ヴァンパイアな私の眷属になりたいだなんて言わないで。(全5話完結)

西東友一

文字の大きさ
上 下
2 / 5

しおりを挟む
 嬉しそうに目をキラキラさせるオリバー。

「ではっ!」

「ハプニングは面白いですね・・・・・・」

「はい・・・?」

「今回は、前回人間が訪れてから、大分期間が空きましたからね。とても楽しかったです」

「それは・・・・・・」

 悔しそうなオリバー。その悔しそうな顔もとっても可愛らしい。

「私はオリバーのことを・・・・・・」

 ちらっとオリバーを見ると、今度は物欲しそうな子どもの顔をしている。あぁ、オリバーはいちいち可愛らしい。

「からかいがいがあって好きよ」

 どう受け取っていいのか分からない顔をするオリバー。

「・・・・・・なら」

「眷属に? ダメよ。私はアナタをからかいたいのだから」

 私はオリバーに近づき、にっこりと笑う。
 私から何かを話してもいいのだけれど、それじゃあ・・・・・・一方通行だ。私が求めるのは、彼からの行動。それは出会ってから今までずーっと変わらない。

「ボクは眷属になっても・・・・・・」

「ふふふっ。ダメなのよ。アナタは私の言いなり。アナタの心なんて無くなる。そんな人形をからかっても私はちーっとも楽しくないわ」

「いいや、スカーレット様が望むなら、ボクの心は」

「ヴァンパイアを舐めないで。無駄よ」

 私たちはそういう生物なのだ。
 人間の皮を被っているように見えても、私は人間じゃない。
 違う生物。
 
「ふっ・・・・・・あぁ、ごめんなさい」

 人間が猿に恋するようなモノなんて言おうとしたけれど、想像したら笑えてしまった。

「でも・・・・・・ボクはもっとスカーレット様と居たいんだ」

(本当に・・・・・・)

「ねぇ、オリバー?」

「・・・はい」

「ネクタイを取って、第一ボタン・・・・・・第三ボタンまで開けて、右側の首を差し出して」

「はいっ!」

 私が告げると、オリバーは嬉しそうにネクタイを解き、ボタンがはじけ飛んでしまうんじゃないかというくらい激しくボタンを外し、右側の首を差し出す。

「目を閉じて」

 色っぽい鎖骨に男性らしい首筋がそそって、よだれが出るのが分かる。
 私はゆっくりとオリバーの首に顔を近づけていくと、彼の美味しそうな香りが私の鼻腔を刺激し、私の八重歯が尖っていく。

「・・・・・・んっ」

 私がオリバーの首に唇が触れると、オリバーが色っぽい声を出し、私は彼の首を吸っていく。オリバーは惚けた顔をしながら異変に気付き、青い瞳を開けた。

(私の赤い瞳とは真逆の瞳・・・・・・)

「んぐっ」

 私は今度は彼の唇を奪った。
 そして、私は彼から体液を奪うのではなく、舌を絡め、彼と唾液という体液を交換していく。
 十分に堪能したと思って、唇を離そうとすると、

「きゃんぐっ」

 生意気にもオリバーが私の唇を襲ってきて、激しく抱きしめられた。

(ちょっと・・・・・・眷属とは言え、周りに人が・・・・・・)

 やっぱり、オリバーは猿なのかもしれない。
 そう思うくらい、オリバーは私を激しく求めた。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

【コミカライズ】今夜中に婚約破棄してもらわナイト

待鳥園子
恋愛
気がつけば私、悪役令嬢に転生してしまったらしい。 不幸なことに記憶を取り戻したのが、なんと断罪不可避の婚約破棄される予定の、その日の朝だった! けど、後日談に書かれていた悪役令嬢の末路は珍しくぬるい。都会好きで派手好きな彼女はヒロインをいじめた罰として、都会を離れて静かな田舎で暮らすことになるだけ。 前世から筋金入りの陰キャな私は、華やかな社交界なんか興味ないし、のんびり田舎暮らしも悪くない。罰でもなく、単なるご褒美。文句など一言も言わずに、潔く婚約破棄されましょう。 ……えっ! ヒロインも探しているし、私の婚約者会場に不在なんだけど……私と婚約破棄する予定の王子様、どこに行ったのか、誰か知りませんか?! ♡コミカライズされることになりました。詳細は追って発表いたします。

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

顔も知らない旦那さま

ゆうゆう
恋愛
領地で大災害が起きて没落寸前まで追い込まれた伯爵家は一人娘の私を大金持ちの商人に嫁がせる事で存続をはかった。 しかし、嫁いで2年旦那の顔さえ見たことがない 私の結婚相手は一体どんな人?

側近女性は迷わない

中田カナ
恋愛
第二王子殿下の側近の中でただ1人の女性である私は、思いがけず自分の陰口を耳にしてしまった。 ※ 小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

悪夢がやっと覚めた

下菊みこと
恋愛
毎晩見る悪夢に、精神を本気で病んでしまって逃げることを選んだお嬢様のお話。 最後はハッピーエンド、ご都合主義のSS。 主人公がいわゆるドアマット系ヒロイン。とても可哀想。 主人公の周りは婚約者以外総じてゴミクズ。 小説家になろう様でも投稿しています。

好きな人がいるならちゃんと言ってよ

しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

処理中です...