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「なんで、なんで、なんでっ!?」

「なんでって、言われましても・・・」

 私はキリエの肩を揺らして、叫んで、発狂したかったけれど、キリエの疑う目を見て、私は我慢した。我慢した悲しみは私の身体をぐるぐるぐるぐる駆け巡り、頭がくらくらした。

(どういうこと? 私はこの世界にお風呂に入りに来たんじゃないのっ!?)

 私は神様を問い詰めたいと思って上を見た。けれど、当然のごとく神様なんていない。それどころか、綺麗に清掃してもらっているのだろうけれど、カビっぽい黒い斑点が少しあった。

(もしかしてっ!!? これは罰っ!?)

 いつも長風呂をしていて、家族を困らせて、ママには光熱費がうちは他の家よりも大分高いなんて言われても、平気な顔をしていた私に対して、ママが「あんな子どこかに行ってしまえばいい」とか願って、そっち優先で運ばれたんじゃなかろうか。

(神様、ママ様、パパ様。私が悪かったです。前の世界はとても素晴らしい世界でした。あんな素晴らしい御風呂のうちに生んでくださりありがとうございます。我慢・・・じゃなくて、たまに別府温泉とか下呂温泉とか、湯布院とか、熱海とか有馬温泉とか、えーっと、たまにいければ、あぁ、できる限り良ければいいので、元の世界に戻してください。お願いします)

「あっ、また・・・」

 私は指を組んで、そのあまりきれいじゃない天井に祈った。それを見たキリエが私を怪しんでいそうだったので慌ててニコっとする。

「さっ、入りましょ」

「はぁ・・・」

 私とキリエは一緒に浴槽へと向かう。

(そうよ、もしかしたら、物凄い効能があるかもしれないし)

「ぬるっ!!」

 思わず声が出てしまう。
 もうこれは、あれだ。本当に肌についている汚れをちょっと落とすぐらいで、御風呂で気持ちや体を休める気なんてない。

「Oh , my God!!」

 私は思わず、叫ばずにいられなかった。

「本当に大丈夫ですか・・・? ユーフェミア様?」


「あははっ、大丈夫よ。ちょっと緊張しているの。そのあの・・・」

(この後会う人の名前なんだっけな・・・えーっと、っていうか男だった・・・わよね、うん。おとこ、おとこ・・・」

「ラインハルト様に会うって緊張するじゃない? 私も女の子として頑張らないと、って」

「あーーー・・・・・・」

 キリエは納得してくれたようだけれど、どこか私とキリエのイメージがかけ離れているような気がする。でも、ショックで凹んでいる私にはそんなことに気づく余裕は無かった。

 
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