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「はあ……っ」
私は馬車に揺れながら、この世界を眺めた。
「元気出してくださいよ・・・、ユーフェミア様・・・」
「ありがとうー、キリエー」
私は上の空で応える。この世界のお風呂の基準は大分低い。そうなってくると、大浴場のような湯水のごとくの湯水が湧いてこなさそうな感じがひしひしと感じる。
「あーあ、魔法があればなぁ」
「魔法があっても、時間は巻き戻せないですし、人の心も操れないですよ」
「あぁ、そういうのはいいの、別に。やったことには責任持ちたいし、時間巻き戻す系はエタる可能性高いし、飽きちゃいそうだし、私潔癖症だから、100点以外やり直ししたくなっちゃってきり無いから。人の心も操れたら、一人のお人形遊びみたいでそれは5歳で卒業したからいいや」
「そっ、そうですか」
私は恋愛メインの作品しかしないけれど、恋愛メインでファンタジーが大分凝った作品にハマったことがって、色々魔法が使えたらどうするかを妄想したこともあったけれど、その2つは最初いいなと思ったけれど、2週くらい回ったらいらないかなっていう考えになっている。
「それよりも、温泉を発掘する力が欲しい」
「はい・・・?」
キリエが意味が分からないって顔をしている。キリエは多分私がラインハルトに振られて凹んでいると思っているのだろうが、私の定義するお風呂に毎日入れることが前提で、恋愛したいのだ。
(でも、お風呂のことで頭がいっぱいだったけど、いい男だったかもね)
それも今さらだ。
私がサンドラに転生していて、あんな風にラインハルトに守ってもらっていれば・・・
(止めよう)
フラれた気はまったくないけれど、考え続ければ私がフラれた気分になって悲しくなるのが目に見えていた。今はお風呂のことでも大分ショックなのに自分で、自分を苦しめることはない。
(いや、違うかも。いやいやいや・・・っ)
タイミングだ。タイミングがいけなかったのだ。お風呂のことは金の浴槽に入れて、それで切り替えようと思っていたのに、今こんなに凹んでいるのは出鼻をくじかれたから。私はお風呂好き。男好きではない。お風呂に入れればこのもやもやなんて一瞬で吹き飛ぶのだ。
「せめて、炎の魔法さえ使えればなぁーーー」
「炎の魔法なんて学んだら戦場に連れて行かれちゃいますよ?」
「そうよねーーー、戦場に行かなきゃ・・・・・・って、キリエっ!?」
私はキリエの両肩を掴む。
「痛い、痛いですって・・・・・・ユーフェミア様っ」
「ごっごめん」
私は慌ててキリエの肩を放す。
「血眼になってて怖かったです」
「本当にごめんね・・・それで、キリエ、今、なんて言った?」
私は慌てる気持ちを抑えて、ゆっくりと喋る。すると、痛がっていたキリエが思い題しながら、
「だから、戦場に連れて行かれ・・・」
「その前っ!! ・・・あぁ、ごめんね」
今も目に力が入っていた。
でも・・・
「あぁ、炎魔法のことですか?」
「そう、それっ」
この世に、魔法があるみたいだ。
お風呂ほどじゃないけれど、私の目は再び火を灯した。
私は馬車に揺れながら、この世界を眺めた。
「元気出してくださいよ・・・、ユーフェミア様・・・」
「ありがとうー、キリエー」
私は上の空で応える。この世界のお風呂の基準は大分低い。そうなってくると、大浴場のような湯水のごとくの湯水が湧いてこなさそうな感じがひしひしと感じる。
「あーあ、魔法があればなぁ」
「魔法があっても、時間は巻き戻せないですし、人の心も操れないですよ」
「あぁ、そういうのはいいの、別に。やったことには責任持ちたいし、時間巻き戻す系はエタる可能性高いし、飽きちゃいそうだし、私潔癖症だから、100点以外やり直ししたくなっちゃってきり無いから。人の心も操れたら、一人のお人形遊びみたいでそれは5歳で卒業したからいいや」
「そっ、そうですか」
私は恋愛メインの作品しかしないけれど、恋愛メインでファンタジーが大分凝った作品にハマったことがって、色々魔法が使えたらどうするかを妄想したこともあったけれど、その2つは最初いいなと思ったけれど、2週くらい回ったらいらないかなっていう考えになっている。
「それよりも、温泉を発掘する力が欲しい」
「はい・・・?」
キリエが意味が分からないって顔をしている。キリエは多分私がラインハルトに振られて凹んでいると思っているのだろうが、私の定義するお風呂に毎日入れることが前提で、恋愛したいのだ。
(でも、お風呂のことで頭がいっぱいだったけど、いい男だったかもね)
それも今さらだ。
私がサンドラに転生していて、あんな風にラインハルトに守ってもらっていれば・・・
(止めよう)
フラれた気はまったくないけれど、考え続ければ私がフラれた気分になって悲しくなるのが目に見えていた。今はお風呂のことでも大分ショックなのに自分で、自分を苦しめることはない。
(いや、違うかも。いやいやいや・・・っ)
タイミングだ。タイミングがいけなかったのだ。お風呂のことは金の浴槽に入れて、それで切り替えようと思っていたのに、今こんなに凹んでいるのは出鼻をくじかれたから。私はお風呂好き。男好きではない。お風呂に入れればこのもやもやなんて一瞬で吹き飛ぶのだ。
「せめて、炎の魔法さえ使えればなぁーーー」
「炎の魔法なんて学んだら戦場に連れて行かれちゃいますよ?」
「そうよねーーー、戦場に行かなきゃ・・・・・・って、キリエっ!?」
私はキリエの両肩を掴む。
「痛い、痛いですって・・・・・・ユーフェミア様っ」
「ごっごめん」
私は慌ててキリエの肩を放す。
「血眼になってて怖かったです」
「本当にごめんね・・・それで、キリエ、今、なんて言った?」
私は慌てる気持ちを抑えて、ゆっくりと喋る。すると、痛がっていたキリエが思い題しながら、
「だから、戦場に連れて行かれ・・・」
「その前っ!! ・・・あぁ、ごめんね」
今も目に力が入っていた。
でも・・・
「あぁ、炎魔法のことですか?」
「そう、それっ」
この世に、魔法があるみたいだ。
お風呂ほどじゃないけれど、私の目は再び火を灯した。
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