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私は前世の記憶を思い出し、センチメンタルになりながら歩いていたら、キリエに教えてもらった魔法使いの家にたどり着いた。
「ここが、魔法使いの・・・・・・家?」
ボロかった。表札なんて傾いていた。
(というか、なんでこんな僻地にいるのかしら?)
歩いてみると大分遠かった。魔法が使えれば、裕福な生活が約束されていそうなものだけれど、僻地のボロ屋に住んでいるのだろうと不思議に思った。
「まさか、ヤブ魔法じゃないでしょうね?」
ヤブ医者っぽく言ってみた。どんなに名医であっても、医師免許がないまま医療行為、特にメスを人の身体に入れるような行為や、それでお金を取るのは犯罪行為だ。
「不正ルートの場所で教わるのも違法なんじゃないの?」
あぁ、キリエを問いただしたい。でも、今はキリエはここにいない。ラインハルトに裏切られたばかりだし、キリエだってあんな感じだけれど、もしかしたらスパイとか裏切者で、私を嵌めようとしているかも・・・・・・
「いいえ、どんなことがあっても、キリエだけは信じましょ」
キリエを疑おうとも考えたけれど、はっきり言って、今、キリエが敵だったらこの人生は無理ゲーだ。というか、キリエを信じられなければ、誰も信じられなくなる。
「よしっ…」
私は階段を登って、魔法使いの家のドアの前に立つ。
ドアだけは仰々しいくらい豪華な黒い金属の扉で、ドアノッカーの黒ジャガーはとても怖い。
「よしっ・・・・・・帰ろう」
「なにが、よしっ、だ」
どこかで聞いたことのある男の子の声が聞こえた。私は左右を見るけれど、誰もいない。
「後ろだ、馬鹿者」
私が振り返ると、男性がいた。
「きゃっ」
階段があったけれど、私の身長が低いせいもあって、同じ高さに顔があってドキッとしてしまい、思わず、目を逸らした。
「失礼な、女だ。人の家の前で叫ぶなんて」
その男性はメガネを拭く。どうやら、驚いた時に私の唾が飛沫してしまったらしい。
「あっ・・・」
その男性の顔はどこか彼の面影があった。
「都築くん?」
私はよく数学を教えてくれた都築くんの名前を口走っていた。
「ん?」
私がそう尋ねると、視力が悪いせいか睨むようにその男性は私を見てきた。
「あっ・・・すいません」
声や雰囲気が似ていたけれど、よくよく見れば、その男性は都築くんではなかった。
(そうよね、都築くんは日本人で、この人は・・・・・・異世界人だもんね)
私はがっかりしていると、メガネを拭き終わったその男性はメガネをかけて私を見る。
「お前は誰だ?」
声は似ているのだけれど、その男性の口調はとてもきつかった。
「ここが、魔法使いの・・・・・・家?」
ボロかった。表札なんて傾いていた。
(というか、なんでこんな僻地にいるのかしら?)
歩いてみると大分遠かった。魔法が使えれば、裕福な生活が約束されていそうなものだけれど、僻地のボロ屋に住んでいるのだろうと不思議に思った。
「まさか、ヤブ魔法じゃないでしょうね?」
ヤブ医者っぽく言ってみた。どんなに名医であっても、医師免許がないまま医療行為、特にメスを人の身体に入れるような行為や、それでお金を取るのは犯罪行為だ。
「不正ルートの場所で教わるのも違法なんじゃないの?」
あぁ、キリエを問いただしたい。でも、今はキリエはここにいない。ラインハルトに裏切られたばかりだし、キリエだってあんな感じだけれど、もしかしたらスパイとか裏切者で、私を嵌めようとしているかも・・・・・・
「いいえ、どんなことがあっても、キリエだけは信じましょ」
キリエを疑おうとも考えたけれど、はっきり言って、今、キリエが敵だったらこの人生は無理ゲーだ。というか、キリエを信じられなければ、誰も信じられなくなる。
「よしっ…」
私は階段を登って、魔法使いの家のドアの前に立つ。
ドアだけは仰々しいくらい豪華な黒い金属の扉で、ドアノッカーの黒ジャガーはとても怖い。
「よしっ・・・・・・帰ろう」
「なにが、よしっ、だ」
どこかで聞いたことのある男の子の声が聞こえた。私は左右を見るけれど、誰もいない。
「後ろだ、馬鹿者」
私が振り返ると、男性がいた。
「きゃっ」
階段があったけれど、私の身長が低いせいもあって、同じ高さに顔があってドキッとしてしまい、思わず、目を逸らした。
「失礼な、女だ。人の家の前で叫ぶなんて」
その男性はメガネを拭く。どうやら、驚いた時に私の唾が飛沫してしまったらしい。
「あっ・・・」
その男性の顔はどこか彼の面影があった。
「都築くん?」
私はよく数学を教えてくれた都築くんの名前を口走っていた。
「ん?」
私がそう尋ねると、視力が悪いせいか睨むようにその男性は私を見てきた。
「あっ・・・すいません」
声や雰囲気が似ていたけれど、よくよく見れば、その男性は都築くんではなかった。
(そうよね、都築くんは日本人で、この人は・・・・・・異世界人だもんね)
私はがっかりしていると、メガネを拭き終わったその男性はメガネをかけて私を見る。
「お前は誰だ?」
声は似ているのだけれど、その男性の口調はとてもきつかった。
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