。答えろ、王子」
「・・・モテる人間ということだ。太陽神」
悪びれもない王子の言葉。
「調子に乗るな人間」
「ふんっ。今回は言わせてもらう。太陽神。貴様は確かに皆から愛されているかもしれない。だがな、しょせんお前を一番に想うものなど誰もおらん。何せ、貴様の愛は暑苦しくて1年に一度でお腹がいっぱいだからなっ。ハッハッハッ」
「なっ、なんで妹がそこにいるのよっ」
私は悲しくて叫ぶ。
「ふっ。お姉ちゃんくらいよ。そんなにピュアなのは」
そう言って、自分の身体に自信がある妹は服を羽織りもせずにこちらにやってきて、太陽神にも媚びるような目を向けた。けれど、太陽神が全く反応しないことに少しムッとしながら、その怒りを私にぶつける。
「私たちの家から王子の子が生まれれば裕福になれるのよ。だから、おぼこいお姉ちゃんだけだと心配だからって、お父様とお母様からお願いされたの。私も王子って素敵な男性って想ったから、アプローチしたら両親公認ならいいって言ってくださったの。あぁ、姉妹で所望されているから、今度一緒に―――」
王子に媚びる視線を送りながら、私を煽る妹。
私には我慢ができなかった。
一度も暴言すらぶつけたことのない妹に私はビンタという暴力を振るってしまった。
「いったぁっ!!! 何すんのよ、ブスっ!!」
「ふんっ、こいつの可愛さがわからんのか。馬鹿め。自分こそ鏡で見てこい」
妹がやり返そうとするのを太陽神が止める。
さすがの妹も王子のようなたるんだ身体ではなく、兵士顔負けの身体でしかも神である太陽神に逆らうことはしなかった。
悔しがる妹は王子の元へ駆け寄り、
「ねぇ、王子。あんな女やめた方がいいわよっ」
と王子の胸のあたりを人差し指でなぞりながら、媚びる。
「あっ、ああ・・・」
けれど、王子は私のことが名残惜しいように私を見ていた。王子といっても、鍛えていなければ、みすぼらしい裸の王子は見るに堪えなくて、私は目を逸らして、太陽神の後ろに隠れる。
「あっあんっ」
王子の変な声を聞いて、ちらっと覗いてみると、妹が王子の乳首をつねって、睨んでいた。
「わっ、わかった。おい、お前とは婚約破棄するっ。あっ、両方は・・・あっふん」
気持ち悪い声を再び出す王子。妹は婚約破棄だけでは済まないらしい。
「そ、それと国外追放も・・・だっ!! ただちに退去せよおおおんっ」
婚約者のみすぼらしく卑しい姿、そして、浮気と暴言。
不快な気持ちでいっぱいで、私はそんな陰湿なところから逃げて、明るい外へ逃げました。
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