上 下
11 / 17

11

しおりを挟む
「魔法・・・・・・魔法よ」

 どうやら、少しだけ魔法について思い出してきた。

「でも、そもそも私なんて平民なんか魔法についてあることしか知らないですよ」

「そうよね、うん。私、魔法を学ぶわ」

 なるほど、こういうことですね、神様。
 天啓を得ました。魔法を覚えるのは大変だと思いますけれど、お風呂のためなら私、頑張れそうです。

「よし、さっそく魔法の勉強よ。運転手、速度を上げなさいっ!!」

 私が急に顔を出して叫ぶと、運転手がびくっとして、馬にムチを入れる。すると、馬車は少しだけスピードが上がった。




「じゃあ、さっそく勉強を始めましょう」

 ご都合主義なのか、神様の思し召しなのか、家には魔法をマスターするための分厚い本がホコリを被って置いてあった。私は本を見る・・・・・・・・・

「って、なんで、読めないのよっ!!?」

 私は天井を見ながらツッコミを入れる。

「いや、絶対、読める流れだったよね。そろそろイージーゲームなところみせてくれないと、ただのニートになりますよ? いいんですか? ねぇっ?」

 私が尋ねても、当然のように返事はない。さすがに、貴族なのに字が読めないとなれば、魔女狩りみたいなのにあうでしょ普通。この世界、ベーリーハードモードだとしたら、私には無理。攻略サイト見ないで、攻略とかできないもん。

「何をしたらクリアなのかまず教えて欲しいし・・・。私は指示してくれないと何もできない女の子ですよーー」

 咲菜の時は、バドミントン部に入ったけれど、それだって友達に言われたから入ったし、どうしてもバドミントンじゃなきゃいけない理由は無かった。まぁ、さすがにバドミントン部がガチで、恋愛小説とか恋愛ゲームをやる時間を作れないようだったら、入らなかったかもしれないけど。

「誰か答えてよーーー、もうっ。楽しくないよ、こんな世界・・・」

 お風呂が中心だったけれど、行動すれば何かいいことが起こる世界なんじゃないかと思って行動してみたけれど、全部微妙な結果に終わっている。金色の浴槽はツンデレ風に心の底ではテンション上がったけれど、やっぱりあの温度の温さでプラマイゼロ、むしろマイ。

 コンコンッ

「ユーフェミア様、キリエです」

「はい、どうぞ」

 キリエはゆっくりと扉を開ける。また、申し訳そうな顔をしていて、ユーフェミアの気質のせいか、キリエをイジメて可愛がりたくなってしまう。

「大丈夫ですか?」

「えっ、あっ、うんもちろんよっ!!」

 私は文字が読めないのがバレないように魔法の書を閉じて、笑顔で答える。

「・・・・・・そうですか?」

 キリエは私の様子を見ながら、近づいてくる。私は乗っ取りたくてユーフェミアを乗っ取っているわけではない。けれど、とても後ろめたいせいか、キリエが近づくごとに、心臓の鼓動が速くなってきた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

【完結】婚約者は自称サバサバ系の幼馴染に随分とご執心らしい

冬月光輝
恋愛
「ジーナとはそんな関係じゃないから、昔から男友達と同じ感覚で付き合ってるんだ」 婚約者で侯爵家の嫡男であるニッグには幼馴染のジーナがいる。 ジーナとニッグは私の前でも仲睦まじく、肩を組んだり、お互いにボディタッチをしたり、していたので私はそれに苦言を呈していた。 しかし、ニッグは彼女とは仲は良いがあくまでも友人で同性の友人と同じ感覚だと譲らない。 「あはは、私とニッグ? ないない、それはないわよ。私もこんな性格だから女として見られてなくて」 ジーナもジーナでニッグとの関係を否定しており、全ては私の邪推だと笑われてしまった。 しかし、ある日のこと見てしまう。 二人がキスをしているところを。 そのとき、私の中で何かが壊れた……。

やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち
恋愛
「君となんて結婚しなければよかったよ」 「は…………?」  夫からの辛辣な言葉に、私は一瞬息をするのも忘れてしまった。

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。

「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう

天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。 侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。 その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。 ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。

処理中です...