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「ふん、ふん、ふんっ」

 お風呂の準備が少しかかると言うことなので、私は外をお散歩しながら待っていた。
 排気ガスとか全くなさそうな世界だからか、とても空気が綺麗でとても美味しい。こんなに空気が美味しいのだから、お風呂も天然でとても気持ちがいいに違いない。だって、水だって下水処理とかした水をろ過して温めているのだから、全部自然なものなら、もっと気持ちがいいはずだ。
 
 少し、汗ばんできたかな?
 汗をかいた方が絶対に気持ちがいいはずだ。だから、すぐに脱ぐとわかっていつつも、キリエに着替えを手伝ってもらった。けれど、今の服・・・というか、私の板時代に服とはちょっと違って、少し不便だなと思った。

「できましましたよ」

 キリエがちょこちょこ歩いて私の方に来た。

「はいっ」

 授業でもこんなに元気に返事をしたこともないというくらい明るく元気な声で私は返事をすると、キリエがちょっとドン引きしている。

「さっ、一緒に入りましょ」

 私がキリエの来た方向へ先に歩くが、場所は全くわかっていない。後ろを向いて、キリエを見ると困った顔をしている。

「どうしたの、早く行きましょうよ」

「あぁ、はい・・・」

「また、着替え手伝ってくれる?」

「もちろんです」

「やった。今日はゆっくりお風呂に入りたいわね」

 そういうと、キリエは再び表情を曇らせる。

「今日は、ラインハルト様とお会いするのを覚えていらっしゃいますか?」

 キリエは恐る恐る私の顔色を見ながら聞いてきた。どうやら、キリエは私が本当に記憶喪失になってしまったのか、疑っているようだ。

(本当は、転生なんだけどね。あはははっ・・・)

 そんなことは口が裂けても言えない。
 もしかしたら、そんなことを言ったら、この世界にあるかわからないけれど、魔女だと認定されて魔女狩りのように処刑されたり、牢屋に入れられてしまうかもしれない。

(って、記憶を思い出そうとすれば、思い出せるんだからやればいいんだけれど・・・)

 今の私はお風呂のことで頭がいっぱいだ。お風呂に入って、お風呂を満喫したら考えればいい。

(いいですよ、多少の面倒くさいことは。だから、ちゃんといいお風呂に入れて・・・)

「って、えええええええええっ!!!!」

 脱衣所までは上機嫌だったけれど、お風呂場に来たら私は絶望をした。
 だって・・・

「Where is 大浴場おおおおおおっ!!?」

 お風呂場には前の世界と同じか、それよりも小さい御風呂があるだけで、お湯も黒ずんでいた。
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